FAXが必需品!!葬儀社でもFAXはバリバリの現役です。無くなったら仕事できない!!
こんにちは、ルトです。
突然ですが、皆さんの自宅にFAXはありますか?
最近は固定電話も少なくなってきたので、FAXを自宅に設置している人も少なくなってきました。今や新規で設置する人の方が珍しいでしょう。
そしてネットを見ていると、あちこちで「FAXは廃止してほしい」「FAXなんて時代遅れもいいとこ」「外国ではあり得ない」といったいわば「FAX不要論」が噴出しています。
とはいうものの、今も官公庁だけでなく一般企業でもFAXは現役で使用されています。使用頻度もかなりのものなので、今後もFAXが淘汰されることは当分ないでしょう。
僕が勤めている葬儀社でもFAXは使っていました。
むしろ業務用ケータイと同じく必需品と言ってもいいもので、FAXが無いと「業務が完全に成り立たなくなる」ほどに重要なシロモノでした。
・司会者や接客係、納棺師や送迎バス、香典帳作成などの手配。
・香典返しなどの返礼品や通夜振る舞いに精進落としなどの料理の手配。
・個人や会社関係の供物の注文。
これらは全て、FAXによって手配や連絡が行われていました。
なぜFAXでここまでやりとりしていたのか?
そこには日本企業の風土や商習慣だけでは説明できない、とっても合理的な理由がたくさんありました。
司会者や接客係、納棺師や送迎バス、香典帳作成などの手配
司会者や接客係は、葬儀社が自前のスタッフとして抱えていることもありますが、僕が勤めている葬儀社では例外なく、業務委託している外部のスタッフさんです。
なので必然的に、企業同士のやり取りになってきます。
そこで司会者と接客係を手配をするにあたって、FAXで依頼書を送付していました。
FAXで送る依頼書には、次のようなことが書かれます。
・喪主の氏名と故人様の氏名。住所に電話番号といった喪家の情報。
・通夜と葬儀の日程、開式時間。通夜と葬儀の場所。
・宗旨宗派と寺院名。僧侶の人数。(宗教によって変わります)
・香典返しの数。弔電の数。
・ナレーションの有無。
他にもありますが、だいたいこのような内容です。
依頼書をFAXで送りますと、相手企業からの連絡があり、そこで手配が行われます。これはメールなどで送ることもできることではありますが、依頼書はパソコンで日程表などと共に作成されます。そのため、メールに内容を添付して送るよりも、FAXで送った方が相手方に素早くかつ確実に連絡できるのです。
これは司会者や接客係だけでなく、納棺師や送迎バス、香典帳作成などの依頼書でも同じことです。
葬儀の依頼が入りますと、入ったその日に通夜を行うということも少なくありません。そうなりますと、素早い連絡と依頼を行わないと、間に合わなくなって喪家に多大なるご迷惑をおかけしてしまうことになります。
そのため、確実に依頼を相手方に伝えるのは、非常に重要なことです。そのためには、FAXは確実に送信ができて相手方ですぐに確認ができる、まさに無くてはならない存在です。
香典返しなどの返礼品や通夜振る舞いに精進落としなどの料理の手配
香典返しや通夜振る舞いに精進落としといった料理は、葬儀においては非常に重要なものになります。これらに対するこだわりは今も強く、内容によっては葬儀や葬儀社のイメージを大きく左右するとても重要なものです。
それらの手配も、FAXで行っていました。
僕のような葬儀担当者は、喪家との打ち合わせにおいて香典返しや料理の内容を伺います。その際に、注文書に記入していきます。この注文書は非常に重要な書類でして、記入するのは香典返しの種類や料理の内容に品数だけではありません。お子様などでアレルギーを持っている方がいらっしゃったりなど、個別でメニューを用意する際などにその旨を記入するなど、細かいことも記入されます。
もちろん注文書は3枚の転写式になっていまして、それぞれ会社、担当者、喪家と渡して情報を共有します。
そしてこの注文書を、調理部門へFAXで送ります。
調理部門の事務所には常に人がいることと、記入した内容をそのまま送信先ですぐに見れるため、重宝されています。
これだけで終わりではありません。
通夜の後や葬儀の日の朝などに、喪家から料理内容について変更が生じることがあります。多いのが、来れない人が来ることになって、料理の数が増えることです。
この際にも、注文書に数量に変更があったことを記入して、すぐに調理部門へとFAXで知らせます。この場合は緊急性も高いので、電話もかけて確実に相手方に届いたことを確認しています。(FAXが間に合わない場合は先に電話で数量を伝えてから、FAXを送っていました)
個人や会社関係の供物の注文
葬儀の日程が決まりますと、喪家の親族や喪主の友人知人、そして勤め先の会社関係から供花や果物籠盛といった供物の注文が入ります。
供物の注文を受け付けるときにも、FAXを使っていました。主に注文用紙をFAXで送付し、それに記入してもらって、返送してもらうことで手配しています。
これには大きな理由が2つあります。
・名義の確認のため。
・相手方にだいたいFAXがある。
この2つです。
供物の注文において、供物につける名義は大変重要な情報です。
名義は「〇〇家兄弟一同」といったものや、個人名や会社名から「〇〇地区老人クラブ一同」などのようなものまでさまざまです。
この名義を間違ってしまった場合、クレームに繋がります。たった1字であっても、間違いは決して許されません。
さらに漢字などは、電話口では確認が非常に難しいのです。そのため、書面で送られてきて目で確認ができ、そのまま生花部門や調理部門に送れるFAXは大変便利です。
そして供物の注文をするのは、個人よりも会社関係が圧倒的多数です。
会社の場合、ほぼ間違いなく相手方にはFAXがあります。フリーランスでやっているような場合はともかく、官公庁でも大企業でも中小企業でも零細企業でも、ほぼ100%に近い確率でFAXはありました。
公式サイトなどから注文することもできましたが、その場合も情報はFAXにまとめられて送られてきます。
注文する側としても、送られてきた注文用紙にそのまま記入して返信するだけという手軽さで、FAXでの注文が多数でした。
なおこれ以外にも、次のような形でも使われてきました。
・寺院から戒名がFAXで送られてくる。
・喪主様からの依頼で勤務先の会社や、スマホを持っていない高齢の親族に訃報をFAXで送る。
・故人様が入居していた老人ホームが弔電を出すため、訃報をFAXで送るようお願いしてくる。
・打ち合わせの後に追加で供物の注文が喪家からあった場合、遠方の喪家だとFAXで事務所に送ってもらって供物の手配をする。
葬儀社にFAXは必需品
以上のことから、葬儀社ではFAXは必需品です。
いくら時代が変わったとしても、これは今後もあと20年は変わらないものではないかと思います。
特に供物の名義については、FAXですぐに確認できるのは本当に便利で、書いてある通りに名義を作成すれば、まずクレームにはなりませんでした。
FAX廃止を声高に叫ぶ人を見ていますと、まるでFAXに親でも殺されたのかと思うようなことがあります。
アメリカでも現役なうえ、官公庁はもとよりほとんどの企業に導入されて通信手段として現役のFAXを、どうしてそんなに廃止したがるのか理解に苦しみます。
僕も最初は「えっ、まだ使っているの?」と思いましたが、実際に使って見ると「便利なものだなぁ」と感心することが度々ありました。FAX廃止を主張する人は、ただ単に使い方を知らないか、ネガティブイメージを抱いているか、もしかしたら働いた経験が無いのかなと思ってしまったりします。
少なくとも「何が何でもFAXは悪い文化! 絶対廃止!!」みたいなことを主張している間は、賛同者はそこまで増えず、内輪だけで過激な方向に向かっていきそうで怖いです。(某宗教団体のように)
デジタルとアナログの利点と欠点を理解し、使い分けていくのが最も賢い方法であり、時代遅れだからと排除するのは間違いだとFAXを使うたびに思い起こされます。
それではっ!