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PTAに関係する法令集


条文は一部省略。正しくはe-Gov等でご確認ください。太字は筆者。
コメントはできるだけ注意していますが、法は専門外ですので間違いがあればご指摘ください。印刷用にコメントなしのものも用意しています。
PTAは一般的と考えられる公立学校において、保護者と教員で構成され、特別な社会教育団体として無償で学校施設を使用し、児童・生徒の就学時間中にも児童・生徒に対して直接的・間接的に活動を行う団体を想定しています。私立の場合は一部は適応されないでしょう。
正しい法解釈は弁護士等にご確認ください。

印刷等にはこちらをお使いください。


日本国憲法

前文

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

第三章 国民の権利及び義務

第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
② すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
第十八条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
第十九条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

【コメント】
教員がPTA会員・非会員を差別したり、児童を差別したりすることは第一五条二項に反します。
保護者を物理的か否かを問わず拘束し、不本意な役員を押し付け事は第一八条に反する可能性があります。
PTAへの強制・自動入会は第二一条結社の自由を侵害します。


第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
② すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
第十章 最高法規
第九十七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
② 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

【コメント】
第九九条により、教職員は憲法を尊重し擁護することが義務付けられています。

憲法二一条結社の自由の解釈に関する補足

国会答弁(2023年)

PTAの入退会に関する質問主意書
提出者  神津たけし
令和五年六月十六日提出 質問第一三七号
2 PTAへの加入が強制されるものでないならば、その退会も保護者の意思により自由にできるものと考えるが、政府の見解如何。

答弁本文
内閣衆質二一一第一三七号   令和五年六月三十日 内閣総理大臣 岸田文雄
PTAは、学校に在籍する幼児、児童又は生徒の保護者及び当該学校の教職員で構成される任意の団体であり、保護者の入退会は当該保護者の自由であると考えている。

熊本地方裁判所

H28 平成26年(ワ)第992号慰謝料等請求事件 熊本地方裁判所 前提となる事実 「入退会自由の任意加入団体である」

【コメント】
PTAは入退会自由の任団体であるとの法解釈で行政及び司法が揃いました。熊本PTA裁判は前提事実として「PTAが入退会自由な任意団体である」という事が司法の場で確認されたことに意義があります。

教育基本法

前文

我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。 我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。

第一章 教育の目的及び理念

(教育の目的)
第一条 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
(教育の目標)
第二条 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
一 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
二 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
三 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
四 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
(教育の機会均等)
第四条 すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない
(教員)
第九条 法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。
2 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。

第二章 義務教育

第二十一条 義務教育として行われる普通教育は、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)第五条第二項に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
一 学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

小学校学習指導要領

前文

教育は,教育基本法第1条に定めるとおり,人格の完成を目指し,平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期すという目的のもと,同法第2条に掲げる次の目標を達成するよう行われなければならない。
1 幅広い知識と教養を身に付け,真理を求める態度を養い,豊かな情操と道徳心を培うとともに,健やかな身体を養うこと。
2 個人の価値を尊重して,その能力を伸ばし,創造性を培い,自主及び自律の精神を養うとともに,職業及び生活との関連を重視し,勤労を重んずる態度を養うこと。
3 正義と責任,男女の平等,自他の敬愛と協力を重んずるとともに,公共の精神に基づき,主体的に社会の形成に参画し,その発展に寄与する態度を養うこと。

小学校学習指導要領 社会

第1 目標
グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の 形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指 す。
〔第6学年〕
2 内 容
⑴ 我が国の政治の働きについて,学習の問題を追究・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 日本国憲法は国家の理想,天皇の地位,国民としての権利及び義務など国家や国民生活の基本を定めていることや,現在の我が国の民主政治は日本国憲法の基本的な考え方に基づいていることを理解するとともに,立法,行政,司法の三権がそれぞれの役割を果たしていることを理解すること。

