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LINEのマーケティングトレース~美しすぎるポジショニング~


先日、怒涛のプレスリリースが出たLINE株式会社。

それで、私もLINEやLINEpayは使っているものの、LINE社が何者なのかは流れが速すぎて理解できていませんでした。そこで、noteの場を借りて、LINEについて調査した結果をまとめてみることにしました。

*ただの考察なので妄信することのなきようよろしくお願いいたします(重要)

1.なぜLINEは流行ったのか

サービス公開6か月で1,000万ダウンロード。

その1年後には世界で8,000万。

これがどれだけやばい数字かというと、この頃はまだスマホ普及率が25%程度の時代です。私自身も、この頃は、LINEの存在すら知らないガラケー高校生でした。SNSは1つもやっていませんでした。

連絡はgmailでなく、@docono.ne.jpのメールの時代です。そんな時代でのLINE社は何を考えて、成長したのか、下記の記事を参考に紐解いてみました。

まずはSTPと4Pから

主なターゲットは若手の女性です。

その中ではっきりと今後拡大するであろうスマホ市場、かつ、mixiやFacebook, Twitterなどの開かれたソーシャルコミュニケーションに逆行する形で、クローズドなツールとしてのポジションをとっています。

このターゲットとポジションを活かして4Pが設計されています。

特に、スタンプ機能と、無料通話は大きなインパクトで、「周りがみんな使っているから私も使う」のネットワーク効果で瞬く間に広がっていきました。

それを加速させるプロモーション戦略と、サービス設計で瞬く間に誰もが使うコミュニケーションツールになりました。

PEST分析のSとT、社会的要因(開かれ過ぎたインターネット)と技術的要因(クラウドサービス/スマホの普及)もばっちりはまっていて、改めて振り返ると、勝つべくして勝ったように思えます。

こうしてまとめると、何と美しいこと。ポジショニングが完璧すぎます。

当時あったらいいなと描けたか?

今考えてみれば、戦略に不足がないように見えますが、当時、メールに不足を感じ、LINEのような機能を欲しがっていたかというと、多くの人NOであるような…。

特にスタンプ機能は、「返信を考えるのが面倒くさい」といったインサイトを的確に解決した画期的なアイデアで、こういう些細な日常の不にアイデアは転がっているんですね。


2.LINEはどうやって儲けているのか

LINEの収益ですが、約半数は広告収入です。

広告の種類は大きく分けて2つになります。

<ディスプレイ広告>
タイムラインやLINE newsなどに掲載される広告。広告を載せるために、企業は課金を行う。
<アカウント広告>
企業アカウントが自社について発信する広告。発信量に応じて、企業は課金を行う。

つまり、初期にサービスと広告に莫大な投資を行うことで、ユーザーを増やし、市場を独占してから、広告を当てることで、投資を回収するのがLINE社の戦略でした。

2018年度の売上は広告以外の残り半数のうち、7割がコンテンツ、3割がLINE pay事業になります。

コンテンツはスタンプ、ゲーム、LINEマンガ、LINE musicの利用or広告掲載料金、LINEpayは加盟店からの手数料が収益源になります。

結論、LINEは広告会社

ということで、多くの人が集まるプラットフォームを作り、そこに集まる企業と顧客の会話を円滑にすることで、利益を上げていると言えます。

このビジネスモデルは、Google, Facebook, Twitter, YoutubeなどのSNSと同じで、いかにユーザー同士が円滑にコミュニケーションできる場を作り、最初に地位を築いたもの勝ちですね。2010年代流行のプラットフォームビジネスです。


3.LINEpayを行う意図とは

そんなLINEですが、最近はLINE pay事業への投資を拡大しています。千税も300億キャンペーンが話題になったばかりです。

しかんしがら、なぜコミュニケーションアプリのLINEが金融の領域に参入しているのか理解していなかったので、これを機にまとめてみました。

理由①キャッシュレス経済の加速

LINEはスマホが普及する少し前のタイミングで、いち早くスマホを用いたコミュニケーション市場を狙い、市場を独占しました。いわば、社会の流れを先読みしてサービスを作っています。

今回もそれと同様です。QRコード決済が進んでいき、市場も拡大していくので、その市場に投資を行っているのです。

2014年から存在したのは、初耳でした。先見性、恐ろしや。

理由②LINEとの親和性

流行りだから。だけでは、投資を行う理由になりません。LINE社として事業を行うということは、LINE社だから優位になる理由があるということです。

おさらいとして、LINEpayの収益は、加盟店からの手数料で支払われます。つまり、①加盟店が増える②利用するユーザーが増える→①加盟店がLINEpayを使う理由②LINEpayで決済する理由がLINE社でなくてはならなければ、それが優位性になるということです。はい、ありますね。

