6月定例会一般質問〜サウンディングという対話①〜
一般質問、三題行ったうちの最後の一つ、サウンディングについてです。
実際の質問の様子は下記のリンクからご覧いただけます。
https://www.youtube.com/live/QMPIaT-486o?si=3FzX2WCySAbxybmj&t=2833
残り二題もnoteに書いています。
ぜひ併せてご覧ください。
質問:「サウンディングについて」
小林町長就任を機に真鶴町では「サウンディング調査」ということばを頻繁に聞くようになりました。
最初、私はこれを聞いた時に「サンディング?砂?」というレベルに意味を理解していませんでした。
サウンディング=対話である
サウンディングで民間提案を受け、真鶴町の持つポテンシャルを活用していく。
そんなイメージの使われ方になっていたと思います。
ただ民間提案を受けるというのはいいのですが、その後にどんな手順を踏んで進んでいくのかがわかりません。
定義らしい定義はないのか、それを調べていくと下記のような資料にぶち当たりました。
PPP事業における官民対話・事業者選定 プロセスに関する運用ガイド
内閣府、総務省、国交省いわく「官民対話の手法」である
PPPとは公民連携です。その中には指定管理なども含みます。
既に真鶴町で行われている事業形態もあります。
ここは横文字にする必要あるのかなーと思ったりします。
その公民連携事業の中の、対話の手法であると紹介されています。
このサウンディングの肝は以下の部分です。
プロポーザル(提案型)入札というのがあります。
入札対象の事業案に対し金額の多寡で決める競争入札とは違い、提案内容で決めるものです。
当初、プロポーザルとどこが違うの?と考えていましたがこの「事業案作成前」というのが大きいのです。
これは町長から「企画段階はもっとも重要であり、サウンディング結果を受けて条例・規定の見直しや募集方法の制度設計を行った上で募集することを想定している」と答弁がありました。
小さな自治体が単独で企画を行うのは重荷になり得る
まず、事業の企画を行う際にその制度設計、事業の枠組みを作る際に、従前であれば自前で行うこととなります。
例えば、これがインフラ工事など事例がたくさんあるもの、競争力を必要としないものならなんら問題はありません。
例えば今は自治体でも他自治体との稼ぐ力、競争力が必要だとか、営業力が必要だと言われます。
しかし、そこでも小さな自治体と大きな自治体での格差が生じます。
人の問題、予算の問題
中規模、大規模の自治体であれば企画専門の部署や人員が確保されています。
ただでさえ人手不足な小さな自治体には企画専門の人員なんて割くことはできません。
その上に、予算規模も小さいから調査にお金をかけることはできません。
人がいないならお金を掛けて有益な情報を買うことも、
お金がないなら時間をかけるというのも抱えている業務が多く時間を割けない。
加えて、税金で行う事業だから失敗できないという建前がある。
こんなに足枷が多くていい事業企画が上がってくるのってほぼ奇跡のように感じませんか?
そして、そんな奇跡みたいな確率に自治体の未来を預けるのって怖くないでしょうか。
企画が重荷で起こる「横から取ってくる」現象
このような状況で何が起こるかというと、よその自治体で成功している事例をパクる(行政では先行事例の研究とか言われます)ことです。
政策をパクるのは全然問題ない行為です。政策には著作権ありませんから。
問題はパクり元の選定です。
先ほど申し上げた通り、今話題にしているのは「稼ぐ力・競争力・営業力」に関する事業についてです。
容易に知れる他自治体の好事例なんてものは他所も知っています。
今、人口10万人以下の自治体は1400以上あります。
競合他社が全国に1400です。
先ほど書いた「税金だから失敗できない」というところで確実性を持たせて
「複数の自治体で採用されている」「その全てでうまくいっている」なんてのを”いい材料”として使われる場合があります。
はっきり言って、そんなものは「どこでも真似できる、誰でもできる」ものであって、競争力にはまったく寄与しません。
むしろ、皆んなが出来るものは結局ヒト・カネを持っている自治体に入ってこられたら勝ち目はありません。
「横から取ってくる」という事業立案の仕方は安全策に見えて、競争力を求められる事業においては失敗の可能性を低くするのが難しいやり方と言えます。
「成功事例がたくさんあって」と担当者に言われた時、私はむしろマイナスプロモーションとして捉えています。
横から取ってくるならば、なぜうちの町にフィットするのか、裏を返せば他の町にはフィットしない理由が必要です。
「美の基準」の持つ希少性、先駆性
例えば真鶴町の行政として内外で高く評価されるものに「美の基準」、「まちづくり条例」があります。
条例の中身もさることながらそれが出来たプロセスも素晴らしいと思っています。
小さな自治体がその時点で他にないものを作るというのはどれだけ大変か、関連書籍を見たり当時のお話を見ると如何にその骨組みを作ることが大変だったかを垣間見ることが出来ます。
「全国でここしかない」「最初である」、希少性と先駆性を小さな自治体が実現したことは、最大限評価されるべき行政の大きな仕事の一つだと敬意を持っています。
逆を言えば、この町は競争力が評価される際の「希少性」と「先駆性」の重要さを小さな自治体として珍しく成功例を伴って知っているはずなのです。
「ヒト、カネの問題は工夫でなんとかせよ」というならば
「小さな自治体なら頭使って、工夫してなんとかしようよ」というかもしれません。
私はその工夫が「サウンディング」だと思っています。
サウンディングの実例が少ない、定義がわかりにくい今こそやるチャンスです。
というか、今できないのであれば一生「横から取ってくる」から脱却できない上に、リソースに乏しい自治体という白旗を上げ続けて自治体消滅というゲームセットに向けて突き進む他ありません。
ひとまずここまでの総括
私は一般質問の中で「個人的にサウンディングはどんどんやってほしい」と述べました。
その理由についてはここまで書いたところで説明はできたかと思います。
「目新しさだけに囚われる」のはいけないことですが、
新しさを毛嫌いして排除てしまうと
お金や人といった資源が乏しい町は結局絶対的な自治体規模による格差を受け入れ続けるしかなくなります。
「真鶴町には他にないポテンシャルがある」という人は多いです。
でも、可能性を感じさせておいて、その裏で安全策に囚われ
「ちっちゃい自治体だからしょうがないんだよ」と実質白旗を上げ続けるのって、おかしいよなと思います。
私は蜘蛛の糸ほどでも可能性がある限りは諦めたくはありません。
と、ここまで書きましたが長くなったのでここまでにします。
サウンディングは手放しでいいものかというと、課題はたくさんあります。
その辺りは明日また投稿します。
お読みいただきありがとうございました。