中学校学習指導要領 社会

C 私たちと政治
⑴ 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則  対立と合意,効率と公正,個人の尊重と法の支配,民主主義などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 人間の尊重についての考え方を,基本的人権を中心に深め,法の意義を理解すること。
(イ) 民主的な社会生活を営むためには,法に基づく政治が大切であることを理解すること。
(ウ) 日本国憲法が基本的人権の尊重,国民主権及び平和主義を基本的原則としていることについて理解すること。
(エ) 日本国及び日本国民統合の象徴としての天皇の地位と天皇の国事に関する行為について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 我が国の政治が日本国憲法に基づいて行われていることの意義について多面的・多角的に考察し,表現すること。

学校教育法

第五条 学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合を除いては、その学校の経費を負担する。
第十九条 経済的理由によつて、就学困難と認められる学齢児童又は学齢生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。
第百三十七条 学校教育上支障のない限り、学校には、社会教育に関する施設を附置し、又は学校の施設を社会教育その他公共のために、利用させることができる。

【コメント】
第五条については地方財政法を参照のこと。

第百三十七条「学校教育上支障のない限り」の「支障」は教育基本法第四条「すべての国民は〜略〜教育上差別されない。」とされていることから、物理的な(教室・体育館などのスペース)事だけではなく、就学時間中の児童・生徒が同一に扱われない活動が行われる事も「支障」となると考えられます。
その学校に在籍する児童・生徒を対象にしていない社会教育団体(PTA以外の多くの社会教育団体・例はこちら)が就学時間中の児童・生徒に差を作る事はないでしょう。例えば、ユネスコが学校に依頼されて講演を行う場合に、ユネスコに募金をしたことがない保護者の子どもを除外する事がありえないことから容易に理解できるでしょう。
PTAを含む各種団体が就学時間中の児童・生徒に差を付ける活動は学校教育上支障となる可能性が大きいでしょう。

また、保護者のPTA加入・未加入で児童生徒の扱いに差を付ける場合は「公共のため」の活動ではなくなりますので、学校施設が使えない事になります。

PTA加入・未加入で児童生徒の扱いに差をつけたい場合は、PTAの枠の外で活動する必要があります。

第十九条に基づいて就学援助制度が設けられており、生活保護法第6条第2項に規定する要保護者および準要保護者はPTA会費・卒業アルバム代等について補助が受けられます。

学校保健安全法

(目的)
第一条 この法律は、学校における児童生徒等及び職員の健康の保持増進を図るため、学校における保健管理に関し必要な事項を定めるとともに、学校における教育活動が安全な環境において実施され、児童生徒等の安全の確保が図られるよう、学校における安全管理に関し必要な事項を定め、もつて学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資することを目的とする。
(国及び地方公共団体の責務)
第三条 国及び地方公共団体は、相互に連携を図り、各学校において保健及び安全に係る取組が確実かつ効果的に実施されるようにするため、学校における保健及び安全に関する最新の知見及び事例を踏まえつつ、財政上の措置その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 国は、各学校における安全に係る取組を総合的かつ効果的に推進するため、学校安全の推進に関する計画の策定その他所要の措置を講ずるものとする。
3 地方公共団体は、国が講ずる前項の措置に準じた措置を講ずるように努めなければならない。
(学校安全に関する学校の設置者の責務)
第二十六条 学校の設置者は、児童生徒等の安全の確保を図るため、その設置する学校において、事故、加害行為、災害等(以下この条及び第二十九条第三項において「事故等」という。)により児童生徒等に生ずる危険を防止し、及び事故等により児童生徒等に危険又は危害が現に生じた場合(同条第一項及び第二項において「危険等発生時」という。)において適切に対処することができるよう、当該学校の施設及び設備並びに管理運営体制の整備充実その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(学校安全計画の策定等)
第二十七条 学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、当該学校の施設及び設備の安全点検、児童生徒等に対する通学を含めた学校生活その他の日常生活における安全に関する指導、職員の研修その他学校における安全に関する事項について計画を策定し、これを実施しなければならない。
(地域の関係機関等との連携)
第三十条 学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、児童生徒等の保護者との連携を図るとともに、当該学校が所在する地域の実情に応じて、当該地域を管轄する警察署その他の関係機関、地域の安全を確保するための活動を行う団体その他の関係団体、当該地域の住民その他の関係者との連携を図るよう努めるものとする。

