インターネットが嫌い

早速だが、このタイトルは誤りである。正しくは、「インターネット上で人間の愚かな / 短絡的な言動がなされていること、それを私自身が認識することが苦手だ」ということになる。

インターネットという仕組みや構造自体は大好きだ。いち創作活動者としてその恩恵は数多く受けてきたし、インターネットがあるからこそ誰かに作品を届けることができる。
それと同時に、インターネット（特にSNS）上で個々人が発信力を持ち、無責任かつ衝動的に言葉をばら撒いたり他者を攻撃したりするという現象がとても嫌なのだ。

気に食わないことがあれば（多面的な思考を放棄し）その対象を攻撃する。特に理由はなくとも、「誰かを攻撃する」という行為に快感を覚え実行に移す。具体的な動機や正義感を持たず、話題性のあるムーブメントに同調するかのように加害に加担する。
インターネットはそういった行為のフィールドとなってしまっている。ましてや、メディアも含めそういった行為を生業にする人間もいる。

私はそれが苦手だ。
インターネットという場所を与えられた人間が、その愚かさを余すことなく露呈してしまうということ自体も嫌だ。同じ人間であることが嫌だ。
そして、それにより心に傷を負ったり、私生活を脅かされる存在が生まれてしまうのは最悪だ。
また、そういった現象をこの目で簡単に認識できてしまうことも嫌だ。悲しくなる。憤りを覚え、ストレスになる。

なぜこのようなことが起きてしまうのか。ここでは2つの理由を挙げて考えたい。
1つは個々人が現実世界ではあり得ないほどの、匿名性のある発信力を持つということ。
もう1つはインターネットという仮想空間があまりに広くグローバルなものであるということだ。

インターネット上では誰もが平等に発信の機会を与えられている。ものの数秒で言葉を全世界に放つことができる。このnoteだってそうだ。
そこに匿名性が加わることで、ネガティブな感情を吐き出す仕組みのように見えてきてしまうのだろう。
やがて生活のストレスを発散するためにネガティブな発信をしたり他者を攻撃したりするようになってしまう。

そして、インターネットという空間のグローバルさも要因としてあるだろう。
インターネットという空間の中では、誰もが「個」だ。匿名かつグローバルでボーダレスな環境であるゆえ、ユーザーは現実での役割や社会的責任、共同体への帰属意識を忘れ、完全に「個」の存在として振る舞ってしまうのだ。
その人の本性が表れると言ってもいい。

一通り考えてみて、諦めた。
考えれば考えるほど、同じ人間の愚かで短絡的な行動であると理解していく。こういった問題が解決することはないのだろう。
自分とは関係のないことだと切り捨ててしまうこともできるのだろうか。臭いものに蓋をするようだが、私個人にとってはその方がいいのかもしれない。

さらに恐ろしいのは、あらゆる責任を忘れて行動するインターネット上での意識と現実での意識の境界が薄れていくことだ。
いつでもどこでもアクセスできるインターネット上での振る舞いがそのユーザーにとっての「常」となり、制御するべきものだという認識が薄れていってしまう可能性がある。そういった人間の加害性が現実空間で生身の人間に向いてしまう可能性が。
というか、既にそういった現象は巻き起こってしまっているのかもしれない。

人間という生き物にとって、2025年の文明は早すぎるのかもしれない。
どんどん生きづらくなっていくかもしれない。
そんな中でなんとか正気を保ち、自分の正義を貫いて、僅かでも希望をもって生きていたいと思う。