イカ、何処へ。
今年の年越(去年の年越し?)は大阪のばーちゃんちへ帰省。
最近は年末年始は大阪にいることが多く、今年30歳を目前としてなおばあちゃんじいちゃんがまだ健在というのはこの上ない幸せだ。
そんな中、正月に食べようとばあちゃんがイカを買いに行ってくれた時の話をしてくれた。
「イカ2杯買うたらな、1杯いなくなってんな」
開口一番度肝を抜かされた。
まず意味がわからない。
きょとん顔を無事に炸裂させた後、続きを話してくれた。
「さっき商店街でな、イカ買うてん。で、家に着いて確認したらな、イカが1杯消えててん。海に帰ったんかな。」
いや、だから何回丁寧に話してくれたとて意味がわからない。
まず大阪市内とはいえ、大阪湾までイカが歩いていくにはそこそこ距離があるし、そもそも僕の知ってるイカは魚人海賊団のイカロス以外歩いているのを見たことがない。
続けて
「でな、店に電話してん。入れ忘れかも知らんと思って。でもな、そんなことないですって言われてんな。おかしな話やで。」
うん、ほんまにおかしな話やで。
あんたがやで、ばーちゃん。
店の人はなんも悪くないわ。
いくらせこいせこい言われる大阪人だろうと、年寄りのばーさんが息子孫に正月食べさせることを伝えた上で恐らく買うたそのイカは確実にお会計の対価として受け取っているはずだ。
その辺の人情味はほかの県の人より溢れているよ。
終始終わりの見えない話を聴いていると、じーちゃんがイカを持って帰ってきた。
…
……
………
あれ?
しばしの沈黙の後、
じーちゃんが一言。
「イカ、家の前に落ちてたで」
笑った。
初笑いを中々のテンションで持ってかれた。
上半期は超えないんじゃないかレベルの1本取られた。
なんだ、ばーちゃんのフリをきかせたボケだったのか。
安心安心。
ボケじゃなくて呆けが始まっちゃったのかと思ったよ。
聞くと、シルバーカーの座ることも出来ますよゾーンにイカ2杯が入ったビニール袋を置いていて、なにかの節に1杯だけ落としちゃっただけやったんやと事の瑣末が分かり一安心。
ひとまず良かった。
…
ほんで、じーさんよ。
家が軒並ぶ場所でそのイカがよくばーちゃんの落としたイカだと気付いたな。
せこい大阪人の性ですか。
あーこの話ほんまに思い出してまだニヤけるわ笑
ばーちゃんじーちゃん長生きしてな。
また帰るで!