病院の少年(課題:ホラー)


これは、病院を転々とし、転院先で大人ばかりの病棟へ入院することになった当時7歳の少女が体験した病院での話である。

当時7歳で原因不明の脱力症状を発症。
長期の検査入院をしていた。
病院を転々とし、とある1つの病院で小児科に入れず、周りに大人しかいない病棟で過ごすことになり、「1人つまんない!」それが当時の口癖。
実際、周りには大人しかおらず、同年代の子が一人もいなかったのです。
そんなある日の夕方、母が着替えや必要なものを取りに家へ帰っている間、話し相手もおらず、退屈していた私の部屋へ
コンコンッと誰かがノックした。

看護師さんかな?
そう思いながら、個室の引き戸を引いた。

「こんにちは」
そこには患者服を着た同い年くらいの少年が立っていた。
「別病棟の同じ階に同い年の子が1人入院しているって聞いて、気になってきちゃった!」
その男の子はそう笑い、少女の手を引いた。
「公園に行こ!」
少女は驚きながらも、久々に歳の近い子と会い、疑問よりも先に嬉しさが勝っていた。
冬の夕方はもう暗く、公園なんて近くにないはずなのに、何も疑問に思わず気づくと私は公園にいた。
外は暗く、電灯がついて人気のない公園に少年と2人。
遊んだ。とても楽しかった。久々だった。
そこで、ふと考える。この子は一体誰?
やっと疑問に思った少女は少年に聞いた。
「ねぇ、君、名前は?なんで病院にいるの?」
そう聞くと少年はニコッと笑いながら
「僕はしょうぎ たろう。心臓が悪くて君の向かい側の棟の同じ2階に入院しているんだよ。」
と答えた。なんというか、初めて聞く少し変わった名前だと思った。
「そろそろお母さん帰ってきちゃうかも。戻らないと!」
そう言うと少年が
「もう少しいいじゃん」
と腕を掴む。
少女は少し怖くなり
「私帰る!」腕を振り払った。

…………………………

「あれ?ここ...」
気がつくと一瞬にして病室にいた。
「気づいた!?」
帰宅していたはずの母が私を抱きしめる。

「...たろうくんは?」
と呟く少女に
「誰?」と母が不思議そうに聞き返す。
「さっきまで一緒に遊んでた...」
「あなたはずっとこの病室にいたのよ。」
少女は何を言ってるのか理解が出来なかった。

後々話を聞くと、少女が少年と遊んでいる間、病室では男性看護師4人と母に抑えられてもなお抑えきれないほどに、何かに取り憑かれたように少女は暴れていたのだそう。
ちなみに向かい側の2階は少年の言う通り、心臓などに疾患のある人達が入院する病棟で皆顔を青くした。

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