君になんと言われようと
自分がこんなに相手のことを思っているのに、こんなに合わせているのに、こんなに我慢しているのに。
って思ってた。
それに答えてくれない君が酷い人に思えて仕方なかった。
でもそんな不満と同じだけ、綺麗な思い出がたくさんあった事も思い出した。
壁の薄いアパートで大声で歌う君が懐かしい。
そんな無神経なくせにポストに管理会社から苦情がきて、狼狽てる君を電話越しで笑ったのも覚えてる。
メンタリストのDaigoさんが、失恋はアイデンティティーの喪失だって言ってた。
君になんと言われようと、あなたは既に私の一部で、目に見えない何かに流れているんだなぁと思った。
だからいなくなると寂しくて、心にポッカリ穴が空いたみたいになるんだって。
フランスに留学しちゃうような人になりたかった。自分が叶えられなかった事を叶えてた君が眩しく見えただけなんだ。
男の子なのにStaubの鍋なんか持ってる君によくわからない期待をしたんだ。
香水の匂いが大好きで、君がいなくなってから私も使い始めたんだよ。
地球上でたった一人の運命の人を探す事は不可能で、だから人間は、出会った人を運命の人と勘違いする。っていうのを、どこかで読んだことがあって、
私たちはいつも期待する。本当のことなんて誰もわからないのに。物事はもっと単純で、ロマンチストはいつもバカを見るのかな。
物語はハッピーエンドにしたいの。
全部きれいに終わりたくて、終わらせる事を期待するの、相手の気持ちも知らないで。
私が罵ってたことは、全部自分勝手なことだったんだって気付いた。
え、待てよ、彼ってそんなに悪くなくない?って。
だから、君になんと言われようと、君に与えてもらったたくさんの綺麗なことを、私は覚えていようと思った。
君と同じ香水なんて2度と使わないし、エルメスのスカーフなんか捨ててやるって思ってた。
でも、初めて首に巻いてくれたスカーフが、嬉しかった。君の一部になれた気がしてたんだ。
だから、君になんと言われようと、嬉しかった事だけを、綺麗な思い出のまま、そっと取っておこうと思ったんだ。
ただそれだけの事なんだけど。
何かに伝えたくて。
メモ。
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