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NO RISK、 NO FUN

出産直前に見た「プロフェッショナル 仕事の流儀」(NHK)はバイオリニストの樫本大進さんでした。世界最高峰のオーケストラ「ベルリンフィルハーモニー管弦楽団」でコンサートマスターを努めています。
ベルリンフィルのコンサートマスターになるためには試験に合格するだけでなく、2年以内に楽団員全員から認められなければなりません。
樫本さんは最短の半年で、全員から認められたという素晴らしいバイオリニスト。

そんな樫本さんは「NO RISK、NO FUN」という言葉を大事にしているそうです。
番組の中ではドヴォルザークの名曲「新世界より」の演奏方法を変えるという挑戦をしていました。
「300年くらい前の曲をやっているのに、ずっと同じ弾き方では楽しくない」
と言い、伝統ある定番曲に手を入れていました。

結果としてその演奏は「こんなに生き生きとした新世界は聴いたことがない」と賞賛されたのですが、挑戦しなければその結果は得られなかった。
伝統は時代に合わせて見直し、ブラッシュアップされてまた新しい伝統を作っていくのでしょう。

当たり前のことのようですが、昔からのやり方に手を入れることは難しく、
最初の一歩を踏み出すとハレーションは避けられません。
しかし、そのリスクを冒さなければいつまでも現状維持。
周りが進歩していけば、現状維持=劣化となってしまいます。

どんな世界でも当たり前を問い直した人が世の中に大きな影響を及ぼしています。時を経て、スタンダードになり、その人は巨匠とかスターとか呼ばれている。
最初は異端とか、「あんなもの」とか言われて非難を浴びた人が。

誰かが新たな一歩を踏み出したとき、あなたは何と言うでしょうか。
「今までこうやってきたんだから」という言葉は何も生み出しません。
受け入れるまでには時間がかかるかもしれない。
けれども、耳を傾けることはしてみたい。
自分の当たり前を問い直そう。

樫本さんは「扉を開けるのは自分」と言います。
「誰も開けてくれないんだよ、自分でやるしかないんだよ、開けるのは。
止まったら終わりじゃないですか。
上へいけばいくほど先が見える。常に不満でいないと」。

新しい扉を開く。
いきなり開けられなくても、少しずつ、少しずつ開いていって、
新しい世界を覗いてみる。
いつか扉が全開になったとき、何が見えているのでしょうか。

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