理想の通訳を彼女に置き換えてみる
通訳と選手の関係性を良く夫婦や彼氏・彼女の関係に例えられる事が多いんです。実際に通訳をしていると選手と過ごす時間は間違いなく彼女や妻よりも長くなってしまいます。調子が良い時も悪い時もずっと時間を共にして関係を築いていきます。
これまでの通訳の経験から、「理想の通訳像」を思い浮かべその人物をあるカップルの彼女に例えてみたらどんな人物なんだろう。そんな疑問を言語化していきたいと思います。
いつも彼氏を立てる事の出来る彼女
街へ出るにも、食事へ行くのにも彼氏のそばにいる彼女。その振る舞いや着こなしが鏡に反映して彼氏に返ってきます。周囲から見ると彼女の存在は彼氏の写し鏡となっていくのです。
彼氏と一緒に街中を歩いていて、急に彼氏が職場の同僚と会った時に紹介したくなる存在でしょうか。状況に応じた服装をして、友人と会う時、職場の人間と会う時、家族と会う時それぞれの一面を出せる臨機応変さを持ち合わせることの出来る彼女。
通訳はどんな時でも選手と一緒であり、だらしない格好をしていると選手も同じように見られてしまいます。むしろ選手が通訳を教育出来ていないのではないかと思われてしまい、その評価にも影響を及ぼします。球場にいる時だけでなく、メディアの前に出る時、プライベートで食事に出かける時色んな場面で臨機応変さが必要となります。
彼氏のために先の先を準備出来る彼女
前回書かせて頂きましたスポーツ通訳は将棋の一手でも触れている部分もあるため、重複は避けますが仕事で集中力を使い果している彼氏が他の事には気を使わなくて良いように常に先の一手を心がけます。
これはカップルという関係性の中では例を挙げるのが非常に難しいですが、かゆい所に手が届くそんな行動が出来る彼女の事でしょうか。
選手は極限の状態で日々勝負の世界に挑んでいて、それ以外の事に出来るだけストレスをかけたくないと思うものです。
ちょうど良い距離感が分かる彼女
どんなに愛し合っているカップルでも今日は1人でいたいなって思ってしまう時もあれば、今日は一緒にいたいなって思う時もあるでしょう。相手に自由な1人の時間が与えられ、寂しいと思う時に側にいれる彼女。
ずっと時間を共にしているとしょうも無い事でイラッとされたり、してしまったりそんな経験もおありかと思います。この微妙な線を読むことが出来て、引く時には引けるそんな彼女。
キャンプから数えるとおよそ300日近く共に時間を過ごす選手と通訳。一緒に食事に行くのか、はたまた今日は別行動で時間を過ごすのか。この距離感を読み解くことが1番難しかったりもします。
ここまで読んで頂いた方は薄々感じていらっしゃるかもしれませんが、そんな完璧な彼女になれないよと。
安心してください、あくまでも「理想の通訳像」ですから。実際そんな理想像の人物はなかなかいません。何かしら相手をイラッとさせてしまう要素の1つや2つはあります。
お互いが完璧過ぎるカップルも疲れてしまうように常にビジネスライクで時間を過ごすのもいくら選手と通訳と言えども疲れが出てきてしまうかと思います。
少しぐらいはプライベートの時間に一緒に飲んで、ふざけ合えるそんな関係がカップルでも通訳と選手という関係性でも良好なのではないでしょうか。