【映画】自己の無意識の価値: 濱口竜介『偶然と想像』
「言語化できない未決定の領域に留まる才能です。(中略)
自分だけが知ってる自分の価値を抱きしめなくてはなりません。(中略)
そうして守られたものだけが、思いもよらず誰かと繋がり、励ますことがあるからです。」
映画「偶然と想像」の瀬川の台詞は、秀逸である。
それは、自己の中にある無意識の価値の大切さを教えてくれるからである。
「言語化できない未決定の領域に留まる才能」とは、自分でも完全には理解できない曖昧な領域に存在する創造性や可能性を指している。この領域は、未だ形になっていないがゆえに、外部から評価されることが少ない。
しかし、それは必ずしも欠点ではなく、自分だけが知る「無意識の価値」を大切にすることが求められる。
この台詞が示唆するのは、他者からの評価に左右されず、無意識の領域にある自己の価値を信じて守る力が大切だということである。社会や他人の視点に頼りすぎると、創造性が損なわれたり、個性が薄れてしまう可能性がある。
しかし、自分自身が信じて大切にしているものは、必ずしも目に見える形ではなくとも、予期しない形で知らない他者と繋がり、共鳴し、時には誰かを励ます力を持つことがある。
これは、創作を行うすべての人に対して、自分の無意識の価値や才能を信じ、他者からの評価にとらわれすぎず、自分を守り続けることの大切さを教えている。