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読者を惹き込む「リード文・締め文」って?良記事に学ぶ方法論と心構え

個人で出したこちらの記事が広く読まれ、うれしい限りです。

弊社モメンタム・ホースで本日、良記事の「リードや締めを学ぶ」勉強会を開催したのですが、そこで各メンバーからオススメ記事が多数挙がったので、こちらでもシェア。

まず僕から。(作り手のメタ視点から、自分なりのスゴポイントをちょこまかと書きます)

※あくまでそれぞれのメンバーの選好による部分も大きいので、参考までに。

染まることを恐れるな 森山未來という「表現の化け物」

ノンフィクション調の文章から、テレビのドキュメンタリーの構成を感じる。映画のような情景描写、本人コメ、叙情的なファクト説明。

大根監督のコメントを差し込むことで、立体的な説得力を持たせる。
表現の化け物ですよ」がタイトルにも使われているように、記事を決定的なものに。

ハエは生き生きして見えた」。見出しに強烈なフック。読者に「え?」「どういうこと?」を喚起。

ジブリ鈴木敏夫Pに訊く編集者の極意──「いまのメディアから何も起きないのは、何かを起こしたくない人が作っているから」

主題を取り巻く、歴史的背景や文脈の丁寧な説明、そこから導き出される深い考察と仮説。導き出される締めも、バランスがとてもいい。

編集者のキャリアパスや可能性というものを考えたときに、「その“行き着く先”とはなんなんだろう?」と思うことがある。その手腕でもって出版社内で役職を上げていく、あるいはみずから出版社を立ち上げるなど、それはさまざまだとは思うが、そんななかでも、自身の目利きを信じ、「出会った才能に賭ける」という方向性もまた、ある意味もっとも“編集者的なもの”だと思った次第。

今回の取材を通して、電ファミ、ひいては自分自身の目指すべき方向性が見えたような気が・・・・・・しないでもない。いやあ、頑張らないとなあ。

「5億円稼いだら辞めると決めていた」カカクコムを創業し、28歳でリタイアした男の今

リードだけで物語を紡ぎ切る。それでいて、詳しいプロセスを本文で読みたくなる。

『価格.com』や『食べログ』を運営し、13期連続増益、営業利益率は50%弱を誇る超優良企業『カカクコム』。

同社の創業者であり、『価格.com』の立ち上げ人でもある槙野光昭さんは、会社も自身も伸び盛りの28歳のときに会社を売却し、突如ビジネスの第一線から退く決断をします。

引退後はメディアに一切姿を現さず、ネットでは「悠々自適の生活を送っている」という噂も飛び交っていましたが、十数年の時を経て、槙野さんはまたビジネスの世界に戻ってきました。

