ハウスシリーズを制作するにあたって考えたこと
ハウスシリーズは、ブランクギャラリーさんのグループ展『Summer Group Show』で展示した作品の一部。(トップ画像の絵)
その制作を通して、自分の考え方に良い変化があったように感じたため、備忘録としてここに記しておくことにした。(珍しい。)
それを語るためにも過去の制作手法の話から入るが、今まででは、自分で撮影した写真を元として絵に起こすことが多かった。
それはそれで自分なりに満足のいくような仕上がりになっていたことは間違いないとは思うのだが、楽しんで描けていたか?と言われると回答に困る。
どうも写真が元となると、自分の性格上変に完璧主義になってしまい、写真を再現することばかりに頭がいってしまって、身体が固くなってしまっていたように思う。
もちろん楽しい瞬間もあるにはあったが、5割は苦しい時間だったと思うし、まず第一に作業に没頭することが少なかった。気づいたらすぐにスマホをいじったり。
絵を描くことはもちろん好きだ。
何か辛いことがあったり、体調の悪い日があったとしても絵を描いている時間はそれらを忘れることが出来る。
ただ、そんな時間を楽しめてないというのは、矛盾しているように思った。
そんなことから、ハウスシリーズの制作では自分が「楽しめること」を最優先事項としてアイデアを練り、手法も変えた。
完璧主義にならないように、写真を見て描くことはやめ、
自分が適当に引いた線をもとに建物を描いた。
適当だからパースは狂っているし、地面もゆがみまくり。
でもそれが良かった。
自分ルールだから、何もかも自由にできる。
建物の影もバラバラでぐちゃぐちゃにした。
窓は変な矩形。
煙突もねじれている。
この描き方は楽しかった。
作業に没頭し完全にゾーンに入っていた。
スマホを触る時間は消滅していた。
絵の具を塗る作業に入ってからは1時間くらいで描いたと思う。
こういう感覚は久しぶりだった。
また、自分ルールという点でいうと、
記憶や経験が大きな材料になっている部分が大きく、
アウトプットに、自分が描いたという痕跡をしっかり残せたように感じた。
…とは言っても、今回の絵はあくまで自分としては試作段階だと考えている。
修正すべき点はある。
(例えば、今までの絵に比べるとタッチに差が出てしまった(特に筆致の少なさ)ように思えるし、パースの狂いなんかはまだまだ遊べる余地がある。)
これからも建物を描くかどうかはさておき、
楽しむことは重要な要素と感じた。
観る側にもそれは伝わると思うし。
そんな制作だった。