社会教育法

【コメント】
PTAは社会教育団体と位置づけられるという解釈があります。PTAが学校施設を利用できるのは社会教育法に基づくと解釈されます。

(社会教育の定義)
第二条 この法律において「社会教育」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)又は就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)に基づき、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーシヨンの活動を含む。)をいう。
(学校施設の利用)
第四十四条 学校(国立学校又は公立学校をいう。以下この章において同じ。)の管理機関は、学校教育上支障がないと認める限り、その管理する学校の施設を社会教育のために利用に供するように努めなければならない。 2 前項において「学校の管理機関」とは、国立学校にあつては設置者である国立大学法人の学長若しくは理事長又は独立行政法人国立高等専門学校機構の理事長、公立学校のうち、大学及び幼保連携型認定こども園にあつては設置者である地方公共団体の長又は公立大学法人の理事長、大学及び幼保連携型認定こども園以外の公立学校にあつては設置者である地方公共団体に設置されている教育委員会又は公立大学法人の理事長をいう。
(学校施設利用の許可)
第四十五条 社会教育のために学校の施設を利用しようとする者は、当該学校の管理機関の許可を受けなければならない。
2 前項の規定により、学校の管理機関が学校施設の利用を許可しようとするときは、あらかじめ、学校の長の意見を聞かなければならない。

スポーツ基本法

【コメント】
PTA以外の主な学校施設利用団体であるバレーサークル等のサークルが学校施設を利用できるのはスポーツ基本法の規定に基づきます。

(学校における体育の充実)
第十七条 国及び地方公共団体は、学校における体育が青少年の心身の健全な発達に資するものであり、かつ、スポーツに関する技能及び生涯にわたってスポーツに親しむ態度を養う上で重要な役割を果たすものであることに鑑み、体育に関する指導の充実、体育館、運動場、水泳プール、武道場その他のスポーツ施設の整備、体育に関する教員の資質の向上、地域におけるスポーツの指導者等の活用その他の必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

地方公務員法

(懲戒)
第二十九条 職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
第六節 服務
(服務の根本基準)
第三十条 すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。
(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
第三十二条 職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
(信用失墜行為の禁止)
第三十三条 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
(秘密を守る義務)
第三十四条 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者(退職者については、その退職した職又はこれに相当する職に係る任命権者)の許可を受けなければならない。
3 前項の許可は、法律に特別の定がある場合を除く外、拒むことができない。
(職務に専念する義務)
第三十五条 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
(懲戒)
第二十九条 職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)

