【壮絶離婚劇 16】
ここまでの事情や経緯について、誰にも言っていないわけではない
母はもちろん知っているし、亡くなった妹も父も別居までは知っていた
親友をはじめ、仲の良い友人たちにも、細かい理由はともかく、現状に至る経緯をざっくり話している
職場では、離婚経験者の人と、総務的な人に離婚した事だけは伝えた
相手がどうしても見つからず、不在者財産管理人申立をすることになりそう…と言っていた頃、親友たちは
「無責任にも程がある」と一緒に怒ってくれた
そして「(相手の)義妹さんも困るんじゃないの?あの、お義母さんに何かあった時…」
そうなのだ
相続の際、不在者がいたら困るはずだ、今の私のように…
その頃は、探偵を依頼するべきかとも考えたがそちらも相当の費用がかかり、だからといって見つかる確約はないという
義母に連絡しても、最初こそごめんねと言っていたが、その頃は「分からない、知らない」とそっけない…
その頃の娘は日勤になってはいたが、帰りはほぼ終電だった
昨今の路線バスの減便により、終電ではもう、バス便がない
我が家までは徒歩だと平坦だが3〜40分かかる
昼間なら運動の為に歩く事はできるが、夜中に「お年頃」の娘を歩かせるわけにはいかない
ほぼ毎晩、駅まで車で迎えに行っていた
マンションの地下駐車場は機械式で私は上段の端を利用している
他の上段の車が降りていたら、その車が上がって、私の車が降りてくる構造だ
いつものように、日付が変わるちょっと前くらいに、番号を押して他の車が上がっていくのを待っていた
突然、雷でも落ちたかのような轟音が響き渡り、何⁈と驚いた
上がっていった車の後部ドアが開いていて、鉄製の機械枠にめり込み、窓ガラスが粉々になって落ちてきたのだ…
機械の動作は止まらず、私の車は降りてきた
一体どうしたらいいのか、動悸は止まらないし、とにかく落ち着かなければ…
娘は夜中の駅にいるはずだ
一旦落ち着こう、とにかく娘を迎えに行き「どうすればいいんだ?コレ」と車内で説明した
「事故したって警察に連絡じゃない?」
とりあえず娘は家に帰し、警察に連絡した
その車の持ち主はどなたか、私は知らないのだ
警察が来て、持ち主を調べてくれ、真夜中にインターフォンで呼んでくれた
その間に駐車場管理会社に連絡をして、そちらからも担当の人が来てくれることになる
夜中に出てきた方はとにかく驚いてはいたが、私を責め立てることもなく、逆に謝ってくださる…
年配の警察官も「こんな事、お巡りさんも初めてみました」と言っていた
そちらの車は修理か廃車か、買い替えか…駐車場の修理代金もかかると言われていた
持ち主さんは穏やかで良い方だった
私に止める術はなかった、事前に気づくことができなかったからと言うと、気にしないでくださいと謝ってくださる
ドアがいつ開いたのかも分からない
上に上がる時に揺れてゆっくり開いてしまったのか…半ドアでもロックがかかってしまう車だったのだ
壊れた機械式駐車場の番号は今もそのまま「使用禁止」となっていて、空車状態のままだ
見るたびトラウマ…