読書メモ:私のウォルマート商法 すべて小さく考えよ
読んだ文献
知人にすすめられた書籍を手に取りました。
ウォルマートやその創業者サム・ウォルトンの名前は知っていたものの、具体的な経営手法や人柄についてはほとんど知りませんでした。本書を通じて、小売業界で世界一位となり一時代を築いたウォルマートの実態について深く知ることができ、興味深く読み進めました。
本書の概要
『私のウォルマート商法』は、ウォルマートの創業者サム・ウォルトンが、世界一の小売業を築くまでの経験と経営哲学を語った一冊です。
ウォルマートの成功の鍵として、サム・ウォルトンのさまざまな経営哲学が紹介されています。
本書では、彼の幼少期からの経験がどのようにして経営理念に結びついたのかが詳細に描かれています。また、彼の周囲にいた人々にもインタビューしており、当時のウォルマートやサム・ウォルトンが周囲にどのように映っていたのかも知ることができます。
記載されている内容は、店舗開発、マーケティング、仕入れ、組織運営などの経営に関するものから、家族や地域や社会に対する向き合い方など、多岐にわたっています。そのすべてにおいて、一貫したサム・ウォルトンの哲学が反映されており非常に読み応えのある一冊でした。
印象的な内容
自分にとっての学び
顧客第一主義であり、企業のためではなく消費者のために努力すること。それを低価格と満足保証という戦略で表現し、創業者が培ってきた組織文化および組織能力で実現する、という一貫性の高い経営手法は非常に参考になりました。
サム・ウォルトンの徹底した現場視察や競合調査の姿勢は、一種の狂気を感じるほどです。家族旅行の途中でも競合店を見つけると必ず立ち寄り、店員にインタビューをする、という行動はなかなかできるものでありません。
サム・ウォルトンは、さまざまなアイデアを発想しすぐに試し朝令暮改も多かったようですが、それでも組織が壊れずに前に進んでいけたのはブレない経営哲学が基盤となっていたからではないかと想像します。
私はいままでウォルマートのような低価格戦略を実行した経験はありませんが、規模や組織能力を最大限活用して構造的にコストリーダーシップがとれる状況を作ることのインパクトを感じる内容でした。
本質的な哲学を掲げ、リーダーが率先垂範し、成功するまで挑戦と学習を重ねる、というアプローチは、小売業界や低価格戦略採用企業以外にも大いに学びとなると思います。特に草創期のストーリーはビジネスパーソンが勇気づけられる内容になっているので、定期的に読み返したい一冊となりました。