アカツキのマーケティングトレース~勝ち続ける文化と組織~
本日は、ハートドリブンで有名になった株式会社アカツキのマーケティングトレースを行います。先日の決算でも異次元の値をたたき出してます。利益率が頭おかしい。
創業10年でZOZOの約半分の営業利益と考えると、まじで異次元です。
そんなアカツキが成功した秘訣について、考察してみました。マーケティングトレースですが、マーケの話は少なめになっています。
1.Who:アカツキの正体
モバイルゲーム事業で圧倒的収支
ゲームの他に、うんこミュージアムで話題の「アソビル」を中心として、複数のサービスを運営しているアカツキですが、下記のIR資料より、
18年度終了時点では、収益のほぼ全てをゲーム事業に賄っていることが分かります。なので、一言でいえば、ゲーム会社です。
<まとめ>
アカツキはゲーム会社である
2.Where:ゲーム業界とは
まず肝になるのは、ゲーム業界は基本的にコンテンツを売って、儲ける構造だということです。
Google, Amazon, Facebook, Apple, LINE, ZOZO, Airbnb, NewsPicksなど、GAFAや僕がマーケティングトレースを行った企業は大体プラットフォームビジネスでした。
プラットフォームビジネスでは、商品そのものを売るわけではないので、持続的に優位性を築くべく、緻密なマーケ戦略が必要になります。
面白ければいいゲーム
一方で、ゲーム業界では、緻密なマーケ戦略を以上に、コンテンツの質が大切になってきます。要は、面白ければいいのです。これまで流行ったゲーム、
・マリオ
・ドラゴンクエスト
・ポケモンモンスター
細かくSTPや4Pを切って、5Forceを分析していたのでしょうか。おそらく否と思います。
ジャニーズと48系に学ぶコンテンツ
いわば、ゲーム業界とは、いいコンテンツ(と言うのは失礼ですが)を作り続ければ、儲かるのです。一番の例は、ジャニーズと48系アイドルでしょう。
ジャニーズはSMAPで大ヒットし、嵐で大ヒットし。48系はAKBでヒットし、乃木坂でヒットし。と、継続的に売れるアイドルグループを輩出し続けています。
AKBと乃木坂と欅坂では、コンセプトが違いますし、SKEとMNBとNGTとHKTではターゲットが異なります。つまり、競争優位の源泉は、
ヒットし続ける仕組みを作ること
であり、プラットフォームビジネスのように1つのサービスで、明確にポジションを気付くことではありません。
以前流行ったパズドラ(パズル&ドラゴンズ)のように、無名の会社でもコンテンツが良ければ売れますし、仮に任天堂が作ったゲームでも面白くなければ売れません。
<まとめ>
ゲーム業界はヒット作品を作り続ければ売れる
3.What:アカツキは何で勝っているのか
つまり、アカツキにはヒット作品を作り続ける土台が整っているということです。
そして、良いゲームを作り続けるコツはなんなのか。これを言語化すると、プロデュース力と人です。
秋元康さんとジャニーさんとアイドル
48系とジャニーズが売れているのは、秋元康さんやジャニーさんのプロデュース力と、人の魅力です。
嵐がここまで人気なのは、勿論チームジャニーズの功績もあると思いますが、僕は大野くん、翔くん、相場くん、ニノ、松潤の5人だったからこそだと思っています。
一方でAKBがここまで人気なのは、本人の力は勿論、コンセプトである「普通の女の子」をトップアイドルまで押し上げたのは、秋元康さんのプロデュース力も大きいと思っています。
(各ファンの方々、例に挙げてすみません。ただの主観でしかありませんし、関わる全ての人の力なのは明白だと思いますので、ご理解いただけると。)
人と音楽、人とゲーム
アカツキに当てはめると、人がアイドルで、音楽が「Love so sweet」のような作品だとしたら、アカツキの社員と、彼らが作るゲームの関係に等しいように思えます。
つまり、アカツキの強みは、良いゲームを作り続ける
・会社としてのプロデュース力(文化)
・組織と人
にあるのではないかと思います。文化とは、アカツキの人を支える土台のようなものだと考えています。
アカツキの強みは「チーム」と「組織」ってCEOの塩田さんが話されているので、そういうことだと思います。いいゲームを作り続ける「チーム」と「組織」があるということです。
<まとめ>
アカツキの武器は文化と人
4.Why:なぜ勝てるのか
こうなると、アカツキが勝てる理由を探るためには、マーケティング戦略でなく、組織戦略で何が起こっているのかを考える必要があります。
そして、文化と人を言い換えると、要するに育成と採用です。より優秀な人を採用し、かつ育成する文化があるかということです。
文化:社員が育つシステム
人:いい人を採用できるシステム
アカツキの文化を一言で表すと、
ハートドリブン
論理でなく、感情を大切にして、組織を作り、事業を作っていこうということです。
ビジョン:A Heart Driven World.