(利用目的の特定)
第十七条 個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならない。
2 個人情報取扱事業者は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。
(利用目的による制限)
第十八条 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。
2 個人情報取扱事業者は、合併その他の事由により他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ないで、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。
3 前二項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。
一 法令(条例を含む。以下この章において同じ。)に基づく場合
二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
五 当該個人情報取扱事業者が学術研究機関等である場合であって、当該個人情報を学術研究の用に供する目的(以下この章において「学術研究目的」という。)で取り扱う必要があるとき(当該個人情報を取り扱う目的の一部が学術研究目的である場合を含み、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く。)。
六 学術研究機関等に個人データを提供する場合であって、当該学術研究機関等が当該個人データを学術研究目的で取り扱う必要があるとき(当該個人データを取り扱う目的の一部が学術研究目的である場合を含み、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く。)。
(不適正な利用の禁止)
第十九条 個人情報取扱事業者は、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならない。
(適正な取得)
第二十条 個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。
2 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない。
一 法令に基づく場合
二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
五 当該個人情報取扱事業者が学術研究機関等である場合であって、当該要配慮個人情報を学術研究目的で取り扱う必要があるとき(当該要配慮個人情報を取り扱う目的の一部が学術研究目的である場合を含み、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く。)。
六 学術研究機関等から当該要配慮個人情報を取得する場合であって、当該要配慮個人情報を学術研究目的で取得する必要があるとき(当該要配慮個人情報を取得する目的の一部が学術研究目的である場合を含み、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く。)(当該個人情報取扱事業者と当該学術研究機関等が共同して学術研究を行う場合に限る。)。
七 当該要配慮個人情報が、本人、国の機関、地方公共団体、学術研究機関等、第五十七条第一項各号に掲げる者その他個人情報保護委員会規則で定める者により公開されている場合
八 その他前各号に掲げる場合に準ずるものとして政令で定める場合
(取得に際しての利用目的の通知等)
第二十一条 個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。
2 個人情報取扱事業者は、前項の規定にかかわらず、本人との間で契約を締結することに伴って契約書その他の書面(電磁的記録を含む。以下この項において同じ。)に記載された当該本人の個人情報を取得する場合その他本人から直接書面に記載された当該本人の個人情報を取得する場合は、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならない。ただし、人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合は、この限りでない。
3 個人情報取扱事業者は、利用目的を変更した場合は、変更された利用目的について、本人に通知し、又は公表しなければならない。
4 前三項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。
一 利用目的を本人に通知し、又は公表することにより本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
二 利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該個人情報取扱事業者の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合
三 国の機関又は地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
四 取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合
(第三者提供の制限)
第二十七条 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。
2 個人情報取扱事業者は、第三者に提供される個人データについて、本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって、次に掲げる事項について、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置くとともに、個人情報保護委員会に届け出たときは、前項の規定にかかわらず、当該個人データを第三者に提供することができる。ただし、第三者に提供される個人データが要配慮個人情報又は第二十条第一項の規定に違反して取得されたもの若しくは他の個人情報取扱事業者からこの項本文の規定により提供されたもの(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)である場合は、この限りでない。
5 次に掲げる場合において、当該個人データの提供を受ける者は、前各項の規定の適用については、第三者に該当しないものとする。
三 特定の者との間で共同して利用される個人データが当該特定の者に提供される場合であって、その旨並びに共同して利用される個人データの項目、共同して利用する者の範囲、利用する者の利用目的並びに当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているとき。
第八章 罰則
第百八十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、次の各号に掲げる違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第百七十八条及び第百七十九条 一億円以下の罰金刑
二 第百八十二条 同条の罰金刑
2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

【コメント】
集団登校のために収集した個人情報を勝手に入会手続きや名簿作成、会費徴収に使用することは第十七条、第十八条、第二十一条で禁止されています。第二十一条4項四号に利用目的の通知の除外条件として「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」とあります。この点は下記Q&A参照。
また、任意入会であることを隠し、強制であるかのように表現して取得することは第二十条により禁止されています。
また、オプトアウトによる第三者提供(PTAから学校への会費徴収の依頼のための名簿利用など)は第二十七条に各種規定が定められており、また、個人情報保護委員会への届け出が必要です。現実的ではないでしょう。
個人情報保護法の罰則には両罰規定があるため、団体としてのPTAだけではなく、個人としての会長も罰せられます。
なお、PTAは個人情報保護法の個人情報取扱事業者に含まれます(個人情報保護委員会談)。

ガイドライン(個人情報保護委員会)

3-1-2 利用目的の変更(法第17条第2項、第21条第3項関係)

法第17条(第2項)個人情報取扱事業者は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。

法第21条(第3項)
個人情報取扱事業者は、利用目的を変更した場合は、変更された利用目的について、本人に通知し、又は公表しなければならない。
上記3-1-1(利用目的の特定)により特定した利用目的は、変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲、すなわち、変更後の利用目的が変更前の利用目的からみて、社会通念上、本人が通常予期し得る限度と客観的に認められる範囲内(※1)で変更することは可能である。変更された利用目的は、本人に通知(※2)するか、又は公表(※3)しなければならない。
なお、特定された利用目的(法第17条第2項に定める範囲で変更された利用目的を含む。)の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱う場合は、法第18条第1項に従って本人の同意を得なければならない。ただし、本人の身体等の保護のために必要があり、かつ本人の同意を得ることが困難である場合等、法第18条第3項各号に掲げる場合には、あらかじめ本人の同意を得ることなく、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱うことができる(3-1-5(利用目的による制限の例外)参照)。

(※1)「本人が通常予期し得る限度と客観的に認められる範囲」とは、本人の主観や事業者の恣意的な判断によるものではなく、一般人の判断において、当初の利用目的と変更後の利用目的を比較して予期できる範囲をいい、当初特定した利用目的とどの程度の関連性を有するかを総合的に勘案して判断される。
(※2)「本人に通知」については、2-14(本人に通知)を参照のこと。
(※3)「公表」については、2-15(公表)を参照のこと。

