2023年8月21~23日 委員会視察②
●二日目午前 福岡市消防局「Live119について」
▼要約
・福岡市消防局で導入された「Live119」の説明を受けた。
・Live119は通報者に対しスマホで映像を送ってもらうシステム。既に全国で導入されているが、九州では昨年から始めた福岡市が初。
・京都市でも導入を検討すべく、現状と課題を聞いた。
∟口頭で説明できない要救護者や周囲の状況が分かる
∟導入予算が安い
∟スマホを使える人でなければ扱えない
∟通報者の安全面にも課題あり
▼記録と感想
初日のうちに神戸市から福岡市に移動して一泊し、二日目午前は福岡市消防局に伺いました。福岡市消防局は昨年から「Live119」というシステムを導入しており、その現状と課題を知るための訪問です。
●Live119とは
事故や災害で通報を受けた際、消防指令センターから通報者に映像を送信してもらうよう依頼するシステムのこと。通話しながらほぼ遅延なく映像を送ってもらうことができ、逆に通報者側に救命措置の方法を説明する動画を送ることもできる。口頭では説明できない状況であるときや、適切な救護措置が分からないときなどに役立つ。全国の消防組織で導入が進んでいる。
※詳細は東京消防庁のページが分かりやすいのでそちらをご覧ください。
福岡市消防局ではLive119を令和4年度から導入したばかりであり、導入を検討する京都市にとっては絶好のタイミングでの視察となりました。基本的にはメリットが多いシステムですが、課題も少し。以下にまとめました。
●良い点
・パニックになっている人や、周りに目印がなく場所をうまく伝えられない人に依頼することで、消防局側で状況や位置を適切に把握できる。
・救護措置が分からない人でも、説明動画を配信してもらうことで救護活動をすることができる。
・導入コストが200万、翌年からの継続コストが100万と比較的安価
●改善が必要な点
・配信に至るまでの過程で少々時間がかかり、スマホになじみのある人でなければ使いこなすことができない。通信費も通報者
・極度のパニックに陥っている人には依頼しても配信まで到達できないことがある。
・事故の場合、配信する人と救護する人がそれぞれ必要である。
・通報者が撮影中に二次被害を被った場合の補償について未定である。
改善が必要な点があるといっても、基本的にはメリットのほうが大きいと感じました。↓に貼った動画のように、非常にリアルタイムで通話と映像配信が可能です。私自身も事故で通報をしたことが何度かありますが、特にけが人が出た際などは心臓がゴムヒモのようになって上手に状況を伝えることができませんでした。(単純に私が小心者であるということもありますが)
そんな時、このシステムがあれば語らずとも状況をプロが把握してくださるということであります。
印象的であったのは、海辺で高さのある場所から落下した方についての通報の際、通報内容は「けがをした人がいる」という事実のみでしたが、本システムを利用することで救急車だけでなくレスキューも出動する必要性があるとわかり、迅速な救助ができた、というエピソードです。京都市に海はありませんが、市街地から離れた山や川はたくさんありますので、同様の状況になったときに一層役立つと想像できました。
とはいえ、誰にでも扱えるわけではないことや、通報者が配信中に事故に遭った際の補償など、考えるべき要素はあります。
京都市としても、低予算で便利だから即導入、となる前に、市民の安全を確保するシステムだからこそ、いざという時の対策はしっかりと講じていかなくてはならないなと感じました。
午後は福岡市でデジタル化について学びました。また次回に。
お付き合いいただきありがとうございました。