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過去レポ 浅利演出事務所『夢から醒めた夢』 2017.06.15(木)マチネ

過去レポ。

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浅利先生事務所主催公演『夢から醒めた夢』!

もうなんと言ったらいいか、浅利先生の事務所で、そして自由劇場でこの公演を上演してくれることが、この上なくうれしい。
名前の売れた俳優さんはほとんどいない中、作品力と役者を育てる力で、最高の舞台を見せてくれると確信して劇場へ向かった。

そして、期待の上に期待を膨らませて臨んだこの公演。期待し過ぎていたみたいだ。

しかしまぁ、そりゃあそうかも。このピコっていう役は保坂知寿さんの当たり役のひとつで、2002年に樋口麻美さんが新しいピコとして登場したときは「ようやく!」という感じだったもの。奇しくも浅利先生が「天才は20年置きに現れる」と言ったのは、ひとつにはこの保坂→樋口のバトンタッチが頭にあったのは間違いない。
そう、それほどまでに難しい役がこのピコだ。
でもそれ以降、作品のレベルを(ここまでなら)下げても集客に大きな影響がないと判断した劇団四季は、ピコを粗製乱造したのだ(言い過ぎ?)。

秋劇場からも生オケが消え、いつからかこの夢醒めも消化演目になっていた頃、浅利先生が四季から離れ、そして先生の下で夢醒め上演されることが決まったことで、この作品が生まれ変わるチャンスだと思った。
けれど、現実はそんなに甘くなかった。。。

ひとことで言えばこの日の舞台は「プロが2〜3人入った極めて上質な学芸会」であった。

もちろん皆さんすっごくお稽古されたのがわかるし、役を生きようとする姿勢も本当に素晴らしくて、役者やカンパニーの真摯さという点では最高レベルのものだったと思う。
でもなんと言うか、如何せん素人感が拭えないのだ。。。
最大の問題点は、皆さん歌が苦手なこと!

特にオープニングからしばらくを支える配達人とピコが、うん、とっても一生懸命歌っているし声も良いんだけど、プロの歌ではない。。。この時点で私のテンションがかなり下がってしまった。

いや、それはウソか。舞台ファンの私としてはテンション下がったものの、女優さん好きの私のテンションは逆に上がった側面も。
とにかくピコ役の四宮なぎささんが僕好みなのだ(たとえ下手でも)。 彼女を見ているだけで、豊かな気持ちになれた。
正直、この出来なら一回観るだけでいいかとも思ってしまいそうだったが、彼女を(しかも次回は最前列センターで)観ることができるのであれば、ふたたび劇場に行こうと思えた。
パンフに依れば元ヤングナラ。1998年生まれとな。

舞台の話に戻ろう。
マコも多少は歌の心得があるのかもしれないが、やはりアラが目立ち、聞き惚れることができず。
総じて、出演者ほとんどが、本来であれば取らずに聴かせてほしいブレスを、不用意に取りすぎなのだ。歌がブツ切れに聴こえてしまってホントもったいなかった。

エンジェル。いい声してるのだが、それが仇。デビルと声質が似通っていて、あの二人のキャラの対比が活かされていない。
一見イイ人そうなエンジェルが実はそこはかとなく自己中で、デビルが実は心優しい人であるという終盤での反転もうまく描き切れていない感じ。エンジェルはもう少し軽薄そうに演じてほしいところである。

デビルのシモーヌはさすが。光枝さんですら笑いを取れていなかったシーンでさえも笑いを取っていて、演劇センスが光った。しかし悲しい哉、シモーヌも歌が苦手。。。エンジェルとの対比がうまくいっていないことでも割りを食っていたと思う。
それでもこの「プロ」のおかげで舞台が締まったものになったのは確かかな。

グレー3人組は素晴らしかった。というか、過去のベストキャストの完コピを目指したような役作り。個性派俳優を目指すなら失格かもしれないけど、作品の一員としては文句なしであった。
暴走族の野島くんは、四季時代は九郎衛門の太郎坊しか記憶にないながら、レミゼのマリウスもアンジョも最悪だったのでどうしようかと思っていたが(ファンの方すみません)、ホント杞憂でよかった。

最後に、玲子さんにも触れなければ。
舞台好きとしてはこの日この場所に玲子さんがいてくれたことに何よりも感謝したいと思った。これまでに見たどのマコママよりも素晴らしくて、母の悲しみだけでなく、葛藤もビンビン伝わってきた。
夢醒めでのイチオシ泣き場は、わたしは空港での別れのシーンなのだが、この日ばかりはマコママのシーンでいちばん号泣してしまった。
一幕の学芸会も、この二幕の最高の〆のおかげでどこかに吹っ飛んだ(その割にはグチグチ書いてるけど)。

というわけで、わたし的見所まとめ。
・ピコ役の四宮さんの魅力
・グレー3人組の完コピ
・これぞ真の芝居、マコママ玲子さん

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