個人情報の保護に関する法律についての事務対応ガイド(行政機関等向け) 個人情報保護委員会事務局

さらに、「その他保有個人情報を提供することについて特別の理由があるとき」とは、本来行政機関等において厳格に管理すべき個人情報について、行政機関等以外の者に例外として提供(※)することが認められるためにふさわしい要件として、個人情報の性質、利用目的等に則して、「相当の理由」よりも更に厳格な理由が必要であるとする趣旨である。具体的には、①行政機関等に提供する場合と同程度の公益性があること、②提供を受ける側が自ら当該保有個人情報に相当する個人情報を取得することが著しく困難であること、③提供を受ける側の事務が緊急を要すること、④当該保有個人情報の提供を受けなければ提供を受ける側の事務の目的を達成することが困難であること等の、特別の理由が必要である。
(※)行政機関等に対して、利用目的以外の目的のために個人情報を提供する場合は、法第 69 条第 2 項第 3 号に基づき、「相当の理由」がある場合であるかを判断することとなる。 【特別な理由があるものとして利用目的以外の目的のための提供が認められ得る事例】 事例 1)在留外国人の安否確認の必要性から、法務省が、安否確認を実施する日本赤十字社、外国政府や国際機関に対して、保有する当該在留外国人の氏名等の情報を提供する場合 事例 2)国の行政機関において、幹部公務員の略歴書を作成し公表等を行う(※)こと。

個人情報の保護に関する法律についてのQ&A(行政機関等編) 個人情報保護委員会事務局

Q3-3-5 法第69 条第2 項第1 号に基づき保有個人情報の提供を行う場合、地方公共 団体の機関において法第27 条第2 項に規定するオプトアウトに準じる方法(例:法施行 条例に規定)により本人の同意を取得したとすることは許容されるか。 A3-3-5 前提として、地方公共団体の機関には、法第58 条第2 項第1 号に定める業 務を行う場合を除き、オプトアウトによる第三者提供に関する規定(法第27 条第2 項) は適用されません。 よって、法施行条例において、法第27 条第2 項の規定の適用対象に行政機関等を加え たり、同項の規定を行政機関等に準用する規定を設けたりするなど、法の委任に基づかず に個人情報保護やデータ流通に直接影響を与えるような規定を定めることは許容されま せん。また、個人情報保護に関する一般的な規律として独自にオプトアウトによる第三者 提供に関する規定を設けることは、法の委任に基づかず、個人情報保護やデータ流通に直 接影響を与えるものであるため、許容されません。 (令和6 年3 月追加)

【コメント】
行政機関はオプトアウトが出来ません。

「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A  個人情報保護委員会

(直接書面等による取得)
Q4-17
申込書やホームページ上のユーザー入力画面で連絡先を記入させる場合、当該連絡先の利用目的を明示する必要がありますか。また、具体的にどのような場合に取得の状況からみて利用目的が明らかで利用目的の明示が不要となりますか。
A4-17
申込書等の書面(ホームページ上の入力画面を含む。)に本人が記入し、直接その本人から個人情報を取得する場合は、原則として利用目的の明示が必要です(法第21条第2項)。ただし、取得の状況からみて利用目的が明らかな場合は、例外的に利用目的の明示は不要です(同条第4項第4号)。
具体的には、次のような事例が考えられます。
【取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合】
○申込書の記載により取得したメールアドレス情報等を申込内容の確認、履行の結果通知等の目的で利用する場合(ただし、新たなサービスの案内、提携先への提供等に利用することは自明の利用目的に該当しない場合があるので注意を要します。)
○懸賞付きアンケートによって取得した連絡先を、懸賞商品の抽選や懸賞商品に関する連絡・発送等のみに利用する場合

【コメント】
法第21条第4項第4号の例外条件として「申込内容の確認、履行の結果通知等の目的で利用する場合」が例示されています。他の目的で取得した個人情報を入会の目的として取り扱うことは該当しないと考えられます。

民法

第十節 委任

(委任) 第六百四十三条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
(受任者の注意義務)第六百四十四条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
(準委任) 第六百五十六条 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

