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劇団ノーミーツの起こした革命/#むこうのくに

※主催者に許可されたスクショ画像は貼っていますが、ネタバレはしていません


7月27日午前7時

一晩寝たのに、まだ昨日の出来事が上手く処理できてない。


興奮の残り香がまだパソコンにあるような気がして、もうそのまま今の気持ちを記しておこうと思ってこれを書いています。


「革命」なんて言葉が、漫画やドラマで使われ過ぎて陳腐化している2020年

これ以外に表現できる言葉を僕は持っていなかった。


まがいなりにもコンテンツを創る側の人間として、湧き上がる感情は「感動」と「嫉妬」


いや、嫉妬するにもおこがましいか。


それほどに、それは時空を超えたもので、インパクトが大きかった。



革命の犯人は「劇団ノーミーツ」


劇団ノーミーツは

NO密で濃密な
ひとときを、
自宅からお届け。

を掲げ、稽古から上演まで一度も会わずに活動するフルリモート劇団。


2020年の春に結成され、新たなエンタメの形を模索すべく、 演劇、 映画、 広告、 イベント業界の若手クリエイターが結集。

 発足から二ヶ月で開催した旗揚げ公演『門外不出モラトリアム』は、オンラインの有料イベント(2500円だったかな?)にも関わらず、トータル5,000人以上を動員。


そんなノーミーツの第二弾長編公演は、昨日の20時の回が千秋楽だった。


旗揚げ公演の「門外不出モラトリアム」が予定が合わせられず見逃していたのだが、イベンター界隈での盛り上がり方が異常だったし、人から聞いてそのヤバさは頭では理解していたつもりだった。


でもそんな理解をあざ笑うかのような、化け物エンターテインメントだった。


ちなみに来週末に追加公演が決定したようなので、まだご覧になっていない方は是非。



衝撃ポイント1

まず単純に、エンターテインメントとして面白かった。

2時間半の講演が普通に見れた。


PCで長編の映像を見る経験がなかったので、途中で疲れたりするかと思ってたが、そんなこと許してくれない展開とストーリー、そして新しい機能がそこにあった。

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公演中、画面の横にずっと表示されていた視聴者コメント。

最初は、正直 ストーリーへの没入感を阻害するんじゃないかと思ったけど、機能そのものが今回の世界観とわりとマッチしてたし、誰とも一緒にいないのに感じられた謎の一体感。不思議な体験でした。


あと前回の「門外不出モラトリアム」を見た人の「2カ月でこんなに進化するの!?」とか、

今回の公演を何回も見ている人が叫んでた「千秋楽で役者さんみんなめっちゃテンションあがってる!」「初日と比べて、セリフの掛け合いのレベルが段違い!」

常にアップデートを繰り返す演劇の素晴らしい点であり、その裏側を仲間と語り合ってキャッキャしているような気になって楽しかった。


映画ボヘミアンラプソディーで、フレディと一緒に歌ってもいいというルールの特別上映に参加した時と、ちょっと似ていた。



衝撃ポイント2

千秋楽の1回で視聴者数1400人。

これが2800円のチケットを買った人の数で、かつオンラインだから場所代がかかってないと思うと、お財布がとんでもないことになる。


エンターテインメントを電卓で測るなんて、と言われそうだが、これは本当に凄まじいこと。

コロナの影響で大打撃を受けたエンターテインメント業界で、確実に一筋の光となっている。


さらに単純に人数が多いという点ではなく、プロデューサーがコンテンツに全集中できるという点がやばい。


普通まず企画の構想があって、参加者のターゲットとか会場の立地とかいろいろ考えて、最適なキャパの箱をブッキングする。

プロデューサーはいわば、その時に今回の動員数を約束させられる。

劇団の集客力とか、役者さんの話題性とか、いろいろ加味した上での数字。

それでもあくまで予測値でしかない。

難しいのは、少なすぎても、多すぎてもダメなところ。


じゃあノーミーツは?


