悩める帰国子女🇫🇷(20)-帰国子女のその後

私はフランスの現地校で6年間過ごし、
小6の夏に帰国した。

私は、帰国してから、
帰国子女枠の中学受験に失敗し、
周りと同じように、
公立中に通い、高校受験をし、
大学に行き、就職をした。

中学では、
受験に失敗したコンプレックスと、
周囲に馴染めない虚さで、
時折、虚無感に襲われた。

でも、虚無感は少しだけ姿を消した。
何かに夢中になっていたから、
ほんの少しだけ、
満たされたのかもしれない。

私は、就職活動も、
氷河期といわれる時代だったが、
帰国子女という、
アイデンティティのようなものを、
出すことなく、(いや、隠して)
無難に相応の日本企業に就職して、
数年働いた。

そして、30代になったとき、
明らかに、周囲と差がついていた。
悩み、立ち止まった。

この頃、忘れていた、
小学校のネガティブな記憶が、
少しずつ浮かぶようになっていた。

帰国後に、先生から
よく言われた言葉を思い出した。

帰国子女なのに、出来てすごい…
帰国子女だから、出来なくて仕方ない…

そうか、自分は特別扱いされてきたのか…

さらに遡った。
フランスの現地校にいても、
日本人なのに、出来てすごい…
日本人だから、出来なくて仕方ない…

そうか、ずっと特別扱いされてきたのか。

特別扱いされることが嫌だった。
だから、帰国子女であることを、
隠して生きてきた。

ずっと違和感があったが、
気のせいだ。
そう言い聞かせた。

でも、もうごまかせない。

毎晩、仕事帰りに
ふらふらと一人で飲み歩くようになり、
明日が来るのを、
少しでも遅らせようとしていた。
寝るのが怖くなった。

周囲の目が怖くなり、
どんどん、自信をなくしていった。

自分のことを分かってくれる人が、
近くにいてくれたら、
どんなに良かったか。


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