【コメント】
PTAを含む法人・団体・個人が、他の法人・団体・個人に事務(会費の徴収)を委託する行為は準委任に該当します。

権利能力なき社団に該当するPTAは直接契約を行うことは出来ないと考えられますので、代表者であるPTA会長個人が学校との間で準委任契約を締結することになると考えられます。法人格を持たない自治会や管理組合等と同じ扱いです。責任範囲が曖昧になる為、PTAを含む権利能力なき社団は一般的には避けるべき契約相手、という事になります。様々な企業のサービスが使えない(申し込めない)のはこのためです。
なお、権利能力なき社団は訴訟対象にはなれます。

第六百四十四条は所謂、善管注意義務です。
権利能力なき社団の取扱はかなり難解で、法の専門感ではない筆者に十分な法的解釈は不可能ですが、類似した団体であるマンション管理組合の判例では善管注意義務の存在が認定されており、PTAについても善管注意義務があると考えるのが妥当でしょう。(東京地判平成27年3月30日判例時報2274号57頁)


消費者契約法

第一章 総則

(定義)
第二条 この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。 2 この法律(第四十三条第二項第二号を除く。)において「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。
(事業者及び消費者の努力)
第三条 事業者は、次に掲げる措置を講ずるよう努めなければならない。
一 消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が、その解釈について疑義が生じない明確なもので、かつ、消費者にとって平易なものになるよう配慮すること。
二 消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、消費者の理解を深めるために、物品、権利、役務その他の消費者契約の目的となるものの性質に応じ、事業者が知ることができた個々の消費者の年齢、心身の状態、知識及び経験を総合的に考慮した上で、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供すること。

逐条解説(消費者庁)

(5)「その他の団体」 「その他の団体」には、民法上の組合(民法第 667 条~第 688 条)を始め、法人格を有しない社団又は財団が含まれる。各種の親善、社交等を目的とする団体、PTA、学会、同窓会等といった法人となることが可能であるがその手続を経ない各種の団体がこれに含まれる。法人格を有しない場合のマンション管理組合もこれに含まれる。

消費者庁の逐次解説に明記されている通り、PTAは法のその他団体に含まれ、消費者契約法が適用されます。

第二章 消費者契約
第一節 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し

(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
第四条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認

消費者庁 逐条解説

現代社会のように、取引が多様化・複雑化する中で情報の面で消費者と事業者との間に格差が存在する状況にあっては、契約の締結を勧誘するに当たって、事業者から消費者に対し、消費者が契約を締結するという意思決定をする上で必要な情報の提供が適切になされないまま、契約が締結されるケースがある。このように、消費者が事業者の不適切な勧誘行為に影響されて自らの欲求の実現に適合しない契約を締結した場合には、民法の詐欺(同法第 96 条第1項)が成立しない場合でも、契約の成立についての合意の瑕疵によって消費者が当該契約に拘束されることは衡平を欠くものであるため、消費者は当該契約の効力の否定を主張し得るとすることが適当である。 そこで、法は、本条第1項及び第2項において、事業者から消費者への情報の提供に関する民事ルールを設けることとした。すなわち、消費者は、事業者の一定の行為(誤認を通じて消費者の意思表示に瑕疵をもたらすような不適切な勧誘行為。具体的には、不実告知(第1項第1号)、断定的判断の提供(第1項第2号)、不利益事実の不告知(第2項))により誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができることとした。

刑法

(侮辱)
第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

法学者(憲法学)によるコメント(任意であることを隠して会費をとると詐欺罪に該当)

任意加入と明らかにしたうえでお願いするだけなら、問題ないでしょう。しかし、相手をだますつもりで任意加入を隠して、会費をとるのは詐欺罪ですね。しかもこれは組織的詐欺罪なのでふつうより刑が重いです。共謀罪の対象でもあり、共謀段階で捕まりかねない。5年以下の懲役です。教育委員会が動かなくても警察がいますので

木村草太 首都大学東京教授(憲法学)
2019年 PTAフォーラム 「論座」https://webronza.asahi.com/national/articles/2019070400004.html?page=1

