Filton (フィルトン)のデザイナー インタビュー / 田邉さん、せっかくなので僕が上野を案内しましょうか?(後編)
こんにちは、荒岡です。 今回は新鋭ブランド”Filton”(フィルトン)の眼鏡デザイナー 田邉さんのインタビュー記事の最終章です。 前回に引き続き、僕が地元である上野のおすすめの場所を案内しながら、田邉さんのこと、ブランドのことなどお伺い致しました。 ぜひ、ご覧ください。
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荒岡 「田邉さん、もうすぐ到着します!」
田邉さん 「いや~、アメリカンカジュアルからデザイナーズまで見ることができる上野ってすごいですよね。 しかも美味しい食べ物もありますし。」
荒岡「よかった!! 本当にそうなんですよ!! 今日は、上野、御徒町を満喫していただきたいです!! あ、着きました! こちらです!!」
田邉さん「すごい素敵な感じじゃないですか!!」
荒岡 「こちらは、オーダーメイドの家具のお店の"WOODWORK"さんで、カフェも併設しているんですよ。 それでは、入りましょうか。」
田邉さん 「うあっ、店内に入ると結構広いんですね!!」
荒岡 「そうなんですよ! 広いから居心地がいいですよね。 とりあえず、休憩しましょうか。 この置いている家具は、こちらで作られていて、その家具に座ってお茶ができるんですよ!」
田邉さん 「なんか贅沢な空間ですね。 あっ、このコーヒーもすごい美味しいです!!」
荒岡 「こちらには、プロのバリスタの方がいて美味しいコーヒーを提供してくれるカフェなんです。」
荒岡 「奥に家具がたくさん展示してあるので、見に行きませんか?」
田邉さん 「ぜひ、見たいですね!!」
荒岡 「あれ? ここの代表の藤本さんじゃないかな。 藤本さーん!」
藤本さん 「あれ、荒岡さんじゃないですか! お茶しに来てくれたですか?」
荒岡 「じつは、今日、福井から眼鏡のデザイナーの田邊さんがお越しになられたので、おすすめの上野、御徒町のお店をご紹介しているんですよ。」
藤本さん 「ゆっくり見ていってください。 よかったら、少し説明もしますよ。」
田邉さんと荒岡 「ありがとうございます!!」(二人揃って)
田邉さん 「あの、こちらの椅子、格好いい形状していますね。」
藤本さん 「これは、うちの定番で作っている椅子です。 背もたれのところは、”かんざし”という技術で作られていて、いわゆる差し込みする製法ですね。 あと、さらに強度を出すために背もたれの中央部分に木のダボを下から打っているんですよ。」
田邉さん「やっぱり、手が込んでいますね。 そして本当に綺麗な仕上がりです。」
田邊さん 「こちらはオーダー家具のお店と伺ったのですが、皆さん、どうやってオーダーされるのですか? 家具のオーダーって、どうやって行うのかが分からなくて。」
藤本さん 「そうですよね。 あの、うちには、たくさんの作品事例があるので、そういうものを参考にされたり、オリジナルデザインの家具も製作しているので、そういったものを参考にしてオーダー家具を頼まれる方は多いですね。」
田邉さん 「なるほど!! それでしたら、オーダーしやすいですね。」
田邉さん 「あちらに置いてある天板もいいですね!」
藤本さん 「お店に来る方は、木が好きな方が多いので、天板だけ買っていく方もいらっしゃるんですよ。」
田邉さん 「なんか、その気持ちはわかります!!」
荒岡 「そうだ、藤本さん、地下にある家具の製作所を少しだけ拝見させていただけないでしょうか?」
藤本さん 「いいですよ。 地下に製作所責任者の斉藤がいるので、いってみてください。」
田邉さんと荒岡 「ありがとうございます。 いってみます!」
~二人で地下の製作所に向かう~
田邉さん「うああ、店舗の地下がこんなになっているですね!」
荒岡 「こんにちは、斉藤さん!!」
斉藤さん 「あ、荒岡さん! どうしたんですか?」
荒岡 「先ほど、藤本さんにお願いして、製作所を見せていただけないかなと思って伺いました。」
斉藤さん 「そうだったんですね。 どうぞゆっくりと見ていってください。」
荒岡 「こちら、眼鏡デザイナーの田邉さんです。 今、福井から仕事で東京に来てまして。」
田邉さん 「斉藤さん、はじめまして! 自分も物作りをしているので、製作現場とか大好きで。上の店舗で家具を拝見させて頂きましたが、どれも素晴らしい作り込みをされてますよね。」
斉藤さん 「ありがとうござます。 当たり前のことですが、家具はお客様が長く使用するものなので、一つ一つ丁寧に使いやすく仕上げてます。」
田邉さん 「ちなみに製作されるもは何が一番多いんですか?」
