スーパーマリオシリーズの『繰り返される』歴史
こんにちは。らすてぃーです。
まもなく「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」が発売されますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
さて、今回の記事ではスーパーマリオシリーズの歴史に隠された(?)秘密をご紹介したいと思います。僕がTwitter(現X)を始めたころから温めており、とある理由でどうしてもこの時期に書きたかったネタでもあります。
スーパーマリオシリーズは、1985年に初代「スーパーマリオブラザーズ」が発売されて以来、38年(2023年現在)の歴史があります。その長い歴史を振り返ると、とある法則が存在するのです。
その法則が、この記事のタイトルになっている「『繰り返される』歴史」です。どういうことかというと、原点回帰を意識した「Newスーパーマリオブラザーズ」以降、スーパーマリオシリーズの作品は歴史を繰り返すように過去作品の要素が入れられているのです。
※あくまで"仮説"です。この法則はほとんど確実に存在すると考えられ、それを裏付ける証拠も数多く存在しますが、公式からは一切言及されておりません。
この記事ではこの法則が正しいという前提をおいて話を進めていくものとします。
0.年表
最初に見ていただきたいのが、こちらの「どの作品がどの作品と対応しているか(共通点の多い作品であるか)」をまとめた年表です。
この年表は、「Newスーパーマリオブラザーズ」を境目として、上がそれ以前(1周目)、下がそれ以降(2周目)の作品になっています。
対応している作品がちょうど時代順で並んでいることがわかると思います。(この年表にギャラクシーおよび2を入れなかったのは、「明らかに2周目の作品ではないけれど、2周目の最初であるNewスーパーマリオブラザーズよりは後」という微妙な位置に存在するためです)
それでは、ここからはそれぞれの作品群について、具体的にどのような要素に共通点があるのかを見ていきましょう。
※本来は各共通点について画像で補足を入れる予定でしたが、当原稿をワンダーの発売までに間に合わせるために割愛しました。そのため、各作品をプレイしていないとイメージしづらい箇所が多々あります。ご了承ください。
1.「初代」と「New」
初代「スーパーマリオブラザーズ」と「Newスーパーマリオブラザーズ」は対応関係にあります。
「Newスーパーマリオブラザーズ」自体が原点回帰をテーマに掲げていますし、「スーパーマリオアドバンス」シリーズなどのリメイクを除けば10年以上2Dのスーパーマリオが出ていなかったので、「2Dのマリオである」ということそのものが、初代の要素といえるでしょう。
また、ポーズ画面でコマンド「LRLRXXYY」を入力するとできる「ひみつのチャレンジモード」は、初代をイメージした要素であるといえます。
実のところ、「Newスーパーマリオブラザーズ」および「NewスーパーマリオブラザーズWii」は「繰り返される歴史」を裏付けるほど「初代」そのものへの回帰を意識してるわけではありません(DSの一部のコースのデザインや、Wiiには7人衆やヨッシーが登場することなど、マリオ3やワールドを意識した要素も十二分にあります)。
ただ、これ以降の作品を見ると「順番に過去作の要素を入れる」という方針はほぼ間違いなく意識して行われているので、この方針は次章で紹介する「スーパーマリオ3Dランド」の開発時期あたりで定まったのではないかと勝手に推測しています。
2.「3」と「3Dランド」
「スーパーマリオ 3Dランド」にはタイトルに「3」が入っていることもあり、3を意識した点が数多く見られます。
タヌキマリオ(と地蔵マリオ)
一部ブロック・背景のデザイン
飛行船ステージ・ブンブン戦
各ワールドの間でピーチから手紙がくる
ここでは(筆者にとって都合よく)マリオ3との共通点ばかりを紹介しましたが、ワールド1のクッパの正体がクリボーだったりと、初代マリオのネタなども入っています。
ちなみにその後に発売された「Newスーパーマリオブラザーズ2」は、マリオ3の要素とワールドの要素が混在しています。次章で紹介する「NewスーパーマリオブラザーズU」とちょうど中間に位置するわけです。
ちなみにそれぞれの例を紹介しておくと、マリオ3の要素としてしっぽマリオ、ワールドの要素として砦のボスであるブイブイがあります。
3.「ワールド」と「U」
これまでは小ネタ的な要素としての側面が強かったのですが、このあたりから、システムの根幹の部分に特定の過去作の要素が関わってくるようになります。「NewスーパーマリオブラザーズU」では具体的に、
各ワールドに(数字ではなく)名前がついている
ちびヨッシーが登場する
隠しワールドが星形をしている
といったあたりが「スーパーマリオワールド」と一致しています。変身に関しても、ムササビマリオはマントマリオと機能が非常に近いです。
4.「USA」と「3Dワールド」
続いて「スーパーマリオ3Dワールド」です。この作品は「スーパーマリオUSA」との関係が強いです。
最も大きな共通点として、使えるキャラクターがマリオ・ルイージ・ピーチ・キノピオの4人であり、それぞれアクションに差があるという特徴があります。
また、USAには従来のようなパワーアップアイテムはありませんでしたが、よく登場するアイテムの1つにチェリーがあったので、3Dワールドに登場する「ダブルチェリー」はこれを意識しているのかもしれません。
そのほかにも小ネタ的なつながりでいうと、
舞台がキノコ王国ではない
スロットマシンのBGM
ワールド☆へ移動するロケット(USAではワールドのワープにロケットが使われる)
といった点が挙げられそうです。
(ついでにすごく飛躍した繋がりを1つ。3Dワールドではコンプリートするために全キャラクターで全コースをクリアする必要がありますが、これはUSAのもととなった作品である「夢工場ドキドキパニック」ではクリアするためにすべてのキャラクターでマムーを倒す必要がある、ということに由来しているのかもしれません)
