
人として終わっている僕と過ごしてしまった、 素晴らしい女性の数々のほんの少しの人生について 【プロローグ~第0話】
プロローグ
この話をしていくと、いずれ分かると思うが、僕は人として終わっている。
とにかく、“生きる”という観点で、他の人が普通に苦なくこなしていることができない。
それはもう“できない”というレベルで語れるものではなく、フランス人が初見のお箸という二本の棒で綺麗にパスタをちゅるりと行儀よく食べるくらいできない。
学生時代も、在学中はうまく友達として仲良くすることができるが、卒業すると関係性が億劫になって薄くなり友人関係は解消されていくし(おかげで友達がほぼいない)、借金はするし、30歳手前で実家暮らしだし、酒は飲むし、無駄にたばこだけはちゃんと吸うし、八方美人だし、上げれば上げるほど、ロイアルストレートフラッシュでくずなのである。
そんな僕でも、これまでの人生で、彼女が途切れることが中学から今の今までほぼなかった。モテ自慢ではないことを了承いただきたい。
顔も良くない。スタイルも良くない。性格も良くない。
(顔で言えば、大学で僕だけが参加しているブスコンとやらが勝手に開催されていたレベル)
なんでだろうと思ったけど、わからないので、考えるのをやめた。
ただ、僕が色々なタイプの女性に迷惑をかけ続け、最低な時間を過ごさせてしまった懺悔の意味を込めて、数々の愚行を忘れないための備忘録としてこの話を記していきたい。
第0話 謎ギャル篇
これは中学3年の話。この人との関係は、NONSTYLEの漫才くらいのスピード感をもって終了した。そして、そこまで素晴らしい人でもなかった。
よって、勝手に第0話とする。
中学3の秋、僕はとても小柄だった。
背の順は前から一番前だし、顔も幼く、中1の時に大きくなるからと強制され着せられたサイズ違いの制服はサイズ違いのまま、まるで小学生のような少年だった。
そんな僕が、学校に来ては保健室に直行し、ろくに授業も出ない、区内で一番平和な中学と噂されるほどの我が母校の中で浮きに浮きまくっていた、学年唯一の茶髪巻き巻きギャルと卒業前の冬からお付き合いをさせて頂いたのだ。
事の経緯を振り返ると、夢の国が始まりだった。
僕の中学では、高校受験が本格化する直前の中3の秋に、ディズニーランドに学年全員で卒業旅行に行くという伝統行事があった。
本来であれば仲良しグループで動き、その時点での最高の思い出を作るべく、躍起になるイベントなのだが、何故か自分は、変わり者の男と2人で行動していた。
(こいつは今DJをやりながら、全国に川の麓で入る簡易サウナを広げる活動を行っているらしい 出典:instagram)
そいつが夢の国での最高の思い出形成タイム半ばで失踪し、結果、自分は1人になった。
後から聞けば、彼は女性グループに1人混じって行動し、それこそ本物の最高の思い出を作っていたらしいので、何故その時僕も誘ってくれなかったのかは疑問に残っているが、時効としよう。
晴れて夢の国で独り身になった15の僕は、散歩をすることにした。
何時間か散歩している中ですれ違った、他グループの同情による誘いも適当な強がりで断わった。本音は混じりたかったが、彼への怒りもあったので、今日はもう1人でやり切ってやるという謎の使命感に駆られていたのだと思う。
そうして、何週目かのトゥーンタウンで、僕は見かけてしまった。
1人でチュロスを頬張る謎ギャルを。
学年1のギャルなので、当然、平和な我が母校の中で友人はほぼいない。
普段は、やんちゃな他校とつるんでいた謎ギャルは、僕と同じくおひとり様ディズニーだった。
夢の国マジックというものなのかは知らないが、業務連絡以外まともに会話したことなどなかった僕に、謎ギャルから声をかけられ、僕たちは一緒に行動することになった。
謎ギャル「なんで1人?」
自分「いなくなったから」
謎ギャル「うける、ロジャーラビットのらない?」
吉野家の提供ほどの速さで、僕たちおひとり様同士のパーティーが結成された。
トゥーンタウンのメインアトラクション、ロジャーラビットが幸運にも15分待ちだったこともあり、会話に困ることなく、ただアトラクションを楽しんだこのパーティーは、次に、キャプテンEOを楽しむことに。
そうして、見事に待ち時間の会話に困らない程度のアトラクションを数個楽しむと、2人でいることにも慣れてきて、自然と会話が弾むようになった。不思議なものだ。
日が暮れかけ、秋風が吹くと、当然の如く寒さが増してきて、謎ギャルの「寒い」発言が目立つようになった。「おしゃれは我慢」が心情のギャルは驚くほど薄着なのである。
ギャルの「おしゃれは我慢」理論を理解しつつも、あまりにも不憫なので、僕は自分の上着を貸した。僕も寒かったが、15歳の僕は上着を貸すという行為に大人を感じていた。
これだけである。寒そうだから、格好つけて上着を貸した。これだけ。
そのことがきっかけで夢の国以降の学校生活で謎ギャルは僕に話しかけてくれるようになり、1か月後くらいに告白された。
僕は、馬鹿でくずなので人生初の彼女だと浮かれ、快諾し、晴れて、学校1の幼子の僕とギャルの謎カップルが誕生したのである。
ここから別れまでは書くことはなにもない。
学校から一緒に帰り、たわいのない話をする日々を送り、卒業式を迎え、その1週間後に連絡がつかなくなり自然消滅した。
風の噂で聞いたが、ギャルの下の名前を僕が呼ばなかった、更にはボディータッチが少なかったことが原因らしい。
なんだそれ、思春期をなめるな。と思ったが、ギャルなので向こうのほうが1000枚も上手だと思い、何も言わなかった。
これで、謎ギャルと僕の関係は終了。
ちなみに謎ギャルは、ショップ店員になり20歳の若さで、僕以外の中学の同級生の野球部のエースと結婚したらしい。出典 instagram。
ここから、今回のタイトルにもある数々の素晴らしい女性と出会うことになるが、気分が向いたら書くことにする。