シナリオを書き写す
半年ほど前から、販売用の小説が書けなくなってしまった。ここ数年、自分のやりたいことのトップに君臨していたのが『物書き』だったため、書けなくなるとどうしたらいいかわからなくなった。
書けなくなった理由は、
夏の終わりから、自律神経系の体調不良が続いて、パニック障害の症状が頻発するようになったこともあるし、
ずっとやってみたかった小説の販売を始めたものの、約2年やった結果の平均売上を見て、これを続けるべきか?と迷いが出たことも一因だと思う。
とりあえず体調を整えることに重きを置きながら生活をしていたが、書かないのもまた、何もやっていない自分にストレスが溜まる。
そんな折、体調不良に気持ちを左右されずに生活することに慣れるため、何かしらの自分が淡々と出来る作業をやった方がいい。
とアドバイスされ、
写経……ではなく、とある映画のシナリオをただただ書き写す、という作業を始めた。
私は根っからの、物語・ストーリー好きであるらしく、シナリオの書き写しを始めてみると、これがまたやたらと楽しい。飽きずに出来る。
Kindleで買ったシナリオブックの内容を、ノートにひたすら手書きで書き写す。
楽しいだけで、これが何になるのかさっぱりわからない。書き写したからといって、自分でそのうちオリジナルのシナリオが書けるようになりそうな感じもまったくしない。いまのところ。
でも、ただただ楽しくて、一人でニヤニヤ笑みを浮かべながら書き写している。
──とうとうシナリオのラストのシーンまで写し終わってしまったので、母親に、「新しいシナリオを買ってまた書き写すのと、いま写し終わったシナリオをもう一回書き写してみるのと、お母さんだったらどっちがいいと思う?」となんとなく訊ねてみた。
すると、「何回か同じものを書き写す方がいいと思う。1回目と2回目じゃ感じることや気づくことが違うかもしれないし、最低3回、同じものを書き写してみたらどうかな」と言われた。
それを聞いて、『私、もうずっとそういう“習練”のようなことやってないなぁ』と思ったので、母親のアドバイス通り、ひとまず3回、同じシナリオを書き写してみることに決めた。
1回目、2時間弱の映画のシナリオは、毎日書き写し進めると、思ったより長くなかった。
3回書き写し終えたら、私はどのようなことを思うんだろうか。なにかしら掴めるだろうか。なにも掴めないだろうか。
今はまだわからない自分の変化を楽しみに、2周目に入る。