心を軸にして、ワクワクする社会を作りたい意思が明確に表れています。
論理でなく、感情を動かす必要のあるゲーム業界との整合性もかなり高くフィットしているように思えます。
差別化採用戦略
そして、採用ですが、ここで初めてマーケティングっぽい話が出てきます。いいゲームを作る素質を持った人をいかにして採用するか。職場としての株式会社アカツキをマーケティングする必要があるのです。
そして、アカツキのポジショニングが下記です。
優秀な学生の多くは、外資コンサルを中心にロジックを主戦場に戦いますし、多くの企業が優秀な学生の囲い込みを行うように、採用に力を入れて言うように思います。
1番顕著なのが、競合のDeNA。
アカツキ創業者の塩田さんも元DeNAですし、showroomの前田裕二さんを社長の南波さんが口説いたように、優秀で突き抜けた人材の採用に非常に力を入れています。
100%理解しているわけではないので、あくまで主観ですが、DeNAの文化はリクルートのように「優秀な人をたくさん採用して、競い合う」がベースにあるように思います。
育成のアカツキ
多くの人事が「HR領域では採用が1番難しく大切」と話す中で、塩田さんは育成を大切にしていると話しています。
そのため採用は、今スキルがあって優秀な人材を採用する以上に、カルチャーにフィットするか。「心」の部分を見ているように思います。
外資コンサル、リクルート、DeNAのように、優秀な人材を大量に確保して、(いい意味で)競い合っていく企業が多い中で、アカツキのポジショニングは独特とも言えます。
このポジショニングがゆえに、優秀な人だけど、上記企業の文化に合わない人がアカツキの文化に共鳴し、結果として価値観もフィットしていて、スキルもある人材が採用できているのではないかと考察しました。
そして、KPI設計(数値目標みたいなもの)がない文化も相まって、上記のように、採用と育成を軸に組織を作り、その人が大きなヒット作を生み続け、非連続の成長を繰り返している。
これがアカツキが勝てる理由なのではないでしょうか。
<まとめ>
採用と育成において、独自のポジショニングを築き、ヒット作を生む人材を輩出し続けるシステムがある。
5.How:どう組織を作るか
肝が人であり、採用であり、育成である。その根幹をなす育成システムはどのようにして作られているのでしょうか。
事例を3つほど紹介していきます。
①KPIを置かない
あえて、KPI(目標数値)を置かないことで、ビジョンの達成に向けて主体的に考えて行動できる組織を目指していることが分かります。
恐らく短期的な収益を上げるためには、KPIを置いて管理する選択もあることから、人材や組織の長期的な成長を考えていることが分かります。
②相性を考えた配属
ハートドリブン(感情に基づいた)な経営を行うことは、人の個性を大切にすることに近しいと考えたときに、人と人との相性は大切です。
本来ならば、感情を殺してでも誰とでも仲良くなるスキルを身につけさせるところなのでしょうが、それだと楽しく働けず結果として成果に繋がらないとアカツキは考えているのだと推測します。
新卒社員のメンター的存在なトレーナーのタイプを4類型に分け、新卒社員の思考特性も4類型に分け、相性がいい人と働ける仕組みを作っているので、ありのままの自分の個性を強みに変えて働くことができます。
③育成支援
社員が仕事に行き詰ったとき、組織に適合できていないとき、それらを面談を通してキャッチアップし、組織内に貯まった知見をシェアすることで解決できる仕組みがあります。
こうして、採用、育成に力を入れていて、採用、育成を加速させる文化があるから、アカツキはヒット作を生み続けることができるのです。
まとめ
プラットフォームビジネスでなく、コンテンツビジネスの場合は、採用と育成が肝であり、その土台には人を惹きつける文化が必要だと分かりました。
細かいことは、この書籍に書いてあると思います。
この粒度で緩く更新していきます。最後までお読みいただきありがとうございました。
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