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蠍座の満月

5月16日 13:14 蠍座の満月です。

蠍座

蠍座とギリシャ神話


ピーテル・パウル・ルーベンス〈パエトンの墜落〉1604年 ワシントンナショナルギャラリー

太陽神アポロンの息子にパエトンという青年がいました。
パエトンは父が太陽神であることを誇りに思っていましたが、友達は誰も信じてくれません。
そこでパエトンは父に会いに行き、太陽の戦車を貸してほしいと頼みます。
アポロンはこれを拒否しましたが、パエトンの変わらない意志に根負けし貸すこととします。

そしてパエトンが手綱を握った、4頭だての戦車は順調に走り出します。
しかし、行く手には、夜空の星座達がおり蠍座のサソリを観たパエトンが怖くなってひるむと、(または馬がサソリに刺されたため)馬車はとたんに暴走をはじめ、地上や天空を滅茶苦茶に走り回りました。
太陽の戦車が近づいた地上は火事が起こり、天空も焦がしてしまいます。アポロンは、ついにゼウスに息子の暴走を止めるよう懇願します。ゼウスはやむなくパエトンを雷光で殺しました。

蠍座の中の月

蠍座の中での月は、12星座の中でも最も居心地が良くない状態であって、月が自己表現することを難しくさせているとされています。
それは、先ほどのパエトンの神話にも包含されているように、自分の目的(感情)を表現しようとすると、蠍によって阻止される、という矛盾を突きつけられてしまうのです。

なぜなのでしょうか。

月は本来、自分自身の感情を表現するものと解釈されているのですが、
それは太陽に照らされて日々変化している「感情という生き物」そのものであるとも思えます。
牡羊座で生まれた私という感情が、天秤座までの旅を経て蠍座にさしかかると「蠍」という死を司るものに「初めて」対峙します。
それまで、感情を表現することを多少たしなめられたことはあったにせよ、「蠍の毒」ほどに強い抑制(すなわち死)は経験がありません。

月が体験するもっとも大きな困難が蠍座による「感情の死」なのだと、「体験」するのです。

パエトンが乗っていたアポロンからの借り物である馬車は壊され、自分の力で立ち向かわなかった報いがゼウスによってもたらされます。
そして父アポロンもまた、愛息を神(ゼウス)の雷によって失うという大きな代償を払うのです。

蠍座の支配星である冥王星は、死と再生を司る神ハーデスですが、これも「偽りの真実」は破壊し尽くします。
借り物や偽りの感情は壊され、自分のものだと思っていた「感情」が、自分の根源から湧き上がってくるものであるのかそうでないのか、
シビアに振り分けられるのが蠍座という場所になります。

そんなシビアな状況にある月を、牡牛座の太陽が真正面から照らすのが満月です。
牡牛座の中での太陽は、物質的な面に関心を向けて経験を積みます。
五感を研ぎ澄まし、形や構造との一体感を持つようになります。

蠍座での満月は、満月本来が持つ『形』に加えて、
シビアな感情をもっと昇華させたものとして注意深く観察した結果、
偽りや過去を手放し、存在の中に平和・平安を見出します。
それは、無私の心が真に望むものであり、暗闇を光に変えるものとなります。
蠍座が持つ深い繋がりも照らしますので、大切な人との関わりにも思いをはせるようになります。

蠍座の満月

満月図を見てみます。

蠍座の満月

月は3ハウス、太陽は9ハウスにあります。
3ハウスは近距離の移動やコミュニケーションのハウス
9ハウスは長距離の移動や哲学・探究のハウス
満月のラインには、水瓶座の土星がスクエアでかかり、Tスクエアを作ります。
牡牛座の太陽、蠍座の月、水瓶座の土星
いずれも不動宮で形成される、Tスクエアはプレッシャーのかかる配置です。先端の水瓶座の土星は強大な壁として立ちふさがるようです。しかし、不動宮は、自分の価値やアイデンティティに関連していて、自分を取り戻すための行動を起こすことを促す配置でもあります。

また魚座の海王星と火星が満月に調和的な角度でかかります。
こちらも、Tスクエアとは異なるアプローチで、自分の意図や価値を見出すことを助ける配置となっています。

さらに、今年の蠍座の満月は、皆既月蝕となっており、蝕を伴う新月や満月はその影響が長く続くと考えられています。
蝕とノードについては、こちらの記事もごらんください。


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