神様
大きな大きな広いおうちに僕らみんなで暮らしている。僕らはこの広いおうちでのびのびと生きてるんだ。
食べ物には困らないんだよ。
だって空から降ってくるんだから。お兄ちゃんたちは
「神様が僕たちに食べ物を与えてくれるんだよ。そして大きくなったら神様が空へと導いてくれるんだ」
毎日のようにお兄ちゃんたちは僕らに物語を聞かせるかのように話をしてくれる。
そんなお兄ちゃんたちも神様に連れられて遠くに行っちゃったんだ。さみしいな。けどお兄ちゃんたちが戻ってこないのはきっと神様のところが楽しくて戻ってこないんだ。
ぼくも早く行きたいな。
あれ?おうちの周りに神様がたくさんいる。みんな神様がくれた食べ物に導かれて、空へと飛んでいってるみたい。
「よし、僕も」
ぱく っ。 あれ?・・・なんか痛い・・・口に引っかかってる。痛いよお兄ちゃん、助けて。けどこれで神様のところへ行けるんだよね?うれしい、さようならみんな。僕行ってくるね、必ずまた戻ってきてみんなに神様のことをいっぱい聞かせてあげる。
「パパ―、釣れたよー」
「おお、すごいじゃないか、大きいな」
「すごいわエミリー。今日はエミリーが釣ったこのお魚で、おいしいディナーを作るわね」
「やったー」
そして神様たちは喜びながら去っていった。
当然ながら彼が戻って神様の話をすることはなかった。