その舞台は、なんと美容室。

あれから一体どんな生活を送り、なぜ起業家として復活し、美容室を始めようと思ったのか。“20代でアガった男”の人生を追体験できる超貴重なインタビューです。

以下は自分が過去に『SENSORS』で書いた記事で、「こういう意図を持って作りました」とメンバーに伝えたものです。

未踏天才プログラマー・西野順二が考える「AIと共生する未来・ヒト」

冗長性をなるべく排除したいリードにおいて、短い分量で入れ込みたいポイントを最小限で詰め込んでみた事例。

媒体としてのスタンス、メイントピック、発言のハイライト、メディアで頻繁にみるわけではないインタビュイーの一言紹介、読者への問いかけ。

締めも上位の回収と、メタ的な回遊性を高めるための一言。イベント導線。

『宇宙兄弟』担当編集者の描く、作品への"愛"を育むコミュニティ作りとは

おそらくメディア初出な人な場合は、なぜ自分や媒体が注目するのか、そもそもどういう経緯で知ったのか、などを多少長くとも丁寧に入れこむ。人物像に迫ることを予告。

記事単位で終わらせるのではなく、メディアとして有機性を持たせる展開にとして、下記のような連関記事を出す。

「いつか故郷を豊かに」熊本在住の女子大生リモートワーカー大﨑祐子の挑戦とビジョン

↑と近しい作り。プロデューサーが企画立案者、インタビュアーとなり、自分が編集・ライティング、とタッグを組んで作った事例。

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つづいて、弊社小池による選出。

ラクスル 松本恭攝ー日本にも現れた「ジョブズの申し子」

とにかくライターの熱がこもっている。「印刷って聞くとショボそうに思うかもしれないけど、すごいんだぞ!」という熱量。

リードにライターの感情が表されている。

会議室の片隅でそう尋ねた瞬間、1984年生まれの創業者、松本恭攝は我が意を得たような表情を見せて即答した。
そのインパクトについて聞くうちに、段々と気づかされる。彼がもたらした印刷業界の大変革は、実はやりたいことのほんの一部でしかないのではないか。その思いを辿っていくと、ついに日本もスティーブ・ジョブズの申し子たちが出現する時代になったのか、そう思わずにはいられないのだ。

締めもライターの主観が前に出ていて、かつ期待感溢れる終わり方で良い。

松本がインタビュー中にスマホを取り出し、動画を見せてくれた。
動画を見終えると、松本はこう説明した。
世界で同時にジョブズの申し子たちが動き始めたのだ。

また、色んな人のインタビューを各所に自然に織り交ぜている構成も良い。

仕事道具としてのサウナとは? 恵比寿「ドシー」を手掛けたナインアワーズ油井代表に聞く

畳み掛けるようにファクトと主観を織り交ぜられておいるリードで、引き込まれる。世界の動向→日本の動向→背景→自身の想い。

締めにもファクトが織り交ぜられているのが、説得力があって良い。

「僕はもう、この生き方しかできない」——生駒龍史が日本酒で唯一の上場企業を目指す理由

インタビュアーの「この人すげぇ」って想いがにじみ出ているリード文。

市場動向や規模はもちろん、日本酒の楽しみ方、他の酒類と比べたときの価値、ビジネストピック、業界動向、etc…。日本酒にまつわる情報であれば、あらゆる問いに即答してくれる、頼もしい男がいる。日本酒スタートアップ株式会社Clear 代表取締役CEO生駒龍史さんだ。

生駒さんとはじめて出会ったのは1年ほど前。何人もの経営者や起業家にインタビューをしてきたけれど、ここまであらゆる問いに即答できる人は珍しい。

リードでの疑問を最後に回収。ストーリー性がある。

彼を駆り立てるのは「好き」という感情や「義務感」などだけではないように思う。彼と日本酒の付き合いの歴史を紐解いていきたい。

最後の文、インタビューの様子が臨場感を持って伝わってくるのが良い。

彼はなぜ、ここまで日本酒に懸けられるのだろう。長らく気になっていたこの問いを聞くと、「何ででしょうね?僕もわからないんですよ」と、意外な答えが返ってきた。

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つづいて、川尻によるピック。

【全文公開】伝説の漫画編集者マシリトはゲーム業界でも偉人だった! 鳥嶋和彦が語る「DQ」「FF」「クロノ・トリガー」誕生秘話

鳥嶋和彦さんがいかに伝説的な編集者であったかのサマリーから、なぜ本企画に至ったかの綺麗な導入ではじまっている。

締めには、当時のゲーム業界が出版文化と深く結びついていたこと、鳥嶋和彦さんが意外にもその文脈でキーパーソンであったことがわかり、本記事の意味が再認識できる構成になっている。

対談相手の佐藤辰男さん(カドカワ会長)による、鳥嶋和彦さんへの取材前の手紙が最後に掲載されていてオシャレ。

東大院卒・TOEIC満点ー中学3年の夏、僕は中卒で大工になるはずだった…

タイトル、サムネ、リード文がそれぞれキャッチーで長谷川リョーを知らない人でも続きが読みたくなる。

リード文の最後がひっかかる。リード文だけで離脱しづらい
締めは、一転して俯瞰した視点からはじまり、単なる面白記事として終わるのではなく、筆者の持つ思想的な側面に触れることができて味わい深い。

