【歌詞】純粋な飾らない魅力: 華原朋美『I'm Proud』

 華原朋美の「I’m Proud」は、傑作である。

 それは、夢を追い求める葛藤の中で、飾らない魅力が感じとれるからである。

「声にならなくても
想いが時には伝わらなくても
笑顔も泣き顔も全てみんな
かならずあなたに知ってもらうの」

 心の内に秘めた思いをどれだけ伝えようとしても、時にはそれがうまく伝わらないという葛藤。それは言葉にできない感情が内に積もっていく感覚である。人はしばしば、言葉にすることができないほど強い感情を抱えることがある。伝えたい思いがあっても、それがうまく表現できない、あるいは相手に正確に伝わらないというジレンマは、誰もが経験するものだ。言葉にできないことで、もどかしさや無力感が募り、それでもなお伝えたいという切実な思いが、この歌詞に込められている。

 自分の気持ちが相手に伝わらないとき、人は孤独を感じる。この孤独は、誰かに自分の本当の姿や感情を知ってもらいたいという強い願望と、それが叶わないかもしれないという不安との間で揺れ動く心の表れである。

 このフレーズには、飾らない魅力が感じられる。感情をすべて知ってもらいたいという願いは、純粋で、真摯なものだ。自分の弱さや涙も含めてすべてを相手に知ってほしいと願うことで、自分を偽らずにありのままの姿でいようとしている。

「I’m Proud」は、内なる葛藤や孤独を抱えつつも、自己肯定感を見出し、それを支える存在との出会いを通して成長する心の旅を描く。名作である。

いいなと思ったら応援しよう!