見ることは作ること
10月1日、東京藝大院の最後のセメスターが始まった。つい先日入学したような気がするが、もう終わりに近づいている。 30歳になってまた「学生」になり、気がつけば4年近く学んでいる。そして今、そういう身分ももういいやと感じているタイミングで、そこから離れて次の何かになろうとしている。
フランスから帰国後、しばらく展覧会を観る気分になれずにいたが、東京滞在中にようやく何個か観に行くことができた。すると、頭の中でアイデアが湧き出てきて、そのまま新幹線に飛び乗り金沢に戻った。今はアトリエで個展の準備をしている。良い作品、良い展覧会とは創造性を誘発するものだと思う。そう考えると、他人の作品や展覧会を見るという行為そのものが、作るという行為とイコールなのかもしれない。
東京都現代美術館で開催中の開発良明さんの展示は良かった。良い意味で脱力感があって肩の力が抜けた。「そんな難しいこと考えなくていいよ」と言われている気がした。美術をやっていると、つい難しいワードを使ったり美術史や哲学から引用して理論武装しがちだ。要するに怖いのだ。自信がないから、強そうな言葉で自分を覆いたくなる。つい先日提出した解説論文のドラフトも教授から「論理の飛躍がある」と言われたところだ。ある人によると、30代とはそんなものらしい。それを経て50代とか60代になってくると、こどもでもわかるくらいの言葉や表現を扱えるようになってくるとか。
一方で、期待していたのに全く刺さらずにモヤモヤした展示もあった。昨日終了した
もしよろしければサポートお願いします!制作/活動費として大切に使わせていただきます。