国語辞典と青春のアルバム
ある日国語辞典が改定されるというニュースが流れてきた
そこにいた教授のような方いわく、国語辞典とはその現代の流れに必要な言葉だけを取り揃えて並べるカタログだと、そこからいらなくなった言葉を捨てる作業を8年ぶりにするらしい
リーベ、なんて普段なかなか使わない言葉も辞典から消えるらしい
ちなみにこのリーベはドイツ語で愛するとか恋人なんて意味らしい
水兵リーベ僕の船のリーベってなんやねん、と思っても今後国語辞典では探せないことになる
その今回なくなる主な言葉の一覧を見ていると、とても懐かしい単語が書かれていた
『ミニディスク』
なにっ、あのミニディスクがなくなる?
あのミニでお馴染みのミニディスクだぞ……?
ミニと言ったらミニモニ。かミニディスクの2大看板でやらしてもらってるあのミニディスクが……?
あんまりミニディスクとは言わないか、MDのことでございますよ
ほんの15年前まで全盛期だった媒体が、言葉として世間の目から外れることになるのかと衝撃だった
そこに出ていた私と年齢が5つほど違うアナウンサーが、聞いたことはあるけど使ったことはないと喋っていた
ジェネレーションギャップだ!!!
2世代くらいでこんなに違うのかとこれもまた衝撃だった
ミニディスクは平成初期生まれの私の青春だ
アルバムのCDをTSUTAYAで借りてMDに落とす、こうやって音楽に触れてきた
シングル借りるのはもったいないから絶対アルバム
TSUTAYAさんには本当に長いことお世話になり、今でもTSUTAYAさんにはおしりをやすやすと向けては眠れない
ポルノグラフティやゆず、いきものがかりといったその当時活動していたバンドのアルバムを借りに借りてMDに焼き、ウォークマンで出先で楽しんでいた
そんな中で出会ったのが、JUDY AND MARYだった
私が小学生にあがったあたりには、すでに解散していたバンド
めちゃイケスペシャルの回で流れて、この曲歌声も歌詞も好きすぎると思い、流れるエンディングのテロップを見逃すまいと確認した『BLUE TEARS』と『JUDY AND MARY』の文字
TSUTAYAで検索機を使いアルバムを見つけると、見たことあるような覚えのあるイラストのジャケット
今でこそスーパーミルクチャンの田中秀幸さんのイラストだと分かるけれど、本当に線や色味だけで既視感やこの方のだと分かるイラストを描かれる方を尊敬する…
私、小学生の頃スーパーミルクチャンの水色のサイフ使ってたのよ、えへへ
JUDY AND MARYのそのアルバムを何度も何度も聞き、それと同時にガールズロックを試聴してあさった
SHAKALABBITS、けちゃっぷマニア…
私もそうだったように学生の頃は流行りモノを聞く人だらけで、少し前に流行ったけど好きすぎる曲を伝えることに臆病だった
未来ある若者たち、今を生きる学生のときに過去を見聞きしたがる人は少なかったかもしれない
それに誰か共感してくれる人はいただろうけど、私だけの秘密の曲な気がしてふふふと大人びてみせてたのかもしれない
そのあと2.3才くらい上の人達とカラオケでその曲を歌っても何その曲?顔されない空間が好きだった
そばかすよりも、小さな頃から
星空の下でもSunny Day Sundayを歌ってもいい
THE BLUE HEARTSも月の爆撃機が好きなんだ、と6個くらい年上の元カレの前で歌っていた
今ではサブスクで聞けてしまう懐かしいと呼ばれてしまう曲たち
DVDやBlu-rayのあとの記録媒体って出てこないですよね、と言っていた人がいた
私がデータですよねと伝えると、そうですよね、データですよねと少し寂しそうにしていた
消えるモノにノスタルジーになる
ミニディスクという私の青春は、辞典からは消えるけれども、心のアルバムには残しておきたい
CDのアルバムをMDに焼いてただけに
お後は……よろ、よろし……