国境つくりたい
これは、授業中に起こった話である。
大学の授業は一限ごとに教室がかわる。
また、席の指定はほとんどなく自由席の授業が多い。
勉強に熱心な人は前の方に座り、スマホをいじる人や寝る人、集団で戯れる人は後ろの席に座る。
私は、勉強に熱心でもなく集団に戯れるわけでもないため、中列の端に座ることが多い。
もちろん、一人である。
ある授業を除いて
いつものように一人で座る私。しかしそこへ1人の男が現れる。
私はイヤホンをつけているが、なんとなく男が近寄ってくるのがわかった。
もちろん、一緒に授業を受ける約束などしていない。
男があいさつなのか、何かを呟いている。
もちろん、イヤホンをしている私にはうっすらとしか聞こえない。
そっと首で合図をしてすぐに自分の世界(1人)へ戻る。
男は慣れたように私の隣へ座る。
大学の机は、小学校や中学校のような1人1つの机ではなく、4〜5人が一列になり使用する長く繋がった机である。
ただ、その机には線が引いてあり、1人が使うスペースが設けられている。
私は端に座ってるので机の端からその仕切りの線までがスペースである。
この、長く繋がった机には私と男のみが座っている。
男は私の隣に座っているので男のスペースは私と男の仕切りの線から男側全てと言っていいだろう。
私は1人がいい
1人が楽
出来る限り1人の空間を作るべく机の端へ体を寄せていた。
このことで、私と机の仕切りの線にはスペースが生まれ私と男には距離ができる。
安心し、イヤホンでYouTubeを観て自分の世界へ戻った。
数分すると先生が教室にやってきた。
私はイヤホンをしまい、授業の準備に移ろうとしたその時だった。
隣の男の方を見ると授業に使う資料が机の境界線の上に置かれていた。
さらに男が食べたカップラーメンまで置いてあった。
正直不愉快でしかなかった。
距離を縮められた私は仕方なくさらに端へ体を寄せた。
結果、私のお尻の半分は椅子に収まることもなく辛い授業が始まった。
ちょうど、先生は国際学の講義をしており、私はある事を思った。
国境つくりたい