加盟店⇆ユーザーのコミュニケーション

です。加盟店は、LINEpayの決済情報や、顧客情報を活かして、LINEでユーザーへのクーポン配信や、キャンペーン告知ができます。

ユーザーからしても、それは普段使っている店の告知であるため、不快に思うことは少ないでしょう。私自身、普段通わない店から、LINEpayを用いたクーポンが送られてきたら使ってしまいます。

それなので、今はLINEpayのユーザーと加盟店を増やし続けて、LINEpayをLINEに次ぐ生活のインフラにすることが、LINEの戦略だと考えられます。

理由③ユーザー同士で広まる仕組み

またLINEpayではLINEユーザー同士で手軽に送金を行うことができます。つまり、日常生活でLINEpayが話題になり、それを理由にユーザーを増やすことができます。私もこれが起点でLINEpayユーザーになりました。

読者の方も感覚として分かるかもしれませんが、ユーザーにとって決済サービスの1番の障壁は初期登録の面倒くささだと思っています。私自身、本当に得をしたければ、メルペイやペイペイを使うべきだと思います。

しかし、現状は最初に登録したLINEpayのみを使い続けていて、細かな還元率の違いや他の決済サービスのキャンペーンも把握していません。し、他の方もそういう方が多いのかなと思います。

そう考えると、「友人同士の送金のため」といった理由で、初期登録を行う理由が存在することも、LINEという資源を活かした1つの優位性だと考えられます。


4.どんな仕事をしているの

LINEの収益が広告なので、

①多くの人にサービスを使ってもらう
②広告を載せたい企業を募る
③広告運用を最適化する

のが主なLINE社の仕事になります。特に①サービスは、LINEに加え、ゲーム、音楽、カメラ、漫画と多岐に渡ります。企画職を中心にサービスを設計していくようです。

そしてサービスが多岐に渡るからこそ、1人1人の社員が裁量権を持って、プロダクト開発に打ち込める環境がLINEの特徴に見えました。社員さんのnoteを拝見させていただくと、いかにLINEの方々のレベルが高いのかが分かります。すごい。

そして、サービスをビジネスに昇華するべく、営業、広告運用、マーケティング(B to B)部隊が存在しています。

最後にLINEの組織について。従業員が2,000人を超える大きな組織になりながらも、ベンチャーさながらの速さを兼ね備えた文化が形成されているのが分かります。


5.プレスリリースを紐解く

こちら、2019年6月27日のプレスリリース

プレス以外にも

いやいやいやいや、多すぎますって。

ということで、1行ずつでまとめてみます。

・LINEの利用履歴をスコア化して最適化するよ
・LINE内で動画配信を強化するよ
・LINEMUSICが無課金でもより楽しめるよ
・LINEpayに加盟するとd払いもできるよ
・LINEで飲食店を予約できるようになるよ
・LINEでテイクアウトの注文ができるよ
・LINEpayとVISAカードが連携するよ
・スカパー、伊藤忠と映像技術を共用するよ
・海外企業と音声認識技術を共有するよ
・LINEのチャットAIを外部公開するよ
・LINEで弁護士に相談できるようになるよ
・LINEでFacebookみたいなグループ作れるよ
・LINEで投資できるようになるよ

んー多い。独断と偏見で3行に。

・もっと広告の精度を動画含めて高めるよ
・外の企業も巻き込んで技術開発を進めるよ
・生活に関することは何でもやるよ

といった具合でしょうか。ただ共通項として、LINEのミッションには沿っていて、本気で世界中の人と人、人と情報・サービスとの距離を縮めることを目指しているのだなと分かりますね。

企業to友人、友人to友人関係なく、コミュニケーションが円滑になることがあれば、全てやるということですね。LINEpayも決済手段の1つでなく、会社とユーザーとのコミュニケーションツールを目指しているのだと思います。

特に目玉はSNS話題のopenchatで、今までグループ機能と言えばslackやFacebookに偏りがちでしたが、LINEでもそういう用途を満たせる日が近いようです!

LINEの使用時間が増えれば増えるほど、広告収益を増やすことができるモデルなので、ユーザーが求めてるサービスを提供出来たらそのままマネタイズになるのは強い仕組みだと思います。


おわりに

以上。普段使っているLINEを改めて調査してみると、想像以上に洗練された戦略の上で成り立っているのだなと思いました。

特にマス向けのサービスなのに、初期設計からSTPを意識していて、若い女性から順番に広げていく戦略は、マーケティングの教科書になりそうなお手本事例だなと感じます。

あくまで趣味の一環で投稿しているだけなので、興味を持たれた方は、私のnoteを信じずに参照記事を読み漁っていただけますと幸いです(重要)

良くも悪くも前回まあまあ反響があったので、オフィシャルなコンテンツではないことは伝えさせていただければなと(重要)

今後ともゆるーく、更新していく予定なので、よろしくお願いいたします。


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