黙示の同意

「黙示の同意」とは、明示的な言葉や書面による表現がなくても、当事者の行動や状況から合理的に同意が推測される場合の同意を指します。当事者間の合意が明示的に表現されていない場合でも、一定の行動や慣行から合意が存在すると認められることを指します。
熊本PTA裁判でもPTA会費と記載された封筒で会費を納入していたことなど、複数の要因より黙字の同意の成立が認められています。
一方、黙字の同意が成立するかは状況により異なりますので、やはり、PTAの入会についても文書や電磁的方法により明確に同意を立証できるようにすることが重要でしょう。
一般的な会社となにか契約・申し込みをすることを考えれば、きちんと文書や電磁的方法によって入会を示させる事が当然であることは容易に理解できます。PTAや自治会であっても、全く同一です。

PTA・青少年教育団体共済法

(目的)
第一条 この法律は、PTA及び青少年教育団体の相互扶助の精神に基づき、その主催する活動における災害等についてこれらの団体による共済制度を確立し、もって青少年の健全な育成と福祉の増進に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「PTA」とは、学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(大学を除く。)及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第二条第七項に規定する幼保連携型認定こども園をいう。以下同じ。)に在籍する幼児、児童、生徒若しくは学生(以下「児童生徒等」という。)の保護者(学校教育法第十六条に規定する保護者をいい、同条に規定する保護者のない場合における里親(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十七条第一項第三号の規定により委託を受けた里親をいう。)その他の文部科学省令で定める者を含む。以下同じ。)及び当該学校の教職員で構成される団体又はその連合体をいう。

【コメント】
PTAについての定義が行われている。

地方財政法

(割当的寄附金等の禁止)
第四条の五
国(国の地方行政機関及び裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第二条に規定する下級裁判所を含む。)は地方公共団体又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。
(都道府県が住民にその負担を転嫁してはならない経費)
第二十七条の三 都道府県は、当該都道府県立の高等学校の施設の建設事業費について、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。
(市町村が住民にその負担を転嫁してはならない経費)
第二十七条の四 市町村は、法令の規定に基づき当該市町村の負担に属するものとされている経費で政令で定めるものについて、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。

地方財政法施行令

(市町村が住民にその負担を転嫁してはならない経費)
第五十二条 法第二十七条の四に規定する経費で政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
 市町村の職員の給与に要する経費
 市町村立の小学校、中学校及び義務教育学校の建物の維持及び修繕に要する経費

【コメント】
地方財政法・地方財政法施工例は学校教育法とともに寄付に関係する法令です。
PTAへ自動入会・強制入会により入会したとして会費を徴収し、それを財源に寄付を行うと地方財政法第四条の五の割当的寄附金に該当します。任意であることを周知して適切に会員を募集していないPTAは一切寄付できません。
地方財政法施行令第五十二条より「建物の維持及び修繕に要する経費」は寄付できません。
また、学校教育法第五条より、特例を除き、学校の経費である費用を寄付できません。
寄付できるものは殆どないようです。周年事業の記念品程度のようです。

生活保護法

第六条 この法律において「被保護者」とは、現に保護を受けている者をいう。
2 この法律において「要保護者」とは、現に保護を受けているといないとにかかわらず、保護を必要とする状態にある者をいう。

PTAの法解釈に役立つ文献

筑波大学と首都大学東京の教授(法学者)がPTAの法的解釈に関する論文を出しています。別記事にまとめていますので、合わせて御覧ください。


2024.6.7 学校教育法の社会教育団体の施設利用についてコメント追加。教育基本法第四条追加。PTA・青少年教育団体共済法追加。地方財政法追加。地方財政法施行令追加。寄付に関するコメント追加。一部コメント加筆・修正。

2024.6.8 一部コメントを加筆修正。印刷用にコメントなし記事を追加。

2024.6.10 通学路や小学校登下校見守りに関係すると思われる、学校保健安全法の条文を追加。

2024.6.26 憲法第十四条、刑法第二百三十一条を追加。

2024.6.30 憲法二十五条、学校教育法第十九条、生活保護法第六条を追加。

2024.7.1 個人情報保護法第二十七条第2項を追加。関連するコメントを加筆訂正。

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