斉藤さん 「ああ、やっぱり、椅子とテーブルを製作することが多いですね。」
田邉さん 「たとえば、今まで作った中で、製作が難しかったものとかはありますか?」
斉藤さん 「んー、そうですね。 以前に製作させて頂いたもので、表面と裏面がある書棚で横3メートル、縦5メートル以上ある書棚を製作した時は、結構な大きさだったので、やはり製作に時間がかかりましたね。」
田邉さん「それは書棚のタワーですね!! そんなに大きいものが作れるんですね! ちなみに、小さいものですと、製作されているものは何かありますか?」
斉藤さん 「小さいものでしたら、毎年、木で干支の置物を製作してまして。よかったら、上の店舗にあるので、見に行きますか?」
田邉さんと荒岡 「ぜひ、見たいです!」(ふたり揃って)
~3人で上の店舗に移動する~
斉藤さん「これが先ほどお話していた干支の置物です」
田邉さん 「おお、抽象的で洒落てますね。 すごいかわいいです。」
斉藤さん「工場には、自分以外にも職人がいるので、この置物は、その時によって製作している人が違ったりするのですが、これは自分が作りました。」
田邉さん 「いやあ、5メートルを超える家具から小さな置物まで、全てを手仕事で製作されている”WOODWORK”さんはすごいですね。」
斉藤さん 「ありがとうございます。」
荒岡 「斉藤さん、色々と説明していただき、ありがとうございました!」
斉藤さん 「いえいえ、またお気軽に見に来てください!」
荒岡 「よ~し、田邉さん、次はうちのお店の”RUTTEN_”に行きましょうか? 渾身のレモンサワーでおもてなし致します!」
田邉さん 「ぜひ、飲んでみたいです!!」
~WOODWORKさんから少し歩いてRUTTEN_に到着~
荒岡 「田邉さん、RUTTEN_では、レモンサワーを33種類作ってまして。 お好みとかありますか?」
田邉さん 「えっ! 33種類もレモンサワーを作ってるんですか!! そんなにあったら選べないですよ!!(笑) 荒岡さんのおすすとかで願いしても大丈夫ですか?」
荒岡 「田邉さんは、甘い方が良いですか? それとも甘くない方が良いですか?」
田邉さん 「僕はどちらも好きなんですよね。」
荒岡 「そうしたら、最近作ったもので、”フレンチレモンサワー”とかはいかがですか?」
田邉さん 「フレンチレモンサワー? いいですね!! 僕、フランスが大好きなので、それでお願いします!!」
荒岡 「承知いたしました!! 少々お待ちください。」
田邉さん「楽しみだな。 お、来ましたたね!」
荒岡 「どうぞ、お試しくください!」
田邉さん 「おおっ、 これ、めちゃ美味しいです!! 結構好きかもです!」
荒岡 「よかった~~! このレモンサワーは、ブランデーがベースになったレモンサワーなんですよね。 僕が宮崎県からマイヤーレモンという品種を取り寄せてまして、そのレモンときび砂糖で自家製レモンシロップを作ってるんですよ。 そのシロップとレモン果汁とブランデーで作ったレモンサワーですね!」
田邉さん 「だから、ほんのり甘味を感じるんですね。 甘すぎない感じが絶妙です。」
荒岡 「お褒めいただき、ありがとうございます!!(笑)」
田邉さん 「あ、そうだ、僕が作っているの”Filton” (フィルトン)新作を持ってきていて、荒岡さん、よかったら見ませんか?」
荒岡 「ぜひ、見たいですね!!」
田邉さん 「こちらです。」
荒岡 「おお!!! なんですかこれ!! めちゃくちゃ凝ってますね!!!」
田邉さん 「そうなんですよ!! 今回は、ファッションで目にすることがあるコーデュロイとクロコダイルを眼鏡で表現できないかなと思いまして製作しました。」
荒岡 「なるほど!!」
田邉さん 「じつは、見た目ではわかりづらいのですが、このプラスチック素材は、2層のカラーになってまして。」
荒岡 「確かに裏面がクリアカラーになっていて2層になっていますね。」
田邉さん 「この2層の素材に型押しで模様をつけようとすると、圧力がかかった際に、2層の層が圧力で崩れてしまうので、通常では型押しはできないんですよ。」
荒岡 「なるほど、そうなんですね。」
田邉さん 「僕はデザイナーでもあるのですが、ずっと工場で物作りをしていた経験と難しいことにチャレンジしてくれる福井の工場の仲間がいるので、協力してもらい2層の型押しをなんとか成功させました。 多分、これは初の試みだと思います。」
荒岡 「なるほど! すごいですね!!」
田邉さん 「眼鏡の生産地の福井でデザインできる環境なので、何かアイディアがあれば、信頼できる工場のメンバーと一緒にチャレンジできると思うんですよ。 じつは工場って、結構保守的なところも多かったりするんですけど、自分の周りには協力してくれる方々がいて、本当に助かってます。 そういう仲間たちと一緒に新しくて良い物作りをしていきたいですね。」
