自然とともにあり、次世代にも種をまき続ける。山梨県立美術館
豊かな山々の緑がまばゆい、山梨。
自然が溢れ、空気の澄みわたるこの街——山梨県・甲府市を車で走れば、山梨県立美術館の大きな敷地が見えてくる。
1978年の開館以来、「ミレーの美術館」として親しまれてきた場所。
現在では約1万点の絵画や彫刻を所蔵し、ジャンルはバルビゾン派の西洋画から、山梨にゆかりのある日本近現代美術の作品までさまざま。
コレクションは19世紀フランスの画家であるジャン=フランソワ・ミレーの作品が中心で、知る人も多い《落ち穂拾い》シリーズをはじめ、美術館のロゴにもなっている《種をまく人》も。
これまでは絵画の主題となり得なかった自然や農民に目を向け、表情豊かに描いたミレー。彼を筆頭とする「バルビゾン派」の風景画は、自然豊かな山梨県の美術館にはぴったり。
明るく温かみのある館内は、落ち着いた時間を過ごせる場所。
ほっと一息つきつつ、展示室へと向かってみる。
フランソワ・ポンポン展 動物を愛した彫刻家
展示室
展示室はA「ミレー館」・B「テーマ展示室」・C「萩原英雄記念室」の3つがあり、それぞれが常設展や企画展、特別展の会場に。
常設展示室はコレクション展を開催し、所蔵品の紹介をする場。
小さなソファーに腰掛けて、おおらかな心で絵画や彫刻を眺める。
2022年4月16日(土)〜6月12日(日)の特別展『フランソワ・ポンポン展 動物を愛した彫刻家』では、ポンポンの手がけた彫刻を数多く展示。
準回転の最終地となった山梨県立美術館は、緑豊かなで「動物」との相性もバッチリ。
「ポンポンがやってきた!」というキャッチコピーも、動物園のそれを思わせて親しみやすい。
ミュージアムショップ
ミュージアムショップには、ポストカードやフレームなどのグッズが充実。
「富士山の溶岩せっけん」のようなご当地アイテムも購入できるのが嬉しい。
ミュージアムカフェ
館内のレストラン「Art Archives(アート・アーカイブス)」は、洋食やケーキセットを楽しめる憩いの空間。
年間パスポート
豊富なコレクションや山梨の自然をいつでも楽しみたい人には、嬉しい特典も。年間パスポート(定期観覧券)があればいつでも来館できるし、「ミュージアム甲斐in券」は山梨県立美術館・文学館のほかに博物館と考古博物館にも入れる。
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敷地内に広がる「芸術の森公園」は、ロダンや岡本太郎の彫刻が置かれた芝生の広場。美しい「バラ園」や茶室「素心菴」もあって、富士山を眺められるロケーションが魅力的。
文学に興味がある人は、隣接する山梨県立文学館を同時に楽しむのもおすすめ。
山梨県出身、あるいは山梨にゆかりのある文学者の資料を調査・研究している施設で、樋口一葉や芥川龍之介に関連する貴重な資料も収集しているのだとか。
建物は2階建で、展示室のほかには500席の講堂やミュージアムショップも。
喫茶室「黒蜜庵きなこ亭」では、日本庭園を見ながらオリジナルの和風スイーツを味わえるそうで、美術館の洋風なレストランとは対照的。
おわりに
富士山や南アルプスの雄大な自然に恵まれた土地、山梨。
四季折々の美しさとともに、アートが心に癒やしをもたらしてくれる場所。
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山梨県立美術館
〒400-0065 山梨県甲府市貢川1丁目4−27
TEL:055-228-3322
公式ホームページ