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酔い止め組による『ZIPANG OPERA ACT ZERO 〜暁の海〜』の感想

『ZIPANG OPERA』通称ジパオペ、観劇してきました!私には馴染みのない音楽と演出がめちゃめちゃ新鮮で楽しかった~!また新しい流司さんが観れたと思います。セトリ順に感想です。

Cherry Blossom

物語の始まりでスポットライトがパッと当たる瞬間が本当に様になる人だと思います、流司さん。いままでは正面から登場する王道の主人公的演出が多かったので、真横からの構図で横顔から正面向く流れは新鮮でした。もう流司さんのダンスがいままでと全然違う~!頑張ってる!あたらしい!
「日本人が桜に美徳を感じるのは満開に咲きながら同時に散っているから」らしいですが、それが表された世界観に感じました。咲くのも散るのも生命力の象徴。生身の身体を酷使しながら板の上で輝く俳優にも通ずるような……という解釈はM1から重すぎるかしら……

DRAGON FIREWORK

ペンラ振りたい~!旗でもいい、振るものをくれ。身体の使い方が今までと全然違って本当に新しい。初めてのはずなのに初めて感を見せないのは流石ですね。「人生は一度きり」と強く歌う流司さんが良い。そこからすぐ「立ち昇るFire 身を焦がすような情熱  今あの空へ」と魂燃やしながら輝く刹那感を情感たっぷりに表して流石です。ぴったりな曲じゃないですか。『Cherry Blossom』と同様、咲うと同時に散る刹那が一つのテーマなのかな。

Higher Ground

桜、花火と続いて、なんとなく四季を追っていくのかな?と思ったら違った。殺陣が刀ミュともナルステとも違う!メンバーによって刀の扱いにどうしても差が出てしまうのは仕方ないのかな。最後の、spiさんが身を屈めて流司さんは立ってるという構図がめちゃめちゃ良いです。なにをしても様になる大きい身体のspiさん……!

Last Quarter

LDHっぽいバラードだ。バラードのパフォーマンスって佇まいが難しいと思うけど、四者四様でそれぞれ違うのに並ぶとしっくりきて、この4人を選んだ人すごいなと思いました。うろ覚えだけど、LDHの大きなライブで360度客席に囲まれたステージが合いそうな4人の佇まいでした。それぞれ違う声質のハーモニーも耳に心地良くて、ずっと聴いていたいくらい。

WELCOME TO NEW WORLD

福澤さんソロ。長い手足を自在に操れる人という印象で、キレのいい身のこなしは観てて気持ちがいいです。すごくキレキレで踊るのに、オフィスを気だるげに歩く姿も様になってるという。自分の身体をどう動かしたらカッコいいかをわかってる人という感じでした。私は秋にバクマンの舞台を観劇予定なんですが、福澤さんは挙動がヤバイ平丸先生役なのでとても楽しみです。

I Believe

プロジェクションマッピングがspiさんの動きと歌声に連動していて見事でした。包み込むような歌声と演出に惹き込まれる。マイ初日でセンブロに座ってたので本当にきれいに観えました。冒頭は身の回りで歯車が散らばってたのが、やがてステージ全体に広がって……という、舞台に立って歌うspiさんというより、spiさんの歌がある空間を作ってる感じ。そういう演出を観ると、舞台芸術を観に来た~という感じがします。

Alter Ego

世界観と曲調は凄い好き。救いのない物語が好きなんです。
完璧なまでに役を演じきる信念だったり、それと表裏一体となって存在している葛藤だったり……流司さんがどのくらい作詞に関わったのかわからないけど、聞き覚えのあるフレーズを歌うたび、彼の仕事に対する姿勢や人知れない頑張りが頭をよぎりました。

ダンサーさんが自身の影や黒子のような演出になってるのもすごく好きです。曲の最後のサビで、ダンサーさんたちがカーテンコールのお辞儀をする後ろでもがく流司さんがとても印象に残っています。

この曲についてはツイッターでもさんざん語ったけど、世界観はしんどくても、この曲はすごく彼に「合ってる」と思いました。救いのない感情や葛藤を表すのがうまいんですよね。人間らしい感情を表すのがうまいというか。地に足がついていない天使たいな純粋無垢さって、人間として生きてればやがて失ってしまうものだと思うんだけど、純粋無垢さとは逆の“地に足がついた人”の感情表現が、流司さんはすごくうまい。でもこの曲で描かれる感情は生き方としては純粋すぎるような感情で、純粋だからこそ堕ちていく……という矛盾がすごく好き。ここまで書いていて自分が何が言いたいのか他者に伝えられる感じがまるでしないぞ。

私は曲名に救われてる部分があるかな。オルターエゴ、意図的に演じられた別人格についての物語。「この物語はフィクションです」と最後に注釈が入るような感覚。でも完全な別の誰かを演じる選択をした心境を考えると……という無限ループに毎回陥る。本当に、なんて曲を歌ってるんだ……!