荒岡 「確かに工場に新しい技術が増えれば増えるほど、選択の幅が広がり、新しいデザイン、クリエーションが広がりますよね。」
田邉さん 「自分がチャレンジすることもそうなんですけど、自分よりも若い人たちももっとチャレンジしてほしくて、今、そうい土壌を作ろうと試みてるんですよね。」
荒岡 「いや~、本当に今後が楽しみですね。」
田邉さん 「荒岡さん、すいません、話していて気持ちが高揚したせいか、レモンサワーを飲み干してしまい、もう一杯だけ、いただけないでしょうか? 今度は、少し甘めのものが嬉しいです。」
荒岡 「承知しました! すぐにに作ってきますね!!」
田邉さん 「次は、どんな感じなんだろう? おお、来ましたね!!」
荒岡 「お待たせしました! ”銭湯帰りのレモンサワー”です!」
田邉さん 「なんですか?この色味?? 珍しいですね!」
荒岡 「じつは、この近辺とか、台東区って、有名な銭湯とかサウナが結構ありまして。 サウナの帰りとか銭湯の帰りにレモンサワーを飲みにくる方がいるので、そういう方に喜んでもらえたら良いかなと思い、これは作りました!」
田邉さん 「だから、”サウナ帰りのレモンサワー”とかもあったんですね!」
荒岡 「そうなんですよ!」
田邉さん 「さっそく、いただきます! うお!!これ! 新しい!!美味しい!!!」
荒岡 「よかった~!! デザートカクテルみたいな感じなんですよ!」
田邉さん 「コーヒーの味があって、乳酸っぽい味もあって、でも、まとまってる感じなんですよね。」
荒岡 「複合的な味ですよね? これは、湯上がりにのむコーヒー牛乳とか乳酸飲料とかをイメージして作ってます。 エチオピアとタンザニアのブレンドで作った自家製コーヒーリキュールに和風マッコリ、自家製レモンシロップを合わせて作っています。 レモンと乳酸、そしてコーヒーフレーバーという新しいタイプの味だと思います。」
田邉さん 「荒岡さん、すごい研究してますね! レモンサワーって面白いです!!」
荒岡 「ありがとうございます! これからも僕は、眼鏡とレモンサワー共にずっと研究し続けます!」
田邉さん 「自分もこれからもずっと精進します! あの、やっぱり”Filton”(フィルトン)の強みって、真似されづらいことを出来ることだと思ってまして。 先ほどの2層のプラスチックの型押しもそうですし、細かいことですとアセテートテンプルを芯がない所でかしめたり。 強度の事を考えると通常はやらないと思いますけど、僕はもともと生産の人間なのでその境界がわかると思ってまして。」
荒岡 「確かに。 それは強みですねよね。」
田邉さん 「常識で諦めていた事を諦めないでモノづくりを自分はしていきたいです。 制作の限界を一歩越えるようなチャレンジを。 あと、デザインに関してなんですが、Spangle call Lilli line(スパングル・コール・リリ・ライン)というバンドが結構好きで、あるインタビュー記事の中で、彼らは、全方位に好かれようとして、創作してなかったと話されていて。 全方位に目を配らせると角がなくなって、丸くなっていくから、リスナーとの接点は増えても、表現として均一になってしまうと話されていて、本当に自分も同じように考えてるんですよね。」
荒岡 「なるほど! デザインのエッジーさと技術の追求ですね!! 田邊さんのクリエティブがこれからもすごい楽しみです!!」
田邉さん 「はい! 頑張ります!」
荒岡 「これからも期待してます!! 田邉さん、今日はすごい楽しかったですね!」
田邉さん 「荒岡さんのおかげで上野周辺を満喫できました!! すごい楽しかったです!!」
荒岡 「良かったです!! ところで、田邉さん、締めの言葉で最後に言わないといけないことありましたよね?」
田邉さん 「え?? あああ! やっぱり! 荒岡さんのレモンサワー最高でした!!!」
荒岡 「その言葉!! 待ってました!!!」(二人で大爆笑)
最後まで、ご覧いただき誠にありがとうございました。
< 眼鏡とクラフトat RUTTEN_ >
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夜の部 19時~21時30分(BAR クラフトレモンサワー)
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TEL 03-6284-2675
定休日 月曜日
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