オフィスレスに働いてみる−−独立から1ヶ月を経て
春一番なのか、あたたかくて気持ちのいい日。
こんな日は仕事とは別に、自分の好きな文章を書きたくなるものです。
はやいもので退職してから、早くも1ヶ月強が過ぎ去りました。
(その経緯については「リクルートホールディングスを退職し、編集者になります」)
会社を辞めたらブログを再開させようと思いつつ、結局今日までほったらかしてしまいましたね。(今後は生存報告も兼ねて継続して書いていきたいのですが...)
まずは、年初めから今日までの日々を振り返ってみます。
『ジモコロ』取材で熊本県阿蘇へ
同じタイミングで独立した『ジモコロ』編集長の柿次郎さんと熊本へ取材にでかけたのが年始最初の仕事になりました。
熊本県庁へ出向き、くまもとブランド推進課で「くまモン」が誕生してから、震災を経て熊本に欠かせない存在になるまでの軌跡をうかがいました。
(⇨世界で愛されるキャラクター「くまモン」の知られざる真実)
つづけて、険しい山道を越えて阿蘇へ。
温泉宿・蘇山郷さんで館主の永田祐介さんに噴火・水害・震災といった受難に打ち克つための経営論を取材しました。(こちらの記事は来週あたりに『ジモコロ』で公開される予定です)
取材のあとは黒川温泉や「日本で最も美しい村連合」の一つである南小国町を訪問しました。
「温泉、カレー、喫茶店があればそれでいい」
熊本の喫茶店でお茶をしていたときに、柿次郎さんがぼそっと。
たしかに、その三つさえあれば上級のQOLが満たされますよね。
『COTAS』取材で福島県土湯温泉へ
東京に戻ってきてからは、ほとんど毎日一件は取材に出かけていました。
メルカリの山田社長や『BuzzFeed』の古田編集長にインタビューしたり、落合陽一さんの連載「幸福な全体主義とデジタルネイチャー」を書いたり、HIP Conferenceに出かけていったり。
先月仕込んだ記事が今月から来月にかけてボコボコと公表できると思います。
いままでの記事編集とは少し趣の異なるタイプの仕事もあえてこなしていたので、楽しんでもらえるのではないかと。
熊本の翌々週には、『COTAS』の取材で福島県・土湯温泉に行ってきました。「アラフドミュージック2017」に参加するためです。
決して大きなフェスではないのですが、そこにはやわらかで笑顔に溢れた、ハッピーな空間が広がっていました。
イベントに出演したtricolor(トリコロール)やbonobosの蔡忠浩さんの音楽にすっかり魅了されてしまいましたね。夜には編集部メンバーでトランプに興じたり、まさに"大人の修学旅行"といった感じでした。
来年はプライベートで必ず訪れたいです。(こちらの記事も近日公開になるかと思います)
『電ファミニコゲーマー』取材で北海道静内へ
都内を飛び出し、各地で取材を進めつつも、原稿はコンスタントに書いていきました。とくに書籍の執筆は移動中や滞在するホテルで書くことが多かったように思います。
『bound bow』編集長の塚田有那さんにお声がけいただき、記事のライティングはもちろん翻訳もやらせていただきました。(⇨NYと東京、メディアアート/ポストインターネットの抱える諸事情考察)
村上春樹ではないですが、自分で記事を書くときとはまた違った筋力を使うので、楽しいです。
また、取材・執筆させていただいた真鍋大度さん(ライゾマティクスリサーチ)とユッシ・アンジェスレヴァさん(ART+COM)の対談記事も先ほど公開されたようです。
こちらも翻訳と執筆を同時並行で進め、有那さん安定の編集力でいい仕上がりになっていますので、ご笑覧いただけると嬉しいです。
(⇨“最先端”の病を脱し、エレガントな組み合わせを見出す。光と動きの「ポエティクス/ストラクチャー」)
2月の頭には「リアルダービースタリオン」の取材で北海道はひだか町静内へ。
詳しくは近日公開予定の導入で詳しく書いていますが、こちらの取材実は2日前に急遽打診され、決まったものでした。(競馬大好き人間の自分としては、どんな予定があっても最優先な案件です...!)
急いで航空券、ホテル、レンタカーを予約し、いざ雪降る北海道へ!(滑りやすい雪道になっていたので運転は細心の注意を払いながら...)
北海道の牧場へは何度か足を運んだことがありますが、繁殖牝馬セールに参加するのは初めての経験でした。セリが終わった後には、ドワンゴの企画担当・石崎崇大さん、放送作家で馬主の村上卓史さん、そしてタレントで競馬アイドルの天童なこさんにインタビューしましたので、そちらも記事も近日公開される予定です。
シンガポールでインテンシブ・ライティング
先週は一週間ほどシンガポールに行っていました。
観光ではなく、大量の原稿をインテンシブに執筆するためです。
初日以外は友人のマンションに居候になったのですが、ホテルに泊まった初日が悲惨でした。
自部屋の両側から大ボリュームの喘ぎ声がこだましているんですね...はい、ラブホでした。
シンガポールではバクテー(肉骨茶)、チリクラブ、飲茶、とグルメを堪能。週末はマリーナベイサンズ付近を散策して、よいひとときを過ごすことができました。
帰国翌日の朝は、『ウェルビーイングの設計論-人がよりよく生きるための情報技術』を監訳されたばかりのドミニク・チェンさんに取材。
同じ大学院の先輩でもあるドミニクさんは間違いなくもっとも敬愛、尊敬する思想家の一人です。
そしてその夜は柿次郎さんにお誘いいただき、最高の焼肉体験「クロッサム モリタ」へ。終始、脳が喜びの雄叫びをあげていました。
働くように旅をする
本当は一つ一つがブログになる濃密な体験なのですが、ここまで駆け足で時系列に走り書きしてきました。
この一ヶ月、僕が意識していたのは"動き続けること"。
『COTAS』編集長の廣田さんが新幹線で雑談をしているときに、ぼそっと
「ウェブにほぼすべての情報があるとすれば、情報の非対称性は、場所に紐づく身体知にしかないよな」
といった趣旨のことを漏らしていました。
Airbnbの「暮らすように旅しよう」ではないですが、「働くように旅しよう」も今の時代ならあり得るよなあ...と。
iPhone一つあれば海外でもほとんど困ることはありません。
情報はググるなり、SNSで友達に尋ねるなり、それで事足ります。
空港に着いてからはUberで一発です。Apple Payで決済も楽々。
僕のような編集業であれば、本当に場所は問わずに働くことができます。
だとすれば一つの場所に留まるのではなく、あらゆる場所を漂っていく。
新しい場所で、新しい人に出会い、新しい体験をする。この"新しい"の掛け算がそのままインプットとなり、一つの原稿のようなアウトプットに還流していくわけです。同時に縁も連鎖させていく。
今は友達の中目黒のオフィスに居候にさせてもらい拠点にしているのですが、今後も海外のみならず国内のローカルに出かけていき、滞在しながら仕事を進めるサイクルを回していくつもりです。(来月は一週間ほど福岡の友達の家に泊まる予定)
と、こんなブログを書いていたら、柿次郎さんからメッセが届き、
急遽明日から長野県の小布施に行くことになりました。
今月もバタバタ忙しいのですが、少なくとも月に一回は振り返りも含めてブログを書いていきたいです。
PS:一緒にお仕事をできる方を切実に探しています...コンテンツ制作にご興味のあります方はこっそりメッセなりメールなりいただけますと嬉しい限りです。
ケニアで無職、ギリギリの生活をしているので、頂いたサポートで本を買わせていただきます。もっとnote書きます。