ところで、この衣装も好きです。カジュアルな素材にシルバーがギラギラしてるの、オシャレだな。

HATE DISTANCE

心之介さんソロ。3人のソロ曲の前後に少しずつ流れる曲は何だろうと思ってたらこの曲なんですね。いまのご時世だからこそ響く歌詞と演出。この曲を耳にした3人がスマホ持って集まって、心之介さんの配信見てるみたいな構成良いですね。心之介さん、透き通るような透明感ある声だけど、芯があって耳に残る。

Breath

普段聴かないタイプのバラードだったので、これも新鮮でした。転換中だからここは映像なんだけど、ライブならどんな感じの歌い方になったんだろう。本編で観られるといいですね。「果てしない追いかけっこ」を2本指でちまちま表すspiさんの可愛さよ。

DRAMA

ダンディキドンダンディキドン♪ドンドンダンダンディキディキドンドン♪意味不明だが覚えてしまう。この曲に限らず後半のグループナンバーほどそうだったと思うけど、4人それぞれ自分のパートじゃなくてもどこかで何かしら絵になることをしてる。階段の上り下りひとつにしても音に合っていて、役の姿で歌って踊るのとは違って「本人」があくまで自分らしく、自由にパフォーマンスしてる感じが観てて楽しいです。

Happy Feeling

ピー!カラーコーン!呼ばれて飛び出て労働だ!アイス降ってきた!レインボーな雨でHAPPY!EASY!SMILEY~!!女子アイドル曲をニコニコ歌って踊る男性アイドルってなんでこんなに最高なんだ。正直、なんでこんな明るくポップな曲が入ってるのか全くわからないけど、楽しすぎて思考停止する。みんな笑顔でかわい~!流司さん高音たのしく歌えるようになって最高~!spiさん見てダブルピース後出しかわい~!最後、逆光のシルエットだけど目に浮かぶぞ、ぺかぺかの笑顔が。

開華

バイオリンっぽいイントロに「ありがちなストーリーは覆せ」「囚われたしきたりにSay “あばよ!”」と歌う流司さんたまらないですね。心之介さんの透き通った声の低音もたまらん。spiさんの読経が入ってるのも意味がわからなくて好き。馴染みのない音楽が私にはひたすら新しくて楽しい公演でしたが、この曲は意味のわからなさという点でちょっとヴィジュアル系にシンパシーを感じました。ゆえに一番好きです。手扇+手拍子したのも楽しかった!照明がバチバチに眩しくて、ミュージカルでもライブでも経験したことなかったもので新鮮でした。

鳴音

いつかアリーナでパフォーマンスする4人の姿が想像できる。流司さんのシャウトは彼のひとつの商品価値になっているので、ここでもしっかり効果的に使われて本当に仕事にハズレがないですね。「僕が君の痛みを優しく包みますように」で広げた腕をぐっと握って、最後の一音で手先ひらひらさせるのも、たまらない気持ちになります。腕ひらひらは刀ミュでもブロビでもやるんですけど、同じ動きでも作品やキャラに合わせてちゃんと違って見えるのすごいと思う。この曲も、いまだからこそ響くという曲でした。この曲が、ZIPANG OPERAを象徴する一曲なのかな。

OVER GROUND

「アンコール元気よくやっていきましょう!よろしくお願いしま~す」で笑ってしまった。「元気よくやっていきましょう!」だけでも通じるのに「よろしくお願いします」がついてしまうのが、腰が低いりゅじさん!そいういうところが好きです。腰が低いから好きという意味じゃなく。イヤモニがブロビだ~専用の作る時間もなかったのか、本当に急ピッチで進んだ企画なんでしょうね。「遠くても離れていても想いを放つ、全部乗り越えて届けてやる」というメッセージが、障害の多いまだからこそ力強く響きます。いつかこの曲で銀テが飛ぶんだろうか。暁の海から出航したこの船が、思い切り大海原を進めますように!

メドレー

千秋楽、煽りでオラつきまくるりゅじさん。最高潮に達するとやはりこうなるのですねやった~!アドレナリンも湧いてて曲が進むにつれて煽りも凶暴になってくので、たいへん楽しかったです。最高潮になってその人らしさが漏れてしまう瞬間、このひとも人間なんだな~て感じる瞬間も好き。ついさっきまで激しく踊ってた名残の中で聴くバラード、曲数増えてメドレーなくなったら観られないんだろうな~……『Happy Feeling』で「ふざけて帰ってくれ~い!」と煽って、自分たちはオペラグラスでふざけるの楽しすぎますね。流司さん本当に高音がよく出るようになった~!推しが楽しそうなのって、本当に何よりも一番の栄養。

カテコ

「今日は本当にありがとうございました!それでは一言ずtrrrrrrrお願いします♪」座長がめちゃめちゃ噛んでるがもはや誰もツッコまない。りゅじさん、座長公演の時ご挨拶の導入でわりとよく噛むよね。spiさんの英語初めて聞きました。聞き取りやすいですね。心之介さん、初めての舞台とは思えなくらいパフォーマンス慣れしてる人だった。福澤さん、煽り担当なのかな?直接的なのもそうだけどパフォーマンスの中で煽るのが上手い人だなという印象。そして座長の流司さん、メドレー中煽ったことをしっかり謝る。腰がひくい……!(2回目)いつもと変わらない姿勢ですね。推せる。

ダブルカテコ

マイクバラシてしまってるので地声で、と出てきてくれた4人。皆が静かにしてる中で地声を響かせるって特別感ありますよね。嬉しいな。流司さん「今回ちょとよくわかんなかったなという人は、もうその時点で船に乗れてませんので、是非もう一度乗船していただいて、酔い止め飲んでいただいて、ついてこいや!!」とまた煽る。観客も人間なので、理解できないものをまた観るかはその人次第だけど、それでもわからかったらまた来てね!と投げかけられるのは、根底に愛があるからじゃないでしょうか。私は酔い止め飲んで乗船しますね!スタオベを目の前にした4人のキラキラした顔見てぐっときてしまう。本編でもこの景色が見られるといいですね。ダブルカテコも煽ったこと、本編で回収するだろうか。

終演後生コメント映像

へぷ兄 「リリースも、したいよね!(棒)」
3人 「「「したいね!(棒)」」」

かわいすぎる。リリースもしてほしいし円盤も欲しい!

そのほかいろいろ

公式のコンセプト通り1曲1曲に世界観があってキャストのパフォーマンスも質が高く見ごたえがあり、いろんな世界観が見れたな~と思います。いまのご時世を反映した歌詞も観られて、いま感じてるもどかしさごとエンタメに昇華してやるぞという気概は頼もしい。まったく違う4人の個性がぶつかって新しい楽しさが生まれてる。それらはすごく良かったと思う。いろんな世界観が見れたのは楽しかった。“桜や花火や演劇や音楽やアイドルや配信者が、お互いに干渉しないけど一緒に身を置いていてなんでも観られる場所”というのはある意味で日本らしいけれど、ジパオペが表現したい日本らしさはそこなのかな?とも思ってしまった。1曲1曲はとても楽しいしクオリティが高いけれど、あれもこれもという感じがしてしまう。私が酔い止め必要だな~と感じてしまったのはそのせいです。本編ではなにかしらがわかるといいな。

これは言ってしまえばどの公演もそうだと思うけど、ハコが抑えられたから間に合わせた所があっても、それを感じさせない努力まで含めて仕事だと思う。人間、限界があるのはわかっていますが……キャストの皆さんはそういう所は本当にプロで、パフォーマンスは素晴らしかったし、新しい流司さんを観れて私はすごく楽しかったです。去年の2月くらいに事務所のHPから流司さんのプロフィールが突然消えて、LDHに移籍したらどうしよう……と私が勝手にめちゃめちゃ病んだんですが、それは完全なる杞憂でした(笑)。LDHが流司さんと仕事して、流司さんがそれに答えるとこうなるんですね。キャストの皆さんに文句はないけれど、私がこの公演に対してちょっとよくわかんないな〜と思ったからこそ、流司さんの「酔い止め飲んでまた来て!」はすごく嬉しかった。こういう気遣いを咄嗟に、それも面白く言える流司さんは本当にプロだなと思います。機転が利くというのも、たくさんの人と関わる仕事をする上での大事な才能だと思ってる。

画像は千秋楽観劇後、めっちゃテンションあがって買っちゃったキーホルダーです。オペラだけにオペラグラスという渾身のギャグ。パンフレットも作らずにオペラグラス売ってるのまじどうかしてる(誉めてる)。