連載:物流のコントラクト・マネジメント
今日は『コントラクトマネジメント(契約)』を扱っていきます。コントラクトとは、契約書のことです。「契約書がどうした?」と思われた方もたくさんいることでしょう。先輩や得意先から受け取って、さらっと見ただけ、コピーを受け取っただけ、という経験の方がほとんどだと思います。
昨今のコンプライアンスとかリスクマネジメントという用語は、実はこの契約の上に成り立つ概念なのです。法令遵守とは、刑法や民法のように国の定めた法律以外にも、契約で取り交わした双方企業の約束が大切です。しかも、この契約が民法刑法に当てはまらなければ、契約書自体が全く無効になるということも裁判所の判例で示されています。ですから、コンプライアンス経営とは、企業間の契約から見直してゆく必要があるのです。リスクマネジメントも同様に、災害や保険の話題ではなく、契約違反となることのリスクをどのように回避するか、という視点が大事なのですね。大型倉庫のように物流不動産の不動産契約は、専門業者がひな形を示してくれて、多くの事例に合わせた契約書を準備してくれますが、肝心の物流サービス活動の契約は当事者同士の、いわば経験則でしか整っていません。いわば、古すぎて使い物になるのかどうか不安で仕方がないよね、という状況なのです。
以下連載で12回にわたって記録してゆきます
物流ビジネスと契約管理 − 第1回
マネジメントの対象に表現<条文、箇条書き> − 第2回
契約でリスクをヘッジする − 第3回
契約で自分の首を絞めないように − 第4回
当事者間の紳士協定で解決できない時 − 第5回
紛争手段と契約の重要性 − 第6回
調停と訴訟 −第7回
争うことの意義と − 第8回
訴訟社会に備えて − 第9回
双方優位の契約はあるか − 第10回
契約を更新するビジネスモデル − 第11回
約束が当たりまえの社会へ − 第12回