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(仮)成長なき時代の建築論

定常化社会における建築の主題
日本は人口増加が頭打ちとなり、定常化社会へと向かっている。これにより都市・建築の論理は近代化に伴う拡張拡大に対応したものではなく、定常化社会を支える論理が求められるのではないだろうか。
近代化の論理の中で進められて建設行為は、資本主義の流れを進め、その対価として自然環境や既存のコミュニティを破壊してきた。人口縮減による生産力の低下や、度重なる甚大な災害、パンデミックによる社会の変化をみても、資本主義の終焉は現実のものになりつつある。
このような現代社会において、コモンズを再生する新しいビルディングタイプの可能性について論じてみよう。

私の〈思いつくままメモ〉より関連項目を拾ってみる

コモンズ、社会的共通資本、公共性、集落、ブリコラージュ、コンヴィヴィアル、贈与論、入会地、パルマコン、リゾーム、普請、など

思いつくままメモ(宮澤 諒)

私の考えでは、コモンズを再生する新しいビルディングタイプが提示されていないのは、根本的に、

a)ポスト資本主義社会における経済論理と、それに伴うコミュニティ論が提示されていない

からに違いない。これは主として、ポスト資本主義社会における制度的特徴イメージ、新しい経済を導入する論理の構築、立ち上がるコミュニティのあり様が示されていないことにより新たなビルディングタイプのイメージが想起されないことが考えられる。

私は資本主義が発展していく中で、価値観が多様化し、共通の理想が失われているのが今の段階であると考える。ここでいったん既成の秩序を徹底的に疑うことによってラディカルにコモンズが再生する都市・建築の論理の可能性を考え直すことができるはずだ。

これには、

b)社会的共通資本の考え方を現代社会の上で思考する。

このことがコモンズを再生するビルディングタイプを立ち上げる手がかりになると思う。
このほかに、

c)コモンズを下支えする経済論理

d)親密圏を形成するためのコミュニティ論

e)多様な領域を下敷きにした自説の強化

という各要素を提示していくことが新しいビルディングタイプとそれと並走する論理を浮き上がらせていくことに寄与するだろうが、これは具体的な建築としてのリアリティを高めてはくれない。加えて提示されるべき要素として、

f)新しいビルディングタイプの可能性をもつ事例の収集

という要素により、現代都市における実際の建築の展開方法を提示することが必要だ。最後に現段階の思索として、私としては、

定常化社会における、貨幣+贈与経済論理に支えられた社会的共通資本を構築する手立てを示し、コモンズを再生するビルディングタイプを思考し、建築の問題に引き寄せるほかない

ものと思う。このことを(仮の)主題として、この主張を裏付けるために資料調査を進めようと思う。

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