世代交代の話

早朝に目が覚めてしまい、2.5次元舞台の世代交代について考えている。

「ブームが文化になるには15年が必要」という説があります。2.5次元舞台のブームの起点をペダステがヒットした2012年(*1)~2.5次元ミュージカル協会発足の2014年あたりとすると、今年で10~12年目になる。15年説で考えるなら文化になるまであと一歩です。

『2.5次元ミュージカル最前線 第一回』より
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00644/00001/

15年の間に必須なのが世代交代。これは“ブーム”の間に第一線を走ってきた俳優も感じていることで、事務所立ち上げて新人を発掘したり、プロデューサーとして大規模イベントを企画したり、現場レベルでノウハウを継承したりと、俳優の得手不得手によってやり方は様々ですが、始めてから1~2年経ってそれぞれ軌道に乗り始めたところかなと思う。

ちょっと疑問に思うのは、次世代の俳優について語られる度に「早々に帝劇に行った俳優は名前が挙がらないんだな…」と思う。実力・人気ともに後継者として申し分なく、2.5次元舞台も出ながらネルケ・マベ以外の舞台にも出るだけなのに、実質“卒業”なのだろうか。それとも単に年齢の問題?帝劇に行くのは王道ルートなだけでそれが唯一の正解ではないのだが、2.5次元は登竜門という考え方はまだまだ根強く、これが文化になることへのネックになるような気がする。若手が一時的にやるものなので世代交代のサイクルが速い。

この十年ほどで2.5次元は一つの演劇ジャンルと化したけれど、このジャンルの壁がそもそも良くないというか「2.5次元は普通の演劇とは“別のもの”だ」という発想がいずれなくなっていくといいのかもしれない。そんなことをぼんやりと考えている早朝です。

今日から刀ミュ本公演の新作『陸奥一蓮』が始まります。初期やコロナ禍の危機を支えたベテラン・帝劇経験のある中堅・次世代を任されそうな若手(*2)が揃っていて、ストーリー的にも演劇作品的にも世代交代が示されて後に「あれが象徴だったよね」と語られるような作品になるのかな。どうなんだろ。

*1「2.5次元」という言語や舞台ジャンルそのものを知ったのは私も2012年だった気がする。当時はこんなものあるんだ~という感じだった。実際に観劇したのはその数年後。

*2  中堅・若手に関しては私が観劇した経験がないため印象を元に書いています。