10年前の想いが今につながっていることが確認できて気持ち良いおわりになっている。

「新しい価値をつくる」のは、もう終わりにしよう。哲学者・千葉雅也氏が語る、グローバル資本主義“以後”を切り拓く「勉強」論

『勉強の哲学』がどんな書籍なのか、簡潔にまとまっている。

一方、書籍のメイン読者である学生向けではなく、社会人向けの思想として読み解けると切り口がわかりやすく説明されている。

記事がどんな内容になっているか、リード文からある程度掴めるようになっている。

オードリー若林「もうすぐ、マウンティングがダサい時代が来る」

書籍を元にした取材。リード文は、書籍のパンチラインから概要を説明し、その後筆者の主観・取材者のコメント・話題性が織り交ぜて記載されているが違和感なく読むことができる。

若林さんについて知っている人ではないとかけないリード文。

締めも主観的な共感を織り交ぜつつ、取材者のコメントで気持ちよく終わっている。筆者の愛が伝わる。

「25歳で資産運用? 眠たいこと言うなよ」DMM亀山会長から若者へのお金のアドバイス

DMMに詳しくない人でも、いかに亀山会長が本連載に適した人なのかがわかりやすく導入にまとまっている。

企画趣旨に関係ない、最後の色紙のやりとりからも取材時の雰囲気や亀山さんの人柄が伝わってくる。普段記事を読まない人でもテンポよく読める。

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梶川ピックス。

ビジネスに“気品”を宿す。1冊の本だけを売る「森岡書店」の経営哲学

仕事の「意味」は自分で見出す。顧客満足を追求するクリエイティブ漁師の仕事論

抽象(共感)→具体(取材内容)の落としどころが参考になる。

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オバラ大先生からは、ご自身の記事を推薦いただきました。

スポンサーも自分で探す。箱根駅伝からトライアスロンへ舞台を移した大谷遼太郎が目指すのは「現代のヒーロー」 

リード

フィギュアスケート・羽生結弦の連覇、スピードスケート・小平奈緒のオリンピックレコード、女子カーリング・オリンピック初となるメダル獲得ーー。冬季オリンピック史上最多記録を更新する15個のメダル獲得に、日本中が沸いた。日の丸を背負って戦うアスリートの姿に、涙を流した人も少なくないだろう。

東京オリンピックを2年後に控え、期待はますます高まる。オリンピック競技に復活した野球、日本のお家芸である柔道など、スポットライトを浴びるメジャースポーツのファンたちは、自国で金メダルを獲得する瞬間を今か今かと待ちわびている。

そんな中、マイナースポーツである「トライアスロン」での金メダル獲得に闘志を燃やす一人の男がいる。浦和実業高校3年次に全国高校総体1,500メートルで5位入賞、青山学院大学4年次は箱根駅伝で花の2区を走るなど、かつて“駅伝界のスター”として注目を集めた大谷遼太郎氏だ。

大谷氏は2016年に実業団のトヨタ紡績陸上部を辞め、陸上からトライアスロンへと競技転向。現在は日本トライアスロン連合(JTU)が組成したオフィシャルチームに期待の大型新人として参加し、海外遠征を含めたトレーニングに励む。自らスポンサーを探す苦悩の一年を乗り越え、オリンピック出場を目指している。

幼い頃から彼の夢は「ヒーローになること」であり、「オリンピックに出ることこそが、その証明」だという。陸上競技でエリート街道を歩んできた大谷は、なぜ結果が確約されない世界に飛び込んでまで夢を諦めないのか。

スターダムを駆け上がった光と、周囲から揶揄され苦しんだ影、練習環境さえままならない“逆境の一年”を乗り越えた不屈の精神を追う。

ざぁーっと羅列してきましたが、たとえば下記のようなポイントが抽出されました。

・長くなりすぎず、スッキリと盛り込みたい情報を盛り込む
・「なぜこの人に話を聞きにいくのか」を盛り込む。ライターの視点を提示。
・「え?」と読者を立ち止まらせる、意外な情報
・抽象概念(取材者の気持ち)の共感から入れる
・リード文と締めを連動させる。伏線の回収

リードや締めが秀逸な記事がありましたら、教えてください〜〜〜!

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長谷川リョー
ケニアで無職、ギリギリの生活をしているので、頂いたサポートで本を買わせていただきます。もっとnote書きます。