
舞台 PSYCHO-PASS VV2に友人が出演したので観てきた【ネタバレ注意】
以下の文章には重大なネタバレが含まれているため、気にする方はブラウザバックを。
さて、舞台 PSYCHO-PASS Virtue and Vice 2は私も好きな人気アニメ、「PSYCHO-PASS サイコパス」の舞台作品第二弾である。
11月下旬に明治座で東京公演が行われ、12月上旬から今日にかけて大阪公演が行われている。丁度私がこの文章を書いている頃に、千秋楽の幕が開けているというわけである。
PSYCHO-PASSは元々シビュラシステムに統治された、ディストピアでの出来事を描いた作品で、舞台版も例に漏れない。ざっとあらすじを説明したい。
舞台はなんと私の友人である河野賢治氏が演じる外務省の男から始まる。(アンサンブルだって聞いてたのにいきなり知ってる男の声から舞台が始まったからビックリした。)
ちなみにパンフレットの人物紹介にも名前のみとはいえバッチリ記載されてて嬉しかった。
しかし河野賢治演じる外務省の男、写真左の光宗管理官と怪しい取引をした矢先、開幕1分後に写真右の神宮寺司に殺害される。
お、死体役かぁ。良い役貰ったなぁ。
そしてその死体はスーツケースに詰められ、「トロリープロブレムを見逃すな」という謎のメッセージと共に公安局へと届けられる。
この事件を解決するため、主人公、嘉納 火炉(かのう ひろ)監視官の所属する公安刑事化三係が動くことになる。
一体トロリープロブレムとは何を意味しているのか……
事件に関与している疑いのある特別自治区NNDの実態とは……
という話の流れだ。
ちなみにトロリープロブレムは現代日本でもよく話題に上がる倫理学のトロッコ問題のことである。5人を救うためには1人を殺さなくてはならないとき、あなたはどうするか?というアレだ。
シビュラシステムはジェレミ・ベンサムが唱えたユーティリタリアニズム(功利主義または公益主義)の下に最大多数の最大幸福を求め様々な判断を下す。
その過程で、トロリープロブレムのように一部に犠牲を必要としてしまう事もなかには存在する。
そんな時はどうするのか。その答えの一つとしてシビュラはある決定を下した。
「1人の方を、殺しても良い人間にすれば良いのだ。」
シビュラはサイコパスを測定し、犯罪係数が100を越えた人物を"まだ犯罪を犯していない場合でも"犯罪者として扱う。
シビュラはその犯罪者をシステムを最適化するための人体実験に利用していた。
特別自治区NNDはその人体実験の隠れ蓑として作られた聖域であり、殺された私の友人もそれに荷担していたというわけだった。
NNDの治安維持組織の幹部である神宮寺はこの悪事の片鱗に気付き、止めさせるためにNNDに潜入していた元監視官であり、悪事を公安に気付かせるためにわざと外務省の参事官を殺し公安に届け、NNDを調べさせたというわけであった。
その公安のトップ、シビュラシステム自体がこの人体実験の首謀者であるともしらずに……。
シビュラという深淵を覗く主人公らの運命とは……。
ただこの辺りは神宮寺自身も悪事を暴くために何人もの被害を見過ごすなど、トロリープロブレム的な行動を起こしており主人公に指摘されることとなる。
結局、なにかを犠牲にしなければ大義は果たされないのか……
考えさせられるストーリーであった。(世界で一番考えてない感想)
そもそも現代日本でさえ正義と悪は分かれておらず、グレーな行為や犠牲の出る決定はよくある話なので、PSYCHO-PASSの世界は怖いなぁで終るべきでは本来無いのだが。
主人公、嘉納火炉役の和田琢磨さん。かっこいい。
ちなみにこの公演の見所はいくつもあるが、まず目につくのは殺陣が上げられる。PSYCHO-PASSにはドミネーターという特殊な銃があるためにあまり殺陣があるとは思わずに観たのだが、そこは明治座、思った以上にあった。
舞台冒頭の殺陣で見られる、中央上の女性、逆咲執行官のハイキックなんかは滅茶苦茶綺麗でかっこよかった。どうやら小さい頃から空手を習っていたらしい。なるほど。
あと相関図の右側に常守朱とあるが、冒頭で音声のみ出演されている。アニメファンとしては非常にワクワクする。
出演で言えば忘れてはならないのが山路和弘さんの出演である。
山路さんは雑賀譲二という、臨床心理学の専門家としてアニメに登場するキャラクターの声優を務める方だ。
なんとこの山路さん、雑賀譲二役として出演されたのだ。
声は当たり前だが雑賀譲二の声でありながら、風貌もそっくりであった。
いやー驚いた。映像出演とはいえかなり喋る。アニメも好きなファンとしてはあんなに心踊ることはないだろう。
大阪公演も終ってしまった後ではあるが、非常に良い舞台だったことをお伝えしておきたい。
1万2000円払った価値ありでした。
賢治、お疲れ様!