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『君たちはどう生きるか』感想

たったいま観てきました。事前に知ってた情報は「鳥が出てくる」「火事の場面がある」くらい。残業後レイトショー終電コースで体力限界なので箇条書き。ネタバレしてます!

この鳥は眞人の相棒と同一人物(同一鳥類)なのだろうか
  • 千と千尋のトンネルは母体回帰だとか、トトロは皐月とメイの地獄巡りのきっかけだとか、ジブリの都市伝説的に語られがちな要素を詰め込んだ2時間だった。何かが起こりそうで起こらない、腹の奥がすっきりしないまま2時間が過ぎる。もちろん、過去のジブリ作品を彷彿とさせる場面も台詞もたくさん出てくる。一人ひとりが違う動きをしている有象無象の群衆、人っぽい動作の動物、戦前戦中の日本みたいな世界観、生きものみたいな水、妙にスムーズな歩行、短いまつげ。眞人とヒミの場面なんて千尋とハクを観てるみたいだ。眞人は全然怯えてないが…

  • 映画2時間半くらいのうち2時間は「何かが起こりそうで起こらない、ジブリ過去作品のオマージュ集」を見せられる。最後の30分は駿の遺言だの何だの言われるだろうが、それも確かにそうだろうけど、そこに至るまでの2時間は「これがおれがやってきた仕事だ」が詰まってたよ。

  • 眞人とヒミの横顔を見るたび、本当に駿ってボーイミーツガール、ガールミーツボーイみたいな構図好きなんだな~~って思った。

  • おばあちゃんたちかわいい。登場する時のおしくらまんじゅうみたいな状態からかわいい。人形になってもかわいい。

  • 若い方のキリコの家、ヒミっぽい人形も置いてあったな。その時まだヒミは登場しないけど、これが眞人のお母さんなんだろうと予想つく。そのくらいストーリーに意外性はないが、この映画は奇想天外を狙ってないからそういうの無問題。

  • わらわらかわいい。跳び跳ねて手振ってるのかわいい。あれになりたい…☺️と思いながら見てたら「上に行って人間になるんだ」と聞いた途端じゃあいいわ…☺️てなった。もう一度人間に生まれるなんて御免だ。

  • 若い方のキリコの言葉「ここは生きてる者が少ない。あいつら(黒い人っぽいものたち)は殺生できない」

  • そう、殺生は生者にしかできないんだよ。死者には殺生ができない。良い悪いは置いといて、そういうものなの。

  • 駿のジブリって結局「子供が別の世界へ行って帰ってくる一夏の物語」なんだよね。大人からするとその間子供は神隠しにあっている。帰ってきた子は覚えていない。

  • 過去作品のオマージュはたくさんあったけど、銭婆の「一度あったことは忘れないもの、思い出せないだけで」という意図の場面はなかった。なかったように思う。最後に別世界は崩壊する。塔も崩壊する。眞人たちは元の世界に帰ってくる。後継者はいなかった。大おじさまの「世界が大きくなりすぎてしまった」という台詞もあったとおり、これは後悔と終わりの話なんだと思う。作った世界は継ぐものなく、終焉を迎え、忘れ去られる。

  • エンドロールの背景は無地のシアンだ。ジブリ作品の冒頭で出る、「スタジオジブリ制作」のトトロの静止画と同じ色じゃないか?微妙に明るいかな?わからないけど、あの水色を眺めながら、駿の新作が観れる夏を経験することは、もう二度とないんだと悟った。

  • この映画をもう一度観たいかというと……  過去作品のオマージュもじゅうぶん観れたし、駿の新作の初見はもう二度とやってこないとわかったから、私はもういいかな。ここまでされると、名残惜しさもない。もうじゅうぶん楽しませてもらった。「君たちはどう生きるか」と問われたらこう答える。ジブリの新作を観れる夏はもう二度と来ない、後は余生だと。