お客さんが集まろうが閑古鳥が鳴こうが、彼らには関係ない。

極端な話、彼らのやるべきことが変わらないのだから。


そして、1回伝説を作ってしまったノーミーツは、たぶん今後の公演でも集客を気にする必要がない。


この”集客からの解放”は、創り手にとって念願の環境だと思う。

ノーミーツはそれを創り出してしまった。凄すぎる。



あと実は今回、チケットを買うのをすっかり忘れていて、公演の10分前に友達に教えてもらえて、5分前に購入しました。

数秒後にPeatixから送られてくるメッセージに沿ってログインして、そのまま開演。

このバタバタ体験も、なかなか新しかった。



衝撃ポイント3

ノーミーツのうたい文句

「稽古から上演まで一度も会わずに活動するフルリモート劇団」

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400名の応募があったというオーディションで選ばれた役者さんは15名。

しかも、俳優ばかりではなく、YouTuberやTikTokerもいたらしい。


いろんな要素のハイブリット。

意図したものなのか、新しい取り組みの不可抗力なのか。

いずれにせよ、化学反応は輝いていたと思う。


そして、このテロップに出ているように

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全て生で演じているということ。


ZOOMって、誰かと発言がかぶったら、どっちかが声消えるじゃないですか。

あれって演劇におけるテンポある掛け合いの最大の敵だと思うんです。


それが役者さん、みんなかぶらずにちゃんと発言できていて。

かつ軽妙なテンポで会話が進んでいく様は、もうただただ「え、なんで?なんで?笑」って。

なんだろう。家で家族と食事する時に、自分だけおかず1品少ない、みたいな。

自動販売機にお金入れたら、横から知らないおじさんボタン押して笑顔でこっち見てる、みたいな。


あれたぶん、それこそ濃密に稽古して、かつ発言のかぶる部分は、前の役者が発言を止めてるんだと思う。

仕組みはめちゃくちゃシンプル。でもほんとに?

いやたぶん、それしか答えがない。


まじですごい。本当に大きなものを積み重ねて創りあげたんだと思う。


あとカメラワークが衝撃だった。

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まじで裏方のテックどうなってんだ。


知人から聞いた話によると、ZOOMとOBSの組み合わせらしい。

それを聞いてもまだ意味がわからない。笑


たぶん現時点で、世界で一番OBSを使いこなしてるんじゃないかと思うくらい変態的。

裏方関係の人は、途中で吐血すると思うのでご注意を。



衝撃ポイント4

最近のエンターテインメントでよく叫ばれる「参加性」

でも、ちょっと過剰なものも多い。

というか、押しつけがましいやつが増えた気がする。


この講演で視聴者ができることといったら画面横に表示されるコメントくらい。

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特に義務感にさいなまれることもなく、かといって全くは無視できない。

別にしたくなければ、しないでいられるし、したければすぐ動ける。


今回はそれが総じて程よく、心地よかった。


あと公演の途中で、視聴者に投票を求めるシーンがあって、ちょっと「まさか結果次第でストーリー変わるの!?」と思った。

友人と話した限り、それは用意されてなかったようだけど、なくて全然よかった。


たぶんストーリー切り替わる系エンタメは、それはそれで打ち出すべきだし、今回はそれを求めてなかったので丁度よかったと思う。


ライブ感は薄いが、確かにそこにある。

インタラクションの要素はちょっとしかないが、確実にある。


このへんの温度感というか、度合いの調整って、すごい難しいはず。

表の人も裏の人も、めちゃくちゃ考えての結果だと思う。



衝撃ポイント5

ポイント1とかぶるかもだけど、普通にストーリーが超よかった。

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サマーウォーズのオズみたいな世界があって、そこで生きる人たちの2025年を描いたものは、未来感があるんだけど全然違和感がなくて。

2020年の現時点で、一部の人の間では既に成立しているような世界観で、でもまだ世間には知られていない。


この手のストーリーって、正直なところ結構これまでもあったと思う。

伏線の張り方とか、最後のオチとか、


展開を全く予測できなかったか?と聞かれると、まぁできた。

けど、それでも文句なしに面白かったし、改めて考えさせるなーと想いにふけってしまったというのは、骨太な台本のおかげだと思う。



エンタメが楽しみな人生は素晴らしい

気づいたら3000文字を超えていた。

ほんとは、主題歌がYOASOBIだったこととか、終わった後に078KOBEの舟橋さんに誘ってもらってDabelで感想を言い合ったこととか、まだまだ言いたいことはあるが、そろそろやめておきます。


エンターテインメントは、やっぱり社会に必要だと思う。

こんなに時間が過ぎるのを楽しくしてくれて、ワクワクさせてくれる。

今日生きる分の、頑張る分の活力をくれる。


ここまで書いて、浮かぶのは「感動」と「嫉妬」と、あと「感謝」。


月曜日なのに体が軽い。

さぁ、自分も頑張ろう。

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