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日本酒万歳!

1 気付いたら日本酒

 私は、大学生時代から、気付いたら日本酒を好んで呑むようになっていた。
 飲み会や友人宅での宅飲みでは熱燗をたしなみ、帰省すれば親父が冷酒を準備して手ぐすね引いて待っていた。
 今でも日本酒を好んで呑むようになった理由は、我が事ながらよく覚えていない(苦笑)。自然と日本酒に親しんでいた。ともあれ、この日本酒好きは、今に至る日本酒遍歴の基礎になった。
 ちなみに、初期の好きな銘柄は、上善如水(じょうぜんみずのごとし、新潟)だった。

2 「好き」から「愛」ヘ

 私は、社会人になり、結婚した後も、主に日本酒を呑んでいた。特に銘柄にこだわらず、味わいも「まぁ、これくらいで良いや」程度で高望みしていなかった。
 そんな私が日本酒愛に目覚めた大きな転機が訪れた。
 あれは、2017年のこと。近所の喫茶店で夜に日本酒の屋台が出るイベントを知り、興味本位で行ってみた。
 その屋台こそ、今や我が家の仕入れ先として掛け替えのない存在となっている
    SakeBase
が出店していた屋台だった。
 当時のSakeBaseは、軒先を借りてささやかに日本酒1杯1杯を提供する営業を展開していた。
 しかし、営業はささやかながら、SakeBaseの日本酒に対する情熱は途方もなく熱かった。まだ20歳そこそこの若者2人が店を切り盛りし、提供する日本酒を丁寧に説明してくれた。提供されて呑んだ日本酒は、どれも初見だったが、味わい深く、日本酒の奥深さを垣間見ることができた。
 そして、SakeBaseの2人が熱く語ったのは、提供する日本酒にとどまらず、日本酒の魅力。いかに素晴らしい日本酒文化が根差しているかを語る姿に、はるかに年上である私は心惹かれ、夢中になり、「日本酒好き」から「日本酒愛」に目覚めた。
 ただ呑むだけではなく、各地域に根差した地酒の歴史や製法に思いを馳せ、日本酒文化を守りたい。そんな気持ちに駆られた。

3 SakeBaseと共に

 私達夫婦は、SakeBaseがイベントで出店すれば、そのイベントに行き、その都度、新たな日本酒を紹介されて堪能した。
 旅行に行けば、現地の地酒を必ず呑むようにもなった。
 そして、SakeBaseは、情熱を燃やし続けた。精力的に全国各地の酒蔵を訪れて名酒を仕入れ、客も格段に増えていき、遂には西千葉に店舗を構えた。軒先の屋台から店舗。その開店は、とても感慨深い思いだった。
 SakeBaseの活躍は、多岐にわたった。現在は開催されていないが、津田沼での「日本酒ぱーく」と銘打った立ち飲みイベント、酒蔵の方々をゲストに迎えてのイベント、自ら田園での酒米作りへの着手等々。
 最も魅力的だったのは、ジェフ千葉のホーム試合終了後に駅への帰り道で開催された立ち飲みイベント。アウェイクラブの地酒、千葉県の地酒を取り揃えていた。
 ジェフ千葉のサポーターはもちろん、アウェイクラブのサポーターも足を止めて日本酒を酌み交わし、サッカー談義、アウェイ地元談義に花が咲いたものだ。
 試合終了後はノーサイド精神。敵味方関係なく仲良く日本酒を酌み交わした雰囲気は楽しくて、心も温かくて、最高のひとときだった。このイベントが行われていた時期のジェフ千葉は、なかなかホーム試合で勝てず、勝ったアウェイクラブのサポーターの機嫌は上々で(笑)、よくアウェイクラブのサポーターを接待していた(笑)。
 またの復活を切望している。
 SakeBaseは、店舗の営業も上々で、スタッフが1人加わり、店頭で焼き鳥を提供するようにもなり、この焼き鳥と一緒に呑む日本酒も格別だった。
 SakeBaseと出会ってから呑んだ日本酒は数知れず。
 磐城壽(山形、福島)、にいだしぜんしゅ(福島)、御慶事(茨城)、福祝(千葉)、いずみ橋(神奈川)、信州亀齢(長野)、天領盃(新潟)、英君(静岡)、三連星(滋賀)、風の森(奈良)、千代むすび(鳥取)、月山(島根)、久礼(高知)、讃岐くらうでぃ(香川)、山丹正宗(愛媛)、若波(福岡)……挙げたらキリがない(苦笑)。これらは、ほんの一部に過ぎないのだ。

4 転勤先での日本酒遍歴

 転勤先で印象に残るのは、東北地方である。
 福島県郡山市では、穏、大七、奥の松、会津中将、会津娘、蔵粋(くらしっく)、国権、一生青春等々。
 仙台市では、綿屋、伯楽星、乾坤一、阿部勘、勝山、雪の松島、祥雲金龍等々。
 これらも、挙げたらキリがない(苦笑)。
 ただ、仙台では、名酒屋

    むとう屋

にかなりお世話になった。
 むとう屋は、松島に本店が、仙台駅に支店があり、どちらも目利きが素晴らしく、オーダーに合った日本酒を薦めてくれる間違いのない酒屋である。

5 これからも日本酒を

 相当数の銘柄を挙げてきたが、それだけ日本酒は全国各地に根差した文化であり、奥が深い。
 なお、これほどの銘柄に出会えたのは売り手に恵まれた幸運によるものである。
 SakeBaseも、むとう屋も、商売で日本酒を売っているのだが、良い意味で商売っ気が皆無に等しい(笑)。値段が高い日本酒を少しはアピールしても良いのに、その都度、私達夫婦のオーダーに合った、あるいは旬のリーズナブルな日本酒を薦めてくる。
 共通しているのは、「日本酒を売る」に重きを置くのではなく、「日本酒を知ってほしい」「日本酒の良さを広めたい」という情熱が半端ではないこと。だからこそ、説明は丁寧。それでいて、押し売りはなく、あくまでナビゲーターとして選択肢を提示するのみ。おかげで、有力情報を踏まえて美味しい日本酒を自分達で選んで楽しめている。
 こうして振り返ってみると、私は、日本酒を愛し、反面、日本酒に愛されてきたのだと改めて実感する。
 最近は、痛風を患うというアクシデントに見舞われたが(苦笑)、それでも、日本酒との相思相愛に変わりはない。
 今後も日本酒とともに人生を歩んでいくつもりだ。
 最後は、この言葉で締めを。
 日本酒万歳🙌!!