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エモーショナル

僕は今ジムにいる。

そして、焦っている。

持ってきたと思った短パンが見当たらない。

ふと、

高校時代、体育会系の僕にとって、クソつまんない授業の合間にたまに挟まる体育という至高の時間。

その直前の着替えの時、1つ前の地学とかいうタバコよりも嫌な臭いが染み付いた学ランを脱ぎ捨て、

まるで秋口の金木犀のように香り華やかで優しく僕の身を包んでくれる体操着を着ようとしたら、ないのだ。

短パンが。

学生鞄の奥底に手を伸ばすと、早弁して中身が空のカラカラと鳴る弁当箱の下に挟まっている短パンを発見。

無事に体育に出た。

あの青春していた頃のことを思い出していた。

幸いにも今となっては地学の嫌な匂いはしていないが、変わりに社会というあの頃よりも少し嫌な臭いがついた衣を脱ぎ捨て、

あの頃と変わらない金木犀の匂いを頼りに短パンを探した。

奥底に金木犀の煌びやかな花束と見間違えるほどの短パンを発見。

まさにエモーショナル。



儚く、そして短い、

金木犀の匂いを嗅ぐ度に、エモくて楽しかった記憶が蘇る。

でも、あのころの俺よ。

時に社会はう○この100倍臭うが、その倍金木犀の匂いも華やかになったぜ。

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