そしてもう1つ、「スーパーマリオUSA」の要素を取り入れた作品があります。それは「進め!キノピオ隊長」です。登場するコースは3Dワールドのキノピオ隊長コースとを意識したものとなっており、3Dワールドと非常に関係の深いスピンオフ作品です。
最初のコース名が「旅立ちのひっこぬき峠」であるように、今作におけるメインアクションは「ひっこぬく」です。キノピオ隊長はジャンプができないので、生えているカブを引っこ抜き、それを投げることで敵を倒していきます。これはまさにUSAの要素であるといえるでしょう。
余談1.「ペイント」と「メーカー」
WiiUで発売された「スーパーマリオメーカー」はスーパーファミコンで発売された「マリオペイント」と共通点が非常に多いです。アンドゥ犬とロケット・オトアソビ・きろくロボット(2では「コースロボット」に変更)・ハエたたき…などなど。
コース作りのツールとしてお絵かきソフトであるマリオペイントとの相性が良いというのはもちろんですが、マリオペイントの発売はUSAと64の間であり、マリオメーカーは3Dワールドとオデッセイの間。マリオシリーズの30周年記念ということで発売されたマリオメーカーですが、偶然とは思えないほどちょうどいい時期に発売されたように思えます。
5.「64」と「オデッセイ」
かなり共通点が多いです。例をあげるとこんな感じです。
箱庭型3Dマリオ
(キノコなどのアイテムではなく)帽子を使った変身
ワープできる絵画
キノコ王国の要素いろいろ
特にキノコ王国は64ネタの宝庫で、パワームーン(キノコ王国のものはパワースターの見た目をしている)を入手したときのBGMが64のものになっていたり、64のピーチ城を完全に再現したエリアがあったりします。
6.「サンシャイン」と「フューリーワールド」
「フューリーワールド」は、先ほど登場した「スーパーマリオ3Dワールド」のSwitch版が発売された際に同時に収録された作品です。3Dワールドはコースクリア型ですが、こちらは64やオデッセイに近いゲームシステムになっています。
この2作の共通点はかなりわかりやすいと思います。例を出すと
ネコ"シャイン"
クッパJr+ブラシでのラクガキ
水がメインのフィールド
といったところが共通点です。
ちなみに、当時からこの説を推していた自分は紹介映像を見て(あまりよい表現ではないですが)「あまりにも共通点が露骨じゃないか」と感じ、そろそろ任天堂公式がこの記事でまとめたような内容を公言するのではないかと思っていました。結局そうはなりませんでした。
余談2.フューリーワールド以降
フューリーワールドが予想通りサンシャイン要素を盛り込んだ作品であったことを見届けたあと、次のマリオはどうなるのか、という疑問が浮かび上がりました。
選択肢として考えられるのは以下の2つでした。
1.サンシャインの次のスーパーマリオシリーズである「Newスーパーマリオブラザーズ」の要素の強いゲームが出る
2.「Newスーパーマリオブラザーズ」は「2周目」の作品なので、それを飛ばして「スーパーマリオギャラクシー」の要素の強いゲームが出る
それからしばらくして現れたのが「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」でした。情報が順次公開されていった時期から、この映画は果たして選択肢1と2のどちらの枠なのか、ということを考えていました。
結論から言うと、残ったのは選択肢1でした。
選択肢2については、映画にルマリーというチコのキャラクターが登場することや、ピーチの「宇宙は広いのね」というセリフがPVで公開されていたことから、ギャラクシー要素が結構あるんじゃないかと考えていました。ただ、実際に映画を見たらそうでもなかったので、この説はおそらく違うだろうということになりました。
(ちなみに2の選択肢については、2022年に発売された「マリオ+ラビッツ ギャラクシーバトル」がその枠なんじゃないか、という説も思い浮かびましたが、さすがに外伝作品にまでは適用されていないだろうということで除外しています)
選択肢1については、映画化という「まったく新しい試み」を行うことが「Newスーパーマリオブラザーズ」の枠としてふさわしいものであると考えていたからです(正確に言えばマリオの映画化は何度かされていますが、あまりうまくはいきませんでした)。マリオとルイージが乗っているワゴン車のロゴがNew仕様であることなども早い段階から公開されており、しばらくはこの説が当たってるのではと思っていました。
そんな中、今年の6月に「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」が発表されました。
7.そしてワンダーへ
この記事の最初に「とある理由でどうしてもこの時期に書きたかったネタでもあります」と書きました。ここまで読んでくださった方はすでにお気づきかもしれませんが、とある理由とは「スーパーマリオワンダーの発売が迫っているから」です。
この時期にこのような作品が発売されたのは、まさに「歴史の2周目が終わったから」ではないかと、そう考えています。開発記事で語られていた「Newスーパーマリオブラザーズシリーズとは全く違うものをつくりたい」というのは、「2周目」とは異なるものをつくりたい、という意味でもあるのではないかと感じています。
この先、マリオシリーズがどうなっていくかは全くわかりません。「3周目」に突入するのか、それとも全く違う方向に進んでいくのか。しかし、どんな道を進んでいくにせよ、スーパーマリオシリーズは今後もプレイヤーに新たな楽しさと驚きを与えてくれることでしょう。
かなり長くなりましたが、要するに言いたいのは「マリオワンダーを楽しもう!」ということです。(発売前なので当然)自分はまだプレイしていませんが、マリオシリーズの歴史の詰まった作品だと思います。マリオワンダーの「新しさ」を楽しみつつ、マリオシリーズの歴史に思いをはせながらプレイするのもいいかもしれません。
ではまた次回!