議員研修会@東京 市議会、町村議会の格差

先日東京に、地方議員研究会主催の議員研修会に行ってきました!
自分が思っていた以上に議員が打てる手は多いという発見がありました。
もうちょっと早く受けとけば良かったなと後悔半分、
まだ人気が一年半残っている段階で受けれてギリセーフじゃないという安堵が半分です。

今日得た学びについてはまた別の機会にしつつ、「議会規模による議員の能力開発における格差」について書きます。

ちなみに今回私が受講したのは「議会改革の視点と展望」と「人口減少に勝ち抜く戦略」についてです。
本当は同じ講師の別講座にも興味があったのですがそちらは来月受ける予定です。

こういった専門的な研修、興味あるテーマもあるので受けれるだけ受けたいのですがそうもいかない理由がひとつあって、専門的なだけあり高額なのです。

ちなみに今日受けた研修は1コマ1万5千円、2コマ受けたので合計3万円なり。
来月分と合わせると6万円です。
本当はひと月一気に行きたいものの、値段を見て躊躇しました。
といっても、スケジュールが合わなかったというのが一番の理由ですが。
実際に受けてみると金額は妥当であると感じます。

多くの市議会議員や県議会議員の場合は、政務活動費がでます。
ざっくり言ってしまうと税金で政治活動として認められたものには経費が出ます。
近隣の小田原市で年額78万円です。
資料購入や調査研究、今日受けたような研修などです。
必要であれば交通費、宿泊費も。
ちょっと意外なところでタウン誌などに広告を出す際にも利用されます。
真鶴町はありません。
ちなみに市だから必ずある、町村だから必ずないというわけではありません。
これも近隣で、箱根町は調査研究を年12万円の政務活動費が出ています。
今は政務活動費があるほとんどの自治体で何に使ったか、収支報告と領収書がホームページで公開されています。
政務活動費がある自治体にお住まいの方は、一度見てみると面白いかもしれません。

あと、政務活動費の不正が連鎖的に発覚し議員14人が相次いで辞職した市議会のドキュメンタリー映画「はりぼて」も面白いです。
今ならAmazon Primeなんかだと見放題です。
政務活動費に興味がある方、ぜひご覧ください。

自治体規模での格差

昔、よく話す市議会議員の方に「加藤くんさ、この財政についての講座絶対受けたほうがいいよ、経費で出るし」と言われました。
お互い一期目でそんなに市議会と町議会に仕組みの違いがあると思わず、
私の方は「え?市議会だとそんなお金出るんですか?」って感じでしたし、
向こうは「え?町議会はないの?」と、二人とも違う立場で驚愕していました。
住民にとって身近な政治である地方自治体でも、その手続きや業務の仕組みは煩雑で特殊です。
元行政職員以外で何らかの形で、勉強なしで通用する人はまずいない。
(だからといって行政職員上がりの議員はいいかって言われると個人的にはほとんどそう思わないです)

金額の問題=時間の問題

外部研修には行くのが難しかったので、私は専門書を自分で購入して勉強する方針を取っていました。
しかし、専門書は値段も高いし欲しいデータが必ず載っているものとも限りませんでした。
にっちな分野のものだと最新の情報でなかったりもします。
不足した情報は調査して自分で付け足していきます。

逆に専門家による研修のメリットは、高額ですが情報がわかりやすくまとめられている上に、足りない情報は質疑応答で聞けば大抵答えてくれます。

金額的な問題は時間をかけることで何とかカバーできるものもある、というところです。

逆に時間と手間でカバーできないものとなると
書籍になる段階で情報は広く流布して知識としての希少性もだいぶ下がります。
競争性が持ち込まれた現代の行政においては、希少性が高いことは、
とても大きなアドバンテージです。

格差の最終的な正体

時間的な問題はまだあります。
そもそもの給与に差がありますから、市議会や県議会では専業を選択できる場合があります。
町村議会では不労所得がある方以外はほぼ兼業です。
となれば、ここで先ほど書いたような「金額を時間でカバーする」選択肢も、市議会議員の方が取りやすくなってきます。
同じ基礎自治体の議員でも、自治体の規模によって議員としてのスキルアップ量も変わってしまいます。

そんな中でも国や県から降りてきたり、全自治体で須く審議が必要なものの量はそんなに変わりません。
当たり前ですが議員の人数も少ない小さな自治体だと、何が起きるか。
独自に行いたいものを諦めて既にエビデンスやコンプライアンスが担保されている他自治体で行われた事例を取ってくる、
そして一個当たりにかける力量を減らさざるを得ないというところです。
詰まるところ、突き詰める力と新しいものを生み出す力は、
同じ基礎自治体の議会でも差が生まれて当然な状況だということです。

集団を作ることで効率化する

議会によっては「会派」が存在します。
先に説明した政務活動費を会派で使う場合もあるそうです。
確かに研修に行く時など集団で行ったほうがコスパはいいでしょう。
また、会派以外にも国政政党などに所属し横のつながりを持つ議員さんもいらっしゃいます。
日々の政治活動にしろ、選挙にしろ、必要なものをシェアできます。
物品以外でも、情報や知識のアップデート、調査の分担という点では大きなメリットです。
専門家とのコネクションが得られたりもします。
なんか会派って聞くと派閥、烏合の衆、右に倣え的な悪い印象を以前は持っていたのですが、実際にいい面もあるのだなと最近は考えています。

ひとまず、週5で働いて費用を稼いでみた

私は今まで自営業兼議員として活動していました。
実は、議会がいつ入るか分からないので自営業の方もセーブしたり、
夜間に作業でもOKな仕事を選んでいました。

今年の一月からは単価が高いけど時間も長い仕事を受けるようにしました。
今は週5日、1日8時間働いて、議員としての調査や研究はそれ以外の時間で行っています。
本会議や委員会の招集には休みをもらうか、半休で参加しています。
足りない分は出れる日に思いっきり残業してなんとかカバーできています。
二足の草鞋、今まで中途半端に履いていたのを踵までがっつり履いた感じです。
ここに至る理由っていうのは実は色々あるのですが、それはまた今度。

なので、3月議会は予算審議で日数も多かったのですが午前中で終われた日は午後にリモートで出勤して仕事をしたりで、以前よりも取れる時間は少なくなりました。

ただそれでも、睡眠時間を削ればデータを揃えて一般質問も作成して、予算書を読み込むことは出来ました。
その上で外部研修も受けに行ける、今までどおり研究用の書籍も買える。
一年に一回しか行けなかった個人視察も、休みとの兼ね合いもあるけどもう少しいけるのではないか。
三ヶ月そんな生活をしてみて体は結構しんどいのですが、
議員活動としては前途が明るくなった気がしてます。

格差是正の可能性

まずは、有権者の方にはこういった制度の違いを知っていただきたいのです。
だからと言って「町村議会員は市議会議員より仕事ができなくてもしょうがないんですよ〜」なんて開き直る気は全くありません。
町村議員の方でも、ものすごい活躍をされている方もいますし、
言葉は悪いですが市議会議員でも「この程度かよ」って思う人もいます。

じゃあ政務活動費を作ればいいのか、そりゃあったらいいけど例えば私が住む真鶴町では今の状況では無理があると思っています。
なぜなら敬老祝い金を、差額150万円のために減らす決断をしたのだから、その他の部分についても切り詰めて、
そして突き詰めて考えなければ示しがつきません。
本当に政務活動費を作れば議員の能力が上がって、その能力が住民福祉の向上につながるのか。
先にその実験及び証明が必要です。
なので、私も政務活動費代わりの費用は自分で確保しつつ、
インプットで得た経験を住民福祉の向上という形でアウトプットする、
そのことに残りの任期でやりきることを目標にします。
自分自身を実験台にしてみます。
ここについても、受けた研修でだいぶ戦い方のヒントは得られた気がしています。

真鶴町議会の議員は神奈川県で一番給与が低い議員です。
しかし、議員が思いっきり働くことができれば、
それすなわち神奈川県で一番コスパのいい議員になります。

あとは、共通の悩みを持つ同世代の議員がいれば、自治体は問わず手を取り合えればとも思っています。

お読みいただきありがとうございました。

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