30歳
30歳の夏には絶対にパリにひとりで行こうって決めてた。
3月末に母と行く予定だったインド旅行がキャンセルになって、コロナの影響で私のパリ行きもなくなった。
何がなんでも絶対パリに行きたい!って高校生の頃から思ってた。20歳までにルーブル美術館でMonna Lisaを見るんだ!って決めてたのに、どういうわけか20歳の夏、私はドイツにいた。
ファッションに憧れた高校時代。デザイナーになりたくて文化服装へ進学したいと言ったら、母にあっさり断られた。
もしそんな学校卒業したって、デパートの売り子さんで終わるんだって言われて、私の夢はあっさり消え去った。ねじ伏せられても立ち上がる自信もなかった。
大人しく短大に進学して、やりたいことも無かったので就職活動も、毎日みんなと同じスーツ着て面接しては落とされるのがカッコ悪いと思ってしなかった。
絶対って存在しないんだと思った。絶対無理だとか、絶対行くとか。
気持ちの中での"絶対"!私を信じて!の"絶対"はあるかもしれないけど、人生って何が起こるかわからない。
ただ、絶対ってのを最初からないものと思って諦めるのとは、またちょっと違う気がする。
何が起きても動じない人間になりたいと思った。明日地球が滅びたとしても、私の人生サイコーだった!って思えるように、絶対後悔したくないと思った。
人生の中で、起こることのほとんどは自分の選択によって起こってる。
でも突然車に突っ込まれて死ぬのは理不尽だと思うけど!
どんな嫌なことも、失敗も、誰かのせいにしたくない。もちろん腹を立てて友人に愚痴ることはあるが、きちんと自分で処理する。
そのことについて分析して、振り返る。本当に必要なものなら、そのうちまたやってくるし、要らないものは、捨てたってことにすら気付かない。
今は行けないかもしれないけど、いつかちゃんとフランスに行きたいと思う。
今年行けないからこそ、行ける時にちゃんと行こう!後回しにしないにしよう!って決めた。
このご時世の中で、こんな事が起こったから、決めることができた。
昔を思い出すことができた。田舎を飛び出して、仕事もないのに東京で一人暮らししようと決めた21歳。NYに行こうと決めた23歳の12月。
状況に嘆いてばかりいないで、先のことを考えて前向きに生きようと思った。
Manami
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