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【短編】ドヤ顔VAR

 電車内の静寂は突如、隣に座った男の声で破られた。

「いやー、俺、天才かもしれない。」

 彼の声には自信があふれていて、その顔には自慢げなドヤ顔が浮かんでいた。突如、その光景が止まった。男の自慢話が車内全体を静まり返らせた。それから数秒間、男のドヤ顔と電車内の静寂が空間を支配した。それはまるで時間が止まったかのような、不思議な静けさだった。

 それから突然、鋭い笛の音が響き渡った。人々はその

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