辞職勧告に賛成した理由について
真鶴町議会、令和4年度第4回定例会において青木健議員、岩本克美議員、松本一彦町長に対し辞職勧告決議が提出され、私はその三つに対し全て賛成の意思を示しました。
一部ではパフォーマンスである、意味がないことであるとのお声も上がっておりますが、何故それに賛成をしたのか、個人的な感情論は抜きにして詳細をお伝えしたいと思います。
ただし、議会の総意などではなく、あくまで加藤一人の見解と賛成の理由であることはご承知ください。
基本的に「それはそれ、これはこれ」のスタンスで、個人情報の問題があるからといって、またはその意見が相違する人間だからといってコミュニケーションを断絶したり、その他問題を棚上げにしたりすることはありません。
誰が唱えたことであろうと町の方にとって有益なことであれば、正しいことであれば賛成しますし、建設的な議論を望んでいます。
しかし、だからと言ってこの問題をなかったままにして過ごすこともまた、できないことです。
それはそれ、これはこれ。
その考えでどちらも100%の力で考えて行動をしていますし、個人情報の問題をやっていれば溜飲が下がる、議員の責務は全うできるなんてことも全く考えていません。
処罰感情や善悪論でただただ問題を起こした側を叩けば、または単純に逆張りをすれば良しとも思っていません。
というよりも、どっちも真剣にその時点での材料に対し考えて取り組むことが必要だと思っています。
それだけフラットに見ることを努めていても、再選を果たした町長含めた辞職勧告に賛成を示したことには自分の中にそれなりの理由があります。
三つの辞職勧告、その性質の違いと共通点について
まず、三つの辞職勧告は全て同じ個人情報流出の問題を起因としたものです。
しかし、両議員への辞職勧告につきましては、今回で二度目となります。
松本町長につきましては、問題発覚後辞職し、その後選挙で再選をしています。
個人情報流出自体のみの責任ということであれば、両議員においては一度目の勧告がまだ生きている状態であります。
松本町長においては問題発覚後に辞職をしており、辞職勧告が出される前に自身で辞職を行なったとの見方も出来ます。
細部に違いはありますが、共通点としては個人情報流出が発覚したのみで出た進退伺というものは完了しているわけです。
では、なぜ今回また辞職勧告がでて、私は賛成したのかという点です。
両議員への辞職勧告の賛成理由について
こちらについてはシンプルに、私は一度目の勧告が出た際に議員ではなかったということがあります。
議会としては二度目の勧告でしたが、私にとっては一度目の勧告として賛成の意思を示しました。
加えて、村田議員の出された辞職勧告決議案における主張についても同意したことが一番大きいです。
ただし、三度目が出ることがあった場合には事実関係についての更新がない限り、必ずしも賛成をするかはその時に判断します。
個人的には今後は両議員ともに「司法の判断に委ねる」と仰っていますので、告発を行い捜査によって嫌疑を晴らすことを最も急ぐべきだと考えています。
松本町長への辞職勧告の賛成理由について
まず、松本町長は辞職し、再選しています。
その時点で民意としての審判が下ったとの意見も理解できます。
しかし、問題はその後にあります。
私は下記の二点において、民意の判断が下った時点で大多数が思い描いていたものと著しく剥離しているために賛成の判断をしました。
・再選後に発覚した新事実について
・再選後の個人情報流出問題への取り組み姿勢について
各項目ごとに下記で説明いたします。
再選後に発覚した真実について
第三者委員会の報告書にてコピーされた選挙人名簿が投票状況なども記されているものであることがわかりました。
それまでは申請すれば閲覧が可能である名簿と同じく基本4情報(氏名、住所、性別、生年月日)が記載されているものだと誰もが思っていました。
私自身はその4情報も流出はあってはならないものと思いますが、
申請すれば見れるものであるから問題の争点は手続きの不備や使用した役場のコピー用紙が窃盗に当たる程度など、町長を擁護する主張もありましたがその罪状も拡大したものになります。
また、その後5/12の委員会において支援者三名がその名簿を見てエクセルに転記していたことがわかりました。
これについては、第三者委員会の報告書も含め全てが流出範囲においては名簿をコピーした二名と受け取った三名の合わせて5名だったものが8名に増えたということになります。
再選後の個人情報流出問題への取り組み姿勢について
松本町長は2021年12月時の町長選において、問題の中心にいる自分こそがこの問題を早期に解決できるというお話を演説内で頻繁にされておりました。
しかし、実際は流出した情報自体も拡大し、流出の範囲も拡大しています。
加えてこの拡大の発覚は二点とも町長が自発的に行ったわけではなく、他者の調査もしくは聞き取りで明らかになったものです。
松本町長は記者会見の中で支援者の存在は明らかにしていたとしましたが、記者会見は全文が報道されるわけではなく、本来であれば第三者委員会の調査内において自ら報告すべきですが、それがされていなかったということになります。
投票状況については町長は「頭から抜け落ちていた」と主張しています。
またエクセルファイルと支持者の存在についても、記者会見や町長自身の報告会で言及しているにも関わらず第三者委員会の聴取で報告しなかったことも、同様の理由であり、それが頭に残っていれば報告していたとしています。
これが本当だとして、正誤による大差が生じない些細な間違いであればまだしも、極めて核心的な部分が抜け落ちてしまう、そんな状態でこの問題も含めた山積する町の課題も解決していけるのか。
または、仮に都合の悪いことは記憶にないという古い政治家のようなスタンスを取っているのであれば、そもそも解決という意思は嘘になります。
端的に言えば、性善説で見ても性悪説で見ても、町長が演説で仰られた本問題の「当事者だからこそできるいち早くの解決」の達成というのは、限りなく無理筋です。
民意は、この個人情報流出に限れば真摯に反省をし、この問題の闇を暴き迅速に解決し、雑音のない状態で町の課題に取り組める状況への復帰を望んでいたはずです。
これが反故にされている現状、現在の町長の取り組み姿勢を見れば、「民意」一点張りで突き進もうというのもまた無理があります。
また、辞職勧告賛成への判断のダメ押しとなったのが
6/2の委員会におけるやりとりでした。
今そこにある危機への対処
6/2の委員会内において支援者の「エクセルファイル」の所在について確認をしました。
※一連の話の流れは下記URLからご確認いただけます。
町長のお答えは削除されている、とのことでした。
私は食い下がって削除の方法などを確認しましたが明確なお答えは捜査に関わってくるので控える、とのことでした。
私自身は、処罰感情でこれを聞いたのではありません。
委員会内でも細かく説明をしましたが、
「ゴミ箱に入れる」、「ゴミ箱を空にする」などの通常の削除ではファイルが復元できる可能性があります。
復元の可能性がある状態で支援者のパソコンが外部からのサイバー攻撃やウイルス感染による情報の漏洩などが起きた場合に、支援者が意図せずとも再度の情報流出が起こりえます。
現在、当事者たちの話の通りであれば他の名簿のコピーは選挙管理委員会へ返還されているか、焼却や裁断しての処分とされており、これ以上の流出はないものとされてきましたが、エクセルファイルの存在によって現在も町民の個人情報が流出の可能性がある状況にあるということです。
私はその上で、町長に作業を行なったパソコンを警察署に預けることを提案しました。
専門的知見があり、公平な第三者であり、秘密保持への認識は言わずもがなです。
しかし、町長のお答えは調査して検討するとのことでした。
管轄の警察署にこの問題の証拠となり得るものを預けることは、詳細はお伝えできませんが関係者であれば可能なことは承知のはずです。
今個人情報の流出の可能性がある中で、それ以上に優先すべき調査とはなんなのか、私には理解ができません。
処罰感情など抜きに単純な損得勘定で考えてみると、
警察署にパソコンを提出することは町民の安全を担保するというところで、私はシンプルに町民の方の損が一番損をしない方法として提案しました。
そのパソコンを提出しないことの得は、松本町長本人もしくはその周りの方のみにしかありません。
公職であれば損得の視点を町民に置くべきです。
それができない方が町長であることは町民に有益であると
私は考えることができません。
以上により、私は辞職勧告において賛成の意思を示すに至りました。
最後に
私は悪いことをした人間、躓いた人間の再チャレンジを否定することはしたくありません。
というのも、お恥ずかしい話ですが私自身大学を中退してからフリーターをしていて将来の展望が全く開けない時期がありました。
それでも周りの支えと、手前味噌ですが必死に頑張って、
結婚もでき、子供にも恵まれ、家族をなんとか養うことができるまでになりました。
そんな経験から、一度躓いた人間に再起の機会を与えないということはしたくはありません。
その思いは、甘いと言われるかもしれませんが、この問題の当事者に対しても同じです。
反面、再起を図る上で必要な手順をすっ飛ばして居直る人間を容認することは、悪しき前例を作ります。
その悪しき前例は信じた人を傷つけ、正直に努力する人たちの心を挫き、
今後の「真摯に再起を図る人」の弊害にさえなり得ます。
悪しき前例は回り回ってその後に悪影響を波及させます。
これこそ絶対に容認はできません。
再チャレンジをするのであれば、何より信じた人のためにも姿勢と結果が大事なのだと思っています。
町を前に進めるための課題解決も、この問題についても、
いつ何時でも先入観は持たずに広く町民にとって有益かどうかを軸に判断していきますので、
何卒、これからもご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。
かなりの長文になってしまいましたが、お読みいただきありがとうございます。