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水瓶座の冥王星(2025年1月更新)自立と自律

2024年11月に水瓶座に入った冥王星はこれから20年近く水瓶座に滞在します。水瓶座の冥王星について、もう一度おさらいしたいと思います。

ギリシャ神話

冥王星は、ギリシャ神話のハーデスです。
ハーデスは、クロノスとレアの息子として生まれました。冥府を支配する前は弟たちに協力的な頼れるお兄さんでした。
ゼウスが彼らの父であるクロノスに戦いを挑んだ時も共に闘いました。
クロノスに勝利した後、ハーデスは死者の国である冥府を支配するようになります。これにより、ハーデスはオリンポスを離れることとなり「オリンポス12神」ではなくなります。

ハーデスの神話はほとんどなく、ハーデスといえばデーメテール(乙女座)の娘コレー(冥府名ペルセフォネ)を浚う神話くらいです。この、ハーデスがコレーを浚うことになったいきさつには多くの神の謀り事が積み重なっています。
女神アフロディーテとデーメテールの対立を軸に大神ゼウス、太陽神アポロンと、オリンポスの神々が関わっています。

アフロディーテのことを良く思っていなかったデーメテール。アフロディーテも、デーメテールのことを良く思っていません。デーメテールを困らせるために、ハーデスがコレーに惚れるように仕向けます。コレーに一目ぼれしたハーデスは、ゼウスにコレーに会わせてくれるよう頼みゼウスの許可を得てコレーを浚います。
愛娘コレーの姿が見えなくなったデーメテールは半狂乱になりながら探し回ります。そして、ハーデスによって冥界に浚われたこと。ハーデスにコレーを浚う許可を与えたのはゼウスであるということを太陽神アポロンから聞き出します。アポロンは真実を伝える神なので、本当のことを言ってしまうのです。
ゼウスの謀り事であることにショックを受けたデーメテールは、一切の豊穣の女神としての責務を放棄し、オリンポスを去ります。すると、地上には干ばつと深刻な飢饉をもたらす冬が訪れました。ゼウスはデーメテールにオリンポスに戻るよう説得しますがデーメテールは帰ろうとはしませんでした。ついにゼウスはデーメテールの怒りを解くため、ハーデスにコレーを地上に帰すよう進言します。
しかし、コレーは冥界の食べ物である柘榴を食べてまっており、ペルセフォネー(冥界の女王)となっていました。
このため、1年の1/3を冥界で2/3を地上で過ごすことで、
デーメテールの怒りは収まりました。このことで地上には四季ができました。ペルセフォネーが冥界に降りる季節は冬となりました。これはギリシャ神話の中でも悲劇として描かれていますが、当のハーデスとペルセフォネーはその後も仲睦まじく暮らします。

原初のギリシャ神話では、この冥界にまつわる神話は、ペルセフォネー自身がそうなるように仕向けた、というお話もあり、ペルセフォネーとハーデスは豊穣神(作物は地中から芽を出して成長する)としての役割があることも、この話の信ぴょう性を高めているようです。
謀り事の結果、冥界に住まうことになったハーデス彼の元には、死した神々が集まり、冥府の審判を執り行うようになります。牡牛座の神話で登場する、エウロパの息子たち(ラダマンテュス、ミーノス、アイアコス)は冥界での審判や秩序を守っていきます。

冥王星

占星術における冥王星は蠍座の支配星で「破壊と再生」の意味を持ちます。しかし冥王星はなんでも破壊しているわけではありません。冥王星が破壊するのは「偽りの上に成り立つもの」です。 
 ・役に立たなくなった体制やしがらみの上に成り立つもの 
 ・自分には必要のないもの
 ・まやかしであるもの
これらを破壊して、新たな再生を促します。それは単なる再生ではなく、変容(トランスフォーメーション)です。

水瓶座の冥王星

冥王星が求めるトランスフォーメーションは、水瓶座が意匠する事柄へと向けられていきます。水瓶座は風の不動宮。山羊座(地の活動宮)で作られた体制の見直しと自由度の確認、集団と個人の自由を高めていきます。自由は無秩序と異なり、ある一定の秩序や義務も含まれます。秩序や義務は個人の自由のためではなく、集団の維持のためにあり、個人は一定の義務を負うことで集団の中での自由を保障されています。

山羊座が作った組織よりも広い範囲に及ぶ「自由意志で繋がった集団」世界を作るのが水瓶座です。その集団の維持のために私欲を認めないのも水瓶座です。その水瓶座に冥王星が入ることによりどんな制限が解除されるのでしょうか。山羊座の中での冥王星は、さまざまな旧態依然のつながりを壊していきました。
水瓶座自体が、山羊座の不具合を調整する働きを持っているので、破壊にさらに拍車がかかるという見方もあれば、個人主義を認めないことを壊すことで、さらに個人の動きの速さが加速されるという見方もあります。
科学や技術の全く新しい形が生み出されたり、科学技術の常識を覆すことがどんどん進んでいきます。

でも、個人をあまり顧みることのない水瓶座の中で自由を求めることや、技術革新を進めること、それらを広く共有することのはざまで悩むことも多くあるでしょう。
水瓶座では自由だけでなく、公平が大きなテーマになりそうな感じです。公平や平等は、とても満たされている状態と考えてしまいがちですが感情的な満足度は必ずしも高くはありません。
山羊座で冥王星は組織の在り方を問い続け、山羊座末期になると世界中で秩序の崩壊がおこりました。その流れは水瓶座に入ったら止むどころか加速度的に進んでいくと思います。頼るべき組織や集団そのものが崩壊してしまうこともあるでしょう。そんな時人々は、自分の足で立ち自分の頭で考えることを余儀なくされます。このような「自立と自律」はある意味「平等」にもたらされることになります。
謀り事の末に、冥界入りしたハーデスとペルセフォネー、死して冥界に来ることになった人間を冥界の神が裁くとき、自立と自律が裁くポイントになるというのは、水瓶座冥王星にもかなりフィットする話ではないかと思います。

ちなみに、冥王星が発見されたのは1930年のことで当時発見した惑星にはローマ神話の神の名前を当てることになっていてプルート(ギリシャ神話ハーデス)と名付けられました。
その後、冥王星は準惑星となりますが占星術的には1時代を示す天体として重要視されています。

地上と冥界のはざま
占いと科学のはざま
惑星と準惑星のはざま

ホロスコープのベースとなるのはこの水瓶座の冥王星です。私たち一人ひとりにも冥王星の影響は静かに確実に起こっています。
境目や拠り所がないところで、信じるのは自分のみ、という強い気持ちが必要な20年になっていくのだろうと思います。


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