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“生き方”自体が戦略になるとき 【#10】
「戦略を持って生きること」と「生き方自体が戦略になること」の距離 6/6(mon.)
フリーランスでもスタートアップライクな思考が求められる
始発の千歳烏山。満員とはいかずとも、朝の5時台から電車内にはかなりの数の乗客がおり、衝撃を受ける。This is JAPAN.
多量の酒によりダメージを受けすぎた内臓の内なる痛みの叫びをなだめながら、這うように、なんとか家に着く。しばし4時間ほどの睡眠を確保して、ランチの予定がある麻布十番へ。
リクルートの同期であり、内定者時代から数少ないライター仲間として今でも繋がっている内藤秀明とランチを囲んだ。彼はサッカーライターとして名の知れた存在であり、最近ではサッカーコミュニティで爆発的な人気を誇るYouTube企画Winner'sのチームの分析官としてもレギュラー出演している。
彼と会うたび話題に上るのは、フリーランスとしての生き方にまつわる話だ。ぼくが強く思うのは、フリーランス(個人)で生きていくにしても、自分をスタートアップに見立てて生きるのが有効なのではないか、という仮説というかアナロジーだ。スタートアップには必ず実現したい世界、ビジョンが組織の核心に存在する。粒度は大小あれど、ある意思決定を下す際の羅針盤になるのはいつだってビジョンだ。これはそっくりそのまま、個人の生き方にも反映できるはずの考え方であると思う。
だから、仮にビジョンがあるのであれば、スタートアップ用語である「ラーメン大稼ぎの罠(ramen profitable)」のような罠にだってハマりにくくなるはずだ。これは、目的と手段が入れ替わり、スタートアップが本来の使命を忘れて陥ってしまいがちなあるあるを指す言葉。本来はビジョン達成に向けた事業を育てなくてはならないのに、サバイブすることを重要視し過ぎて、受託系の仕事を請け負い過ぎてしまう。結果として、メインの事業に割くリソースが減って、ビジョンから遠ざかり、ジリ貧に陥ってしまう。
スタートアップも個人も北極星となるビジョンが明確に、解像度高くイメージできていれば、迷いなく前進していける。
物語のなかで生きること、物語が意識下に植え付けるもの
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学生時代から仲の良い友達と、いつもの店、渋谷のなるきよに集う。いつ訪れても最高の料理と最高の酒でもてなしてくれる。三岳のソーダ割が美味し過ぎて、ポカリのようにごくごく飲んでしまう。
ちなみに、このなるきよ、Netflixのドキュメンタリーシリーズ『ミッドナイトアジア: 食べて・踊って・夢を見て』の第一話の日本編で盛大にフィーチャーされている。
大将のインタビューを中心に構成されているので、もはや主役といっても過言ではない。
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「リアル『シャンタラム』のような、物語の人生を生きてるよな」
飲みながら指摘されて、マジでそうなのかもしれないと思った友人の言葉。『シャンタラム』はぼくの大好きな小説の一つで、冒険として生きることのスリル、リスク、希望を教えてくれた本だ。
ケニアで二年近く、地図も持たず、未来が約束されていない場所で、薄氷の上を歩き続けた。登山をするわけでもなく、氷河を練り歩くでもなく、サバンナを探索するでもなく、ただポーカーに明け暮れただけではあるが。けれど、ケニアで出会ったアフリカの文化、中国人たちの目を見張るビジネスバイタリティ、世代を超えて異国の地に根を張るインド人、その他あらゆる国々から、それぞれの理由を携えてアフリカに流れてきた人たちとの邂逅は、数々の思考的な気づきを授けてくれた。
「もしかしたらぼくの日常は、だれかにとっての非日常かもしれない」ーーこのnoteを始めるきっかけとなった動機も、その物語の視点に『シャンタラム』を読んだことで、意識下に植え付けられた冒険への渇望があったのかもしれない。それくらい青年期に読む小説が価値観に与えるインパクトは大きい。知らず知らずの意思決定や価値観の微妙なズレは、あらゆる物語のインスピレーションの集合と結合から複雑に成っている、とさえ思う。
戦略を持って生きることと、生き方自体が戦略になることは、似て非なるものだ。
空いている時間で、友人から勧められた『極夜行』を読み進めていきたい。
自分は選択肢を持っていることを知ることからすべては始まる 6/7(tue.)
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ケニアで無職、ギリギリの生活をしているので、頂いたサポートで本を買わせていただきます。もっとnote書きます。