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140字小説 「足りない」

街道に老婆が座り込んでいた。馬を連れた行商を呼び止め「これで連れてくだされ」手には銀一朱。行商はにやりと笑い吹っ掛ける。「五体満足担いで欲しきゃ、一分銀はねぇと」「生憎、手持ちは銀三朱……そうじゃ」老婆は懐から小刀を出し、足を一本切り落とした。「これで足りよう」「ひええ、妖怪!」

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