眠れない夜にミルクコーヒーを
数年前、時々夜中にこっそり会う人がいた。
なにをするわけでもなく録り溜めた録画を見たり、たわいもない話をしながら夜が更けていった
あの頃の私は
理由なんかなくても会える関係になれたらいいのに。
と思っていた。
''会いたいから会う'' で会えば良かったんだろうけど当時はそれが許されないような気がしていた。
会う時はどっちかの誕生日だったり、クリスマスだったり、なにかと理由をつけて会っていたのでケーキをよく食べていた。その時にあの人はいつもミルク多めのコーヒーを飲んでいたことを会わなくなった今でもたまに思い出す。
人は関係性に名前をつけたがる。
かくいう昔の私もそのひとりで、当時はあの人の特別な''ナニカ''になりたかったのだと思う。
でも名前なんてものに効力などありゃしないのだ。
今とはなってはあの頃は無意識に自分に多くの縛りをかけてたり、世の中の常識と言われることを気にして雁字搦めになっていたんだなと思う。
風みたいに自由で気まぐれでいたい。
人の頬を優しく撫でるように吹くこともあれば、叱咤するように厳しく吹く日もあっていい。
自分の世界の創造主は自分なのだから、もっと好きにわくわくで生きていこう。
それでもたまに眠れずに昔のことを思い出してしまった夜はどうせ眠れないのならとミルクコーヒーを飲むのだ。
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