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ありがとう、快活CLUB

 突然だがこれを書いている現在(土曜日の朝9時半)、私は某所の快活CLUBにいる。

 なぜいるのかというと昨日、知り合いと深夜2時半頃まで飲み歩き、知り合いのほうが先にダウンしてしまい (とは言えど本来は知り合いのほうが酒に強く、今回は知り合いが調子に乗って強い酒を飲みすぎてしまい、一方で私は度数低めの酒をゆっくり飲んでいたのでこの構図が出来上がった。決して私が酒に強いわけではない) 終電もない中、私一人になってしまったからである。

 タクシーを使えば家に帰れるが、実家には「今日中に帰れるか分からないから戸締りしちゃっていいよ」と連絡してしまったのだ。
 つまり、帰宅しても持っている鍵だけでは中に入れない。

 カラオケ、という選択肢もあったが私も酒が入り喉はボロボロ、お金もできれば安く済ませたいし、スマホの充電もない。

 そこでやはりネットカフェが一番まともに過ごせるだろうと思い至った。
 ネカフェなら飲み物は飲み放題、いつでも寝られるしシャワーも浴びたければ浴びられる。

 私は久々に快活CLUBに行くことにした。快活CLUBが一番好きだ。
 というのもかつて、私は一時期かなり快活CLUBにお世話になっていた。
 詳しくはまたどこかで書くと思うが社宅のある会社で一人暮らしをしていた頃、周りは田舎で本当に何にもなかったので休みの日は快活CLUBではっちゃけて遊びまくっていたのだ。寝泊まりすることも多くあった。

 「ああ、あの時が懐かしいな」と想い馳せながら、気が付いたら3時近くなっていたので仮眠をとることにする。
 ちなみにスマホは充電器を持ってきていなかったのでフロント近くにあった共用の充電ボックスのようなものを利用することにした。初めての利用だったが便利である。ただし、充電している間は手元にスマホを置いておけないので少し不安でもある。

 幸いにも今日は休みだし、私も成人済みということもあり両親はさほどうるさく言ってこないので起きる時間は特に決めていない。しかし時間は一応確認しておきたい。そもそもスマホの充電は一時間でセットしているため、一時間後には取りに行かないといけない。仕方ないのでパソコンで時間を見るか、とパソコンを軽くいじってみた途端、パソコンが見事にフリーズしてしまった。

 マウスだけは動かせるが画面はビクともしない。キーをたたいてみても反応なし。そしてなんと、時間すらも進まない。

 さて、困った。これは困った。スタッフに言おうと思ったが、それは少し抵抗があった。面倒だと思われるかもしれないが、正直女である以上、この時間帯にできるだけ出歩きたくないのだ。自分のことを高く見積もっているわけでは毛頭ないが、仮に他のブースの者とはち会ってしまい、「若い女があのブースに一人でいる」ということが知られてしまったらと思うと流石に少し怖い。
 本来はパソコンからフロントに問い合わせることができるがそのパソコンが動かないわけだし。

 とりあえず酒も入っていて疲れているので体感時計を信じながら軽く目を閉じて過ごした。隣か分からないが、近くのブースから「やりたい、やりたいなぁ」とはっきり男性の声で聞こえた。何をやりたいのだ。そういうの怖いよ。


 ふと、ぼやけていた意識が戻った。目を閉じてどれくらい経っただろう。もしかして私は一瞬寝ていたのか?とりあえず周りの様子を見つつ、そろりと充電ボックスに向かう。とっくにスマホの充電は終わっていた。
 安心してスマホを手に取り、自分のブースへ戻る。時刻は朝の4時前。
 ここはおとなしく寝るか。と、コートを毛布代わりにして眠りについた。


 朝8時頃に目が覚めた。気分はだいぶサッパリしている。水分補給をせずに寝てしまったことは本当なら良くないが酒の残り香は無い。
 ご飯を食べよう。さっぱりとうどんなんかがいい。チェックアウトしてどこかの店に入るのも手だが、私はせっかく来た快活CLUBのフードを久々に食べたい。
 しかし注文するにもパソコンが必要だ。相変わらずパソコンはびくともしない。

 流石にフロントに伝えた。するとブースを変えてもらうことになった。

 新しいブースに行きまずはうどんを注文。以前よくうどんを食べていた。あったかいのも冷たいのもあるが快活のうどんはさっぱりした冷たいうどんが好きだ。
 しかも量も増やせる。
 今日は以前無かった、豚しゃぶのうどんを初めて頼んでみた。

 さて、次に飲み物を取りに行こう。流石に水分補給をしたほうがいい。
 ドリンクバーに行って気が付いた。

 そうだ、今はまだモーニングの時間だ。

 快活CLUBのモーニングではトーストがセルフサービスで置いてある。自分で焼いて、好みでトッピングのバターをつけることができる。
 うどんを頼んでしまったが、食パンが焼ける甘い匂いが私を誘惑した。
 結局パンも一枚食べることにした。せっかくなのでね。
 ちなみにコロナ前まではパンの他にフライドポテトも自由に取れるフードとして置いてあったらしい。なにそれうらやましい。

 飲み物は喉の渇きを癒すために炭酸のオレンジジュースにした。
 体感では酒は抜けていたが、オレンジジュースはアルコールの分解に良いのでもしかしたら体が欲していたのかもしれない。

 ブースにつき、焼けたパンにバターぬりぬりしながらうどんを待つ。頭の中でちいかわの『ひとりごつ』が流れている。
 パソコンで食べながら観る動画の選定をしていたが、我慢できなかったので一口だけパンをちぎって食べた。

 あま~い・・・おいし~・・・

 これはこれは。一気に体中がほぐれ、柔らかい気分に包まれる。
 場所は街中のネットカフェなのに気分的にとても優雅だ。ちょっとコーヒーも飲みたかったかも。後で取ってこよう。

 そうこうしているうちに念願のうどんが来た。懐かしい。これだ、これ。
 しかしお肉も乗せられるようになって。成長したんだね、君も。私かい?私もあの頃よりは変わったさ。あの頃の私は全くの駄目な人間だったからね。
 うどんを写真に撮りつつ、心の中で対話した。

 いざ、実食といこう。つるつるに冷たく締められたうどんを勢いよくすする。
 するとすっきりとした出汁のシンプルな旨味が口の中に広がった。おいしい。
 お肉も柔らかくて食べやすい。しかも意外とボリュームがある。
 さっぱりと飽きの来ない味で箸が止まらなくなる。おいしい、おいしい。

 あっという間に食べてしまった。お腹いっぱいだ。
 そして今、休憩がてらこれを書いている。

 快活CLUBはサービスが豊富で安心感がある。ドリンク飲み放題、ソフトクリーム作り放題、これでクリームソーダなんかも作れる。漫画ネットは勿論楽しみたい放題だし、シャワーも無料。フードも美味しい。(私のお勧めは揚げたてのじゃがりこ、通称ポテりこ。)
 ブースも店舗に寄るが、私のように利用が不安な女性は女性専用ブースがある。女性専用ブースは鍵がないと入れず、中はリラクゼーションのお店のような、優雅な造りになっている。清潔感もあり、周りも静かなので大変おすすめだ。

 さて、私はもう少しのんびり過ごすことにしよう。8時間近くいるが料金はまだ3千円ほどしかかかっていないし。

 ところでしばらく別のブースからランダムにiPhoneのアラームが聞こえ続けているのだが大丈夫だろうか。生きているんだろうか。心配だ。


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