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#ありがとう藤川球児

2020年11月10日。自分にとって人生の2年間を共にした藤川球児投手の引退試合の日。共に時間を過ごした日々からは早くも、7年以上が経過しました。

通訳と選手。今振り返っても本当に不思議な関係性だなと思います。

私で言えば、これまで何の縁もなかったスーパースターのアスリートと急に毎日一緒に過ごすことになります。最初のスプリングトレーニングでは実際に一緒に住んでいたこともありました。家族よりも一緒にこれだけ他人と過ごすことってなかなかありませんよね。

当時は私も26歳。本当未熟でした(今もそこは変わってないですが)。

それでも2年間、通訳として一緒に働く機会をいただきました。本当に感謝しかありません。メジャーリーグで働く通訳にとっては結局選手がその舞台を挑戦しなくては、仕事は生まれません。私のキャリアは多くの選手達が挑戦することで誕生したものです。

その中で米国で共にした2年間は本人も言う通り、野球人生において一番苦しかったと謳う時間になってしまいました。側にいながら何も出来なかった時間、今思うともっと何かできたのではないかと思ってしまいます。

苦しかったシーズンを終えた後でもまた翌年も通訳として選んでもらえた。この経験こそが私にとっては喜びであり、自信となりました。私からここであの2年間について多くを語るつもりはありません。けれど最近放送されているドキュメンタリー等ではアメリカ時代が3秒ぐらいで終わってしまうものもあり、それは寂しいなとも思います。もちろん映像が使えないという理由が大きいのかもしれませんが、あの2年間で藤川投手が影響を及ぼした人がアメリカにも大勢いることもいつか皆さんへ届く日が来ればと思います。

一般的に挑戦したことは結果が出なければ、失敗だったと評価されてしまうのかもしれません。甘い考えかもしれませんが、そんな世の中であって欲しくはない。結果以外でも影響を与えられることは多くある。チャレンジしたことを結果によって扱い方を変えるのではなく、そこで何をもたらし、どう変わったのか。これが伝わっていく世の中でもあって欲しいなと思います。

今までも、これからも多くの日本人アスリートが世界へチャレンジしていくでしょう。もちろん色んな分野でも様々な挑戦が日々行われています。私も常にこの時を振り返り、挑戦し続ける心。これだけは忘れないようにしたいと思います。

共同通信、高知新聞で藤川球児選手について取材を受けさせていただき、記事へとなりました。それでもやはり最後に自分の言葉でも何かを書いておきたいと思いました。本当に素晴らしいキャリアおめでとうございます